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プロジェクトの遅延が絶えない“真因”

遅れを取り戻して1カ月早く終了させた“本物”の管理手法

  • 岸良 裕司

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2011年6月21日(火)

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 東日本大震災によって生産停止の連鎖が日本全国や海外にも広がり、日本のモノ作りの効率化は行き過ぎだったと再考を促す声が高まっている。だが、それは本当に正しい指摘なのか──。

 本コラムでは、ビジネス小説『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)の著者として知られるイスラエルの物理学者、エリヤフ・ゴールドラット博士が考案した改革手法の理論「TOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)」とその具体的な手法を紹介しながら、実は効率化が進んでいなかった日本のモノ作りの実態を明らかにし、処方箋を提示していく。

 4回目の今回は、製品開発などのプロジェクトが予定通りに進まず、期限遅れが生じる問題について論じる。なぜ作業に遅れが生じるのか。それを防ぐにはどうしたらいいのか。実例に基づいて理由と解決法を考えていく。

 前回までは、工場で大量に生産する製品のモノ作りについて議論してきた。今回は打って変わって、新製品開発などのプロジェクトの進捗管理について取り上げる。

 製造業に限らず、どの業種にも何らかの形のプロジェクトがあるだろう。業種によっては、仕事そのものがプロジェクトというものもある。例えば、情報システムや建設業、プラントエンジニアリングなどだ。

 プロジェクトは1つひとつが異なっていて、全く同じということがない。橋を建設する工事を例に取ってみよう。橋の形式や長さも違えば、橋を架ける場所の地形も異なる。橋の建設工事に長年携わってきたベテランの技術者にとっても、1つひとつの工事で初めて経験することがたくさんある。

 このように予想していないことに次々と遭遇する「不確実性」がプロジェクトにはついて回る。そのためにもともと遅れが生じやすいのだ。

不確実性が進捗管理を難しくする

 さらにプロジェクトには、さまざまな人がかかわる。新製品の開発であれば、開発の担当部署だけでなく、生産技術や工場、部材の購買、マーケティング、販売など社内の複数の部門や社外の取引先などが関係してくる。これらの関係者の間での調整に手間取ることも、作業の遅れにつながる。

 こう見てくると、プロジェクトを期限に遅れることなく終了させることの困難さが分かるだろう。

 電気製品や自動車などに幅広く使用されるハイテク部品を主力とするC社も、新製品の開発プロジェクトの遅延に悩んでいた。同社は主力製品のシェアが5割を超える世界最大手だが、ここ数年は海外メーカーに激しく追い上げられ、業績が悪化。2ケタを維持してきた売上高営業利益率が10%を下回りそうな状況に追い込まれていた。

 同社は起死回生を狙って、新素材を使った期待の新製品を米国の展示会で発表し、市場に投入する計画を打ち出した。しかし開発の進捗は予定より半年以上も遅れる。このままでは展示会に間に合わない事態に陥ったところで、同社の経営陣は我々に助言を求めてきた。

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