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「役に立ちたい」という思いからすべては始まる

CSRからCSVへ移行しても基本は変わらない

  • 水上 武彦

バックナンバー

2011年6月16日(木)

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 前回は、企業の競争戦略論の大家として知られるマイケル・ポーター米ハーバード大学教授が新たに提唱した「Creating Shared Value」(以下、CSV)というコンセプトとその3つの大きな方向性について紹介した。

 ポーター教授は、寄付やフィランソロピー(企業の社会貢献活動)を中心とする旧来のCSR(企業の社会的責任)活動に異議を唱えた。そして、企業は社会と共有できる価値を創出することを目指すべきだとして、CSRに取って代わるCSVというコンセプトを考案した。これからCSVの考え方をベースにして、日本企業の実例も取り上げながら、企業と社会との新たな関係のあり方を探っていく。

 今回は3つの方向性のうち、「社会課題を解決する製品・サービスの提供」について、より具体的に考えてみたい。

ドラッカーで読み解くCSRとCSVの関係

 CSRという言葉は、広く普及している割には、その意味するところを正確に理解している人は少ない。私は、一応CSRコンサルタントという役職名を持っている。その立場から専門的にCSRを定義すると、次のようになる。

 「幅広いステークホルダー(企業活動と利害関係を有する株主、顧客、取引先、従業員、地域社会など)の期待・要請を理解し、経済のみならず企業が影響を及ぼす社会・環境の側面にも配慮しつつ、持続可能な発展に貢献する」

 これでは、あまりに専門的すぎて分かりにくいだろう。このように説明が複雑になりがちな経営のコンセプトについて、本質を的確に捉えてシンプルに分かりやすく説明するとなれば、「マネジメントの父」と呼ばれるピーター・ドラッカー氏の出番である。彼は、組織による社会への貢献について、次のように述べている。

・マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で三つの役割がある。

I.自らの組織に特有の使命を果たす。マネジメントは、組織に特有の使命、すなわちそれぞれの目的を果たすために存在する。

II.仕事を通じて働く人たちを生かす。現代社会においては、組織こそ、一人ひとりの人間にとって、生計の資、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段である。当然、働く人を生かすことが重要な意味を持つ。

III.自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。マネジメントには、自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題に貢献する役割がある。

【マネジメント】

 この中で、III.がCSRと考えていい。ただ、その実践に当たっては、自社独善とならないように、ステークホルダーの期待や要請を常に理解しつつ実行することが必要である。

 さらにドラッカー氏はこう述べている。

・社会的責任の問題は、企業にとって二つの領域において生ずる。

・第一に、自らの活動が社会に対して与える影響から生ずる。第二に、自らの活動とは関わりなく社会自体の問題として生ずる。

故意であろうとなかろうと、自らが社会に与える影響については責任がある。これが原則である。組織が社会に与える影響には、いかなる疑いの余地もなく、その組織のマネジメントに責任がある。

企業をはじめあらゆる組織が、社会の深刻な病気のすべてに関心を払わなければならない。できれば、それらの問題を、組織の貢献と業績のための機会に展開しなければならない。それができなくとも、少なくとも問題がどこにあり、どう取り組むべきかを検討しなければならない。関心を払わないということは許されない。この組織社会においては、彼ら組織のほかに、諸々の社会の問題について関心を払うべきものがいないからである。

【マネジメント】

 この中で、「それらの問題を、組織の貢献と業績のための機会に展開しなければならない」と太字で強調した部分がまさにCSVの考え方であり、CSRの発展形と言っていい。

 今回のテーマである「社会課題を解決する製品・サービスの提供」は、最初のマネジメントの三つの役割のIとIIIを併せ持ったものである。すなわち、自社特有の使命を果たし、事業を通じて社会の問題に貢献するのがCSVで、それが事業と結び付かない社会貢献活動であれば、CSRにとどまる(図1)。

 ここで、マネジメントの父にまで登場していただいてCSRとCSVを説明したのは、CSRとCSVを対比しようとしたのではない。CSRとCSVは、融合させた方が活動に広がりが出るということ、すなわち、図1の矢印のことを言いたかったためである。

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