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被災地のがれきの前に集まった人々、それぞれの思い

福島県いわき市に日帰りボランティアに行ってきました

  • 武田 斉紀

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2011年6月13日(月)

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震災から約3カ月、福島県いわき市

 6月5日。3・11から3カ月近くが過ぎた日曜日。私は一人、福島県いわき市で災害ボランティアに参加した。

 地震と津波がもたらした惨状をこの目で見てみたい、また現地に行って何かのお役に立ちたいとずっと思っていた。しかし当初、災害ボランティアは県内限定の募集がほとんどだった。それを知ってか知らずか、ゴールデンウィークには多くの個人が乗り込み、人があふれて混乱が生じたとも聞いた。個人のボランティアはまだ早い。かといって物見遊山で訪問してしまっては、復興の足を引っ張ってしまう。

 自宅近くのボランティア団体に登録はしたものの、緊急時に役立つスキルのない自分にはできることが見つけられなかった。2カ月がたち、そろそろ現地も個人ボランティアの受け入れ態勢が整ってきたのではないかとネットで調べてみたところ、「災害ボランティアバス」の募集を見つけた。福島・郡山駅前に集合して、バスで現地を往復する日帰りツアー。土日も予定の多い身としてはありがたい。

 今回、活動場所に福島県を選んだ理由は2つあった。1つは東京から近いこと。新宿からなら2時間余りで着く。朝は早いが、夜は私が申し込んだツアーなら8時台に都内に戻れるから、日曜日でも可能だ。もう1つはそう、原発事故の現場に近い被災地の現状を知りたかったからだ。

 周りの人に福島に行くと言ったら、「なんでわざわざ福島なの? 放射能が心配じゃないの?」と一様に聞かれた。いわき市は東京電力・福島第1原子力発電所から40キロ前後のところにある。距離的には問題ないのだろうが、やはり気になって距離を確かめ、放射線量の分布を調べてしまった。普段は飲料水も気にして使っているのだが、行くと決めたらあまり気にならなくなった。そういう性分だ。「普段から気にしていたのだからこそ、その分大丈夫」と考えた。

 前置きが長くなって恐縮だが、もう1つ、リポートの前にお話ししておきたいことがある。私は行く前の時点で、コラムの1回を使ってリポートするつもりはなかった。被災地は広い。その中の1カ所に1日行ったくらいで、何が分かるというのだと考えていた。むしろ分かった気になってしまうことの方が怖いと。

 それでも私に書くことを決意させてくれたのは、ボランティアコーディネーターとして1日面倒を見てくれた普段は都内の社会福祉協議会で勤務をしている災害ボランティア活動支援プロジェクト会議の小林郁義(ふみよし)さんの言葉。そして参加した人たちの思いだった。

 小林さんはツアーに参加した人たちに訴えた。「体験したことを“発信すること”が大事なのです」と。彼からの4つのお願いのうちの1つだった。

 日帰りツアーで行く場所は、確かに被災地のごく限られた地域だ。だがたった1日でも、私には小さなことから大きなことまで、“意外な発見”がたくさんあった。

 同時にツアーの参加者と言葉を交わす中で、それぞれが自分なりの思いで参加していることを知った。思いは、ブレた生き方をしたくないとか、人生と向き合いたいといった大上段に構えたものではない。少なくとも私のグループにはいなかった。むしろ、「自分の気持ちに素直になったら参加していた」と口にする人が多かった。

リュックと長靴を入れたバッグ、そして角型スコップ

 6月5日(日)、都心は朝から曇り空。自宅を出て近くの駅から電車に。繁華街の駅からは、夜通し遊んで朝帰りの若者たちが乗り込んでくる。私はリュックを背負い、長靴を入れたバッグと、片方の手には大きな角型スコップを握りしめていた。持参するように言われ、前日にホームセンターで買ったばかりのものだ。

 都心でスコップを持っているのは気恥ずかしく、刃の方はビニール袋にくるんである。埼玉の大宮駅から新幹線に乗り換え、社内で爆睡しながら朝8時頃に郡山駅に到着。直前にジャージと長靴に着替えた。

 郡山駅でもスコップは違和感があった。それに構内を歩いている人たちはジャージに長靴など履いてはいない、普通の格好だ。駅前に出てみたが、街は日曜日の朝の平穏さを保っている。郡山市の人たちには笑われるかもしれないが、私には少し意外だった【意外な発見(1)】

 心のどこかで、福島県全域が緊急事態にあると勝手に想像していたのだ。もちろん原発事故への懸念はいささかもなくなってはいないが、内陸部にある郡山市は平穏に見えた。それはとてもいいことなのだが。

 ツアーバスのお腹にある荷台には、買ったばかりの真新しいスコップが並んでいた。

郡山駅前の日曜日の朝の風景
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荷台には真新しいスコップが並んでいた
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