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上司に理解されない! 40代の切なすぎる“最後の決断”

「出世したがる社員」だけを認める会社のアンフェア

2011年6月2日(木)

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 「会社を背負っていこうっていう気概を持った社員というのがいない。震災以降、一層そういった傾向が強まっている気がしてならないんです」

 先日、ある中小企業のトップの方とお話しした時に聞いた言葉である。

 「会社を背負う」……。何とも重たい言葉だ。

・出世したがらない。
・言われたことしかやらない。
・「会社のために」というロイヤルティーが感じられない。

 こういった話は、震災前からトップや中間管理職が部下たちの言動を嘆く際に、たびたび耳にしてきた。その時のターゲットといえば、20代の若手社員が圧倒的に多かった。

 ところが、「震災以降……」とこぼすこのトップによれば、「年齢に関係なく、と言いますか、40代の社員も含めて、会社(会社の仕事)を収入の手段としか考えない社員が増えている」というのである。

 仕事が収入のための手段であっても、何らおかしなことではない。だが、社員にはレイバー(労働力)として目の前の仕事をこなすのではなく、ビジネスをしてほしい。そう願ってやまないのがトップたちだ。

 「労働」ではなく、創意工夫を凝らしてより付加価値をもたらすビジネスをしてほしい。給料はそのために払っているんだ、と。

 当然、40代の社員たちはそんなことくらい理解していると思っていた。その40代までが「労働に徹しよう」と言うのか? そんな一抹の不安を震災以降に感じることが増えたそうだ。

震災で以前とは異なる風景が見え始めた

 東日本大震災は、それまで見えなかった景色と向き合う大きなきっかけとなった。仕事、家族、会社、自分の働き方、会社との付き合い方、会社における自分の居場所……。

 自分が会社をクビにならなくとも、会社そのものが跡形もなくなってしまうことがある。どんなに働きたくても、どんなに雇い続けたくても、それができない状況に突然陥ることがある。そばにいて当たり前だった家族が、一瞬にしていなくなることがある。

 以前は考えたこともなかったこんな現実を目の当たりにしたのだ。

 会社のためよりも地域のため。仕事だけでなくボランティア。仕事よりも家族。それまでの価値観が変わったことを自覚した人もいれば、何だかモヤモヤした思いを抱き続けている人もいる。それくらい「3・11」はショッキングな出来事だったのである。

 そんな社員たちの微妙な価値観の変化に気づいたトップの嗅覚は、優れている、と捉えることもできるだろう。いやいや、ひょっとするとこの方自身が、将来に対する漠然とした不安に駆られ、社員たちの言動に過敏になっているだけなのかもしれない。

 いずれにしても、私には正直、冒頭のトップの方の言っていることがよく理解できない。そもそも「会社を背負う」とはどういうことなのか?

・「収入以上の仕事をしろ!」ということなのか?
・「もっと経営者目線で働け!」ということか?
・「会社のために誠心誠意を尽くせ!」と、今さら滅私奉公を求めているのだろうか?

 会社の将来を危惧するトップの方の気持ちも、分からないわけではない。でも、「会社を背負う」とか、「会社のために」とかって、その言葉自体が思考停止ワード(関連記事:部下も、上司も、み~んな“思考停止症候群”?!のような気がして、根本的な問題がよく分からないのだ。

 そこで、今回は、「会社との関係」について、考えてみようと思う。

コメント157件コメント/レビュー

この記事を読み「なかなか鋭い指摘だ」と関心しました。会社という矛盾の塊の集団の中で、自分の存在意義を感じ取るには、どうしても関わる他社の評価が不可欠です。その評価自体にバイアスが掛かっている矛盾を自覚せずにただ一方的に当て込んで判断する事の問題を鋭く指摘しており、素晴らしい着眼点だと思いました。(2011/06/29)

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「上司に理解されない! 40代の切なすぎる“最後の決断”」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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この記事を読み「なかなか鋭い指摘だ」と関心しました。会社という矛盾の塊の集団の中で、自分の存在意義を感じ取るには、どうしても関わる他社の評価が不可欠です。その評価自体にバイアスが掛かっている矛盾を自覚せずにただ一方的に当て込んで判断する事の問題を鋭く指摘しており、素晴らしい着眼点だと思いました。(2011/06/29)

 昔技術系の会社に勤めておりましたが、根っからの理系人間・技術畑の連中が揃っている職場でした。出世など拒否という人間が少なからずいましたし、それが容認されている部分がありました。なぜなら、出世してなんとか「長」とつく役職をもらえば、管理や事務などに余計な時間をとられ、研究室に閉じこもって黙々と実験にいそしむ時間が減ってしまうからです。同期でたまたま出世欲の強い人がいれば、その人に課長になってもらって、自分たちは今までどおり研究に勤しもう、という感覚だったようです。  技術系の職場はどこも同じかどうか解りませんが、その会社は黙々と自分の楽しみのために仕事をすることによっても会社に十分貢献できるという雰囲気がありましたので、一例としてあげて起きます。(2011/06/24)

仰る事は非常に良く分かりました。「なるほど、そうだろうな。」という点も多々有りました。でも、それは全日空の場合はそうであっても人材に限りのある中小企業の場合は上に立つ者は本当に高い能力と強い責任感を持った人物であることが求められるケースが多いものです。逆にそうでない人材はより若手に幾らでも代わりが居るのでは。年を重ねてそれなりに高給を取りながら高度な判断を求められる地位を避け、責任は負いたくない人よりは若手でも意識の高い人に機会を与える方が企業として真っ当なあり方だと感じます。(2011/06/14)

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三品 和広 神戸大学教授