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資金が必要な被災者はここにもいる

奨学金制度に、まだ手が届かない学生たち

  • 村上 昭浩

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2011年6月2日(木)

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 津波で壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市雄勝町で暮らしていた高橋智恵さん(41歳)。自宅が全壊し、今は社会人の長男と二男で高校1年生の遼君(15歳)、中学1年の長女と市内の避難所で暮らしている。今年高校に入学した遼君の学費は無償だが、教材費や弁当代、部活動の諸経費など毎月数万円が必要になる。

 高橋さんの勤務先の会社も津波で被災し職を失った。そのため、雇用保険と母子家庭手当て、長男からの援助などで生計を支えている。

被災して石巻市河北町の避難所にいる親子。高橋智恵さん(右)と二男の遼君(写真:村上 昭浩、以下同)

 高橋さんは、かつて長男が高校生だった時に奨学金の案内をもらったことがあった。当時は月5000円程度を貸与されるので、利用する利点が薄いと判断し借りなかった。また、なるべく借金せずに乗り切ろうという意識があったという。

 だが、今回は状況が違う。「奨学金のことはあまり知りませんが、もし利用できる奨学金があれば検討してみたいです。ですが、高校からは特に奨学金の案内はないです」と高橋さんは話す。避難所に置かれていた奨学金案内チラシ2種類は保護者が死亡したケースが対象で、高橋さんの家族のようなケースは該当しない。

 また、避難所に暮らしているとインターネットなども自由には使えず、どのような奨学金や支援策があるか、知る手段が限られる。それ以前に、多くの被災者は生活の根底から建て直しを迫られ、子供の学費などの手当てに意識がまだ向いていない状況だ。

まだ奨学金のことを考える余裕がない

 被災地の石巻市にある宮城県立石巻高等学校は4月21日から授業を再開した。同校の吉田玲子教頭は、「学校が始まってからすぐに、保護者へ奨学金の案内プリントを渡しましたが、反応は少ないです。奨学金のシステムがよく分からないということもあるでしょうが、それ以上に、まだ保護者が奨学金のことを考える余裕がないようです。本校でも、避難所から通学し弁当が持参できず、昼食代もない生徒が20人くらいおります。奨学金を必要とする生徒は少なくないはずです」と言う。

 この高校以外でも、石巻市内では昼食にも事欠く生徒が30~50人いる高校がいくつかあるという。だが、奨学金の申し込みには罹災証明や戸籍謄本などの書類が必要で、日々の暮らしに追われ時間をかけて役所に並ぶ手間暇に二の足を踏むケースも見られる。また、奨学金を借りたとしても、返す算段が立たないとあきらめてしまう保護者もいるようだ。

 「今日(5月6日)、初めて学校の諸経費についてのプリントを保護者に渡します。それをご覧になると、これから具体的に必要になる費用をお知りになると思います。その後、改めてお考えになって、もしかすると奨学金を含めたご相談が学校に寄せられるようになると思います」と吉田教頭は言う。

宮城県立石巻高校。通用門には生徒への応援メッセージがはられている

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後藤 忠治 セントラルスポーツ会長