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「最後はヒトだ」という責任放棄

第5回 組織と組織力(その2)~ルールの在り方

2011年6月14日(火)

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巷では、「官僚性組織が創造性や戦略性を圧殺する」と信じられているようだ。しかし、それは「老化した官僚制」に当てはまることかもしれないが、健全な官僚制には当てはまらない。実は官僚制組織がしっかりとできているから、その足腰の上に創造性や戦略性の発揮が可能になるのである。

(沼上幹『組織戦略の考え方』)

 前回触れた役割分担、あるいはそれぞれの役割を組織の目的に向けて統合を行うのにも当然ルールがありますが、今回は、組織全般のルールを考えてみます。

組織のルール

 組織という言葉とルールという言葉が結びついて醸し出すイメージは大方ネガティブなものです。「細かいルールにこだわる」「手続きが煩雑」「ハンコをいくつも押さなくてはいけないので意思決定が遅い」等々、いわゆる「官僚的」という悪口は、大体こうした点にあります。

 しかし、冒頭の沼上教授の指摘にあるように、ルールは目的があるから存在するのです。特に、組織の仕事の多くは何度も繰り返される「ルーティン」といっていいものですから、そうした仕事を、より効率的に行っていくにはルールが不可欠です(この場合、マニュアルと読み替えてもいいでしょう)。ルーティンを効率よく、間違いなくこなし、例外は上司の指示に従うことが、組織の基本です。

 それでは、なぜ我々はルールといった言葉にマイナスの印象を持つのでしょうか。おそらく、その大きな理由は「目的がはっきりしない」ことではないでしょうか。後の回で触れますが、ルールはそもそも目的があって作られるのですが、いつの間にかルールを守ることが目的になってしまうことも少なくありません。何十年も前の、環境も技術も違っていた時代に作られたルールが残っており、なぜそのルールを守らないといけないのか、誰も知らないまま従っていたというような話も時々聞きます。そうした目的がなくなっても存在するルールがはびこると、「形骸化」が起こり、組織に様々な問題を起こすのです。

 一方で、ルールを作るとそれを変えたり、なくしたりすることは簡単ではありません。1つは、ルールをころころ変えると組織の安定性が担保できないという問題があるのですが、もう1つは「ルールに守られた人たち」「ルールがなくなると損をする人たち」が出てくることです。極端な話、組織でいらなくなった部門をなくそうということになれば、そこの人たちは行き場がなくなってしまうわけで、いろいろな理屈をこねて「存在意義」を主張するわけです。人間には「なければないで我慢できる」が「あったものを失うことには大変な抵抗がある」という心理的な傾向があります(ノーベル賞をとったプロスペクト理論と関係します)。結果として、なんだかよくわからないルール、部門がなかなかなくならないのが組織です。

 そうした状況で、組織の的確性、迅速性を高めようとするとどうなるかといえば「弾力的な運用」で調整しようということになります。つまり、ルールを変えるのは大変だから、ルールを否定するわけではないけれど、「グレーゾーン」を見つけて、あるいは「拡大解釈」して現実に沿った手続きをしようということです。これは、一見大変現実的で、うまいやり方のように見えます。しかし「弾力的な運用」というのは、個人の裁量という得体のしれないものに任されるのです。さらに言えば、どうしても低いほう、楽な方に流れます。結果として、どこかで破たんします。生食用牛肉は「本来流通しないはず」にもかかわらず、多くの人々が(私を含め)実際には食べており、そこで死者が出て初めて問題に気付くわけです。

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「「最後はヒトだ」という責任放棄」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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