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第35話「もちろんだ斑目君。このオレがトドメを刺してやる」

2011年6月22日(水)

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前回までのあらすじ

 リンダはタイにあるソムチャイの工場を訪ねた。その日の夕方、リンダは2人の男性をソムチャイに紹介した。それは、UEPCの技術責任者のアンディーと、研究部門の責任者の三沢だった。

 リンダは、団達也の会社が作っている「K01」は、金子が三沢の発明を勝手に流用したものだと言った。それに対してアンディーは、K01は自分が発明したと明かし、MTCラボの特許にはならないと言った。

 一方、三沢はK01、そしてK01を生産する専用ロボットの動きを制御するコンピューター・プログラムは、すべて金子が発明したものだとリンダに語った。

 アンディーはその言葉を聞いて、K01はあくまで自分が発明したものだと言い張った。

バンコク

 「アンディー。あなた何を言ってるの。K01はカネコが発明して、ダンの会社が出願したのよ」

 リンダは呆れ顔で言った。するとアンディーはカバンから雑誌を取り出して付箋が貼られたページを広げてリンダに見せた。そこには得意満面のアンディーの顔写真と、ポンチ絵、そして絵の解説と思われる文章が2ページにわたり書かれていた。

 「ダンが特許を出願した1カ月も前に、オレはダンと全く同じ発明をこの雑誌に投稿したんだ」

 その時、三沢がアンディーの手から雑誌を奪い取ると声を震わせて言った。

 「アンディー。きみという男は…」
 「どうかしたんですか? 三沢さん」

 リンダはやさしい口調で尋ねた。

 「これはカネコが私に送ってきたクレーム(特許請求)に書かれていた図なんです」

 特許を請求する際に、必要と認めるすべての請求項目をクレームに記載することになっている。この図は、そこに記載するために金子が手書きしたものだった。

 あの日、三沢は金子から電話でK01に関して相談を受けた。三沢はその新規性にただ舌を巻くばかりだった。その完成度からして、金子はかつての上司に対する感謝の気持ちで、この図をファクスしてきたに違いなかった。

 (軽率だった…)

 三沢は悔やんだ。あの時、金子が送ってきたファクスを机に置いたまま、ほんの数分間席を離れた際に、アンディーの目に留まったのだろう。アンディーは、その図を携帯電話のカメラで撮影し、自分の手柄にしようと考えたに違いない。パクリのアンディーといえども、UCLAの大学院で電子工学科を学んだ修士だ。一目でその図の凄さを見抜いたのだろう。

 「どうしたんですか」

 肩を落とした三沢に、リンダは日本語で話しかけた。中国語や英語の素っ気なさと違い、日本語のやさしい響きに三沢の気持ちは揺れた。

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「第35話「もちろんだ斑目君。このオレがトドメを刺してやる」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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