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安全の必要十分条件は何か

正しく怖がる放射能【9】

2011年6月14日(火)

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 少し先の話になりますが、7月8日に開かれる「福島以降」を考える東京大学シンポジウムに登壇することになりました。

 そこでお話しようと思っている内容を、少し噛み砕いてご紹介してみたいと思います。東大のシンポジウムは一般に入場料などはとらず、当日はフロアからのご質問も併せて議論を進めて行く、ということです。今回は大学内ですので、やや複雑な話も値引きなしにするつもりでおるのですが、その場でいきなり聞いて30分後に質疑、ということですと、質問の大半が初歩的な内容になってしまうことが懸念されます。またもちろん、当日お運びいただける方は限られてもおりますので、初歩的な内容から噛み砕いて、ネット上でお話してみたいと思います。不明点などは私のツイッターでも補いますので、ご質問下さい。

「確率的影響」再考

 既にこのシリーズでも幾度か記した事柄ですが、放射線の人体への影響は2つに大別されます。

1つは「確定的影響」と呼ばれるもの
もう1つ「確率的影響」と呼ばれるもの

 「確定的影響」とは、被曝した直後に現れる直接的な症状を指します。例えばしばらく前に報じられた「ベータ線熱傷」、これは要するに「やけど」ですね。被災の直後に診断可能な症状で、改めて言うまでもないかもしれませんが「因果関係が明確」であるのが「確定的」な影響の特徴と言えるでしょう。

 何をわざわざ改まってそんなことを、と思うかもしれませんが、これは第2の「確率的影響」と併せて考えるとき、実はとても重要なポイントになると思うのです。

 この、放射性物質が健康に与える「確率的影響」とは、被曝の直後には必ずしも明確でなく、5年、10年経ってから症状が出てくるもの、典型的なのは「ガン」でしょう。また一時に集中的に浴びた場合以外に、長期にわたって少しずつ放射能を浴びる「低線量被曝」の影響も、実はよく分かっていない。医師たちの間でも意見が分かれているのも、既に多くの方がご存知の通りと思います。

 さて、しかしここでちょっと考えてみていただきたいのです。

 例えば2011年から2020年まで10年間の死亡統計を見た時、特定の地域、例えば原発事故のあった地域で、そのほかの場所より発ガン率が高かった、低かった、という議論は可能でしょう。

 問題は、一人ひとりの患者さんについて、本当に「そのガン」の発症原因が、原発事故による放射性物質であった、と立証できるか、というところにあると思うのです。

物的証拠で後づけられるか

 例えば今、かつて原発で働いていた人が亡くなったとします。「その死因が何であったか」と問われた時、もし「直接的影響」が非常に明確なものであれば・・・、例えば、放射線によるやけどがあるとか、あるいは明確な放射線病の症状を表していたとか・・・、死因の特定に困ることはないでしょう。

 そうではなく、普通の生活をしていても発症し得る病気、例えばガンなどであったとしたらどうでしょうか。

 例えば、ヨウ素131を大量に体内に取り込んでしまい、これが甲状腺に蓄積して、明確な内部被曝が確認できる(例えば甲状腺内からヨウ素131が検出される、など)とすれば、確率的影響であっても、病因の特定に困ることはありません。

 しかし、放射線の影響はこうしたものだけには留まりません。

コメント33件コメント/レビュー

結局、トイレの世話までしてもらわないと文句を言う人間には理解されないのであろうか。「じゃあ何mSvなら安全なんだ」「もう被曝してしまった、どうすればいいんだ」仕方なく(?)発表した政府の基準値(これが荒唐無稽なのはさておく)に盲従することを望んでいる、或いは何か明快な数字を見て安心したい、要するにそういうことなのだろうか(農漁協等が求める出荷基準は別)▼「人間誰もが死ぬ、だからあなたも死ぬ」すら知らない人は多い。何故なら、明日死ぬと判ってから慌てたりヒステリーを起こしたりするのは、結局その事実を認識していなかったに過ぎないからだ。煙草にせよアルコールにせよ処方箋にせよ食品添加物にせよ交通事故にせよ庭木にせよ、統計的な確率上の致死リスクは日常に転がっている。個人的には今の放射線のリスクはこれらと何ら違いが見出せない(原発周辺では事情が違うことには留意する)。誰もが死ぬからといって、虚無主義に陥るのも間違っているし、自分は大丈夫と楽観するのも間違っている。筆者の言う「正しく怖がる」はそういう意味だと理解している▼確かに子供のいる家庭では否応なしに不安は増大される。12歳未満の子供について、個人的には原発から(風向きも考慮しつつ)50km範囲からは疎開させるべきだし、関東一円ではマスクは必須と考えているが、あくまでそれは私の見解だ。正確なリスクや正確な数字を求めても仕方が無い。リスク(コスト)とベネフィットを自ら設定し、判断し、行動を決定する必要がある。筆者はその手法を提示しているのではないだろうか。しかしながら、震災直後の記事を引き合いに出したコメントが散見されるが、その点からして既に読まれていないようだ。数度にわたる水素爆発で原発周辺は危険に晒されていたが、マスコミが徒に不安を煽りたてていた首都圏ではさほど重大な事態に陥ってはいなかった。冷却水位が一向に上がらない時点で、圧力容器の欠損は予測できた。圧力容器の損壊は広域の汚染に1:1ではないし、近隣の被害量を震災後半月時点での情報で判断するのは尚早過ぎた。そういう委細を考えもせず、結果論的に筆者を批判するのはいかがなものか。自らの無知を振りかざして自己正当化を繰り返す姿を幼稚と言わずしてなんというか。読者に強く問いかけたい。(2011/06/25)

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いただいたコメント

結局、トイレの世話までしてもらわないと文句を言う人間には理解されないのであろうか。「じゃあ何mSvなら安全なんだ」「もう被曝してしまった、どうすればいいんだ」仕方なく(?)発表した政府の基準値(これが荒唐無稽なのはさておく)に盲従することを望んでいる、或いは何か明快な数字を見て安心したい、要するにそういうことなのだろうか(農漁協等が求める出荷基準は別)▼「人間誰もが死ぬ、だからあなたも死ぬ」すら知らない人は多い。何故なら、明日死ぬと判ってから慌てたりヒステリーを起こしたりするのは、結局その事実を認識していなかったに過ぎないからだ。煙草にせよアルコールにせよ処方箋にせよ食品添加物にせよ交通事故にせよ庭木にせよ、統計的な確率上の致死リスクは日常に転がっている。個人的には今の放射線のリスクはこれらと何ら違いが見出せない(原発周辺では事情が違うことには留意する)。誰もが死ぬからといって、虚無主義に陥るのも間違っているし、自分は大丈夫と楽観するのも間違っている。筆者の言う「正しく怖がる」はそういう意味だと理解している▼確かに子供のいる家庭では否応なしに不安は増大される。12歳未満の子供について、個人的には原発から(風向きも考慮しつつ)50km範囲からは疎開させるべきだし、関東一円ではマスクは必須と考えているが、あくまでそれは私の見解だ。正確なリスクや正確な数字を求めても仕方が無い。リスク(コスト)とベネフィットを自ら設定し、判断し、行動を決定する必要がある。筆者はその手法を提示しているのではないだろうか。しかしながら、震災直後の記事を引き合いに出したコメントが散見されるが、その点からして既に読まれていないようだ。数度にわたる水素爆発で原発周辺は危険に晒されていたが、マスコミが徒に不安を煽りたてていた首都圏ではさほど重大な事態に陥ってはいなかった。冷却水位が一向に上がらない時点で、圧力容器の欠損は予測できた。圧力容器の損壊は広域の汚染に1:1ではないし、近隣の被害量を震災後半月時点での情報で判断するのは尚早過ぎた。そういう委細を考えもせず、結果論的に筆者を批判するのはいかがなものか。自らの無知を振りかざして自己正当化を繰り返す姿を幼稚と言わずしてなんというか。読者に強く問いかけたい。(2011/06/25)

1mSvでも安全という訳ではありません。それなりの確率的影響があります。自然被ばくも踏まえて、原発やレントゲン検査などで得られるメリットと引き換えに、社会的に許容できるリスクとして定められた値です。ラドン温泉も、被ばくのデメリットと引き換えに、他のメリットを得ている構図では?。一方、福島原発の1mSvを超える被ばくには何のメリットもありません。特に子供にとってのデメリット大きいです(中高年の被ばくは、「余命の期間」「細胞分裂の活性度」「遺伝子伝承の可能性」「原発を推進または容認してきた責任」から、どうでも良いこと思っています)。ちなみに、タラレバですが、もし原発と原爆が世界中で一切作られていなければ、ガン患者は大幅にに減っていた可能性はあると思います。不可能な話しにまで言及すると、自然被ばくもなければ、ガン患者は更に減っていたかもしれませんね。(2011/06/20)

論理的に説明されていたので、「代えが効かない命の安全を考えるときに、より小さい要素の集合である必要条件の議論ではなく、より大きな要素の集合である十分条件の議論をしていくことが重要であり、命のリスクマネージメントの核である」ことを改めて整理することができ非常にためになりました。(2011/06/20)

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