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英中央銀行も注目するネットデータ活用の将来性

ユーザーの自然な行動を把握し、価値創造につなげる段階へ

2011年6月24日(金)

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 6月13日付けの英フィナンシャル・タイムズ紙と英インディペンデンス紙に、ちょっと気になる記事が載っていた。英国の中央銀行であるイングランド銀行の調査部門が、グーグルのサーチデータを経済予測に活用することが可能だ、という旨の発表をしたのだという。

 ポイントは以下の通りだ。

―  「不動産業者」、「失業」といった単語が検索される頻度を見ていけば、その後の住宅価格や失業給付数の変動を予測することができ、経済政策立案に資するツールとなり得る。
―  実際、2004年以降の「不動産業者」や「モーゲージ(住宅ローン)」という単語の検索頻度は、ほかの指標を上回る精度で英国の住宅市場の変動との相関が高かった。
―  また、「薄型テレビ」や「冷蔵庫」という単語の検索頻度は、(商品の集荷実績や販売実績といった)相当時間がたってから発表される公式指標と違い、「現段階」での経済の実態を見るのに役立つ。
―  多くの人が「日常の行動」として行う検索から得られるデータでは、伝統的な調査につきものの、回答漏れや不正確な回答が含まれるという問題点は避けられそうだ。

グーグルの検索データを経済予測に活用

 詳しい方は既にお使いになっているかとも思うが、この「検索頻度データ」を提供するサービスは、「Google Trends(日本語バージョンでは、Googleトレンド)」と呼ばれるものだ。ある語彙について、期間別、地域別、言語別に検索頻度(期間中すべてを平均した検索頻度がベース)を指数としてグラフ表示してくれる。そのデータを数値データとしてダウンロードすることも可能だ。

 この原稿を書いている時点で、Googleトレンドで「日本経済新聞」という単語で検索してみると、2004年度以降、「日本経済新聞」という検索がどういう頻度で行われたか、Googleニュースにはどれくらいの頻度で登場したか、を示すグラフが現れる。

 この検索が最も多く行われたのは富山県。次いで京都府と鹿児島県といった興味深いデータを見ることもできる。「電子版創刊」といった大きなイベントがあったのは、時系列グラフのどの時点か、といったことも示されている。

 イングランド銀行の場合は、経済指標に関連するさまざまなデータをこのサービスから入手したうえで、実際の経済データとの相関について、統計的な分析を行ったのだろうと思われる。

 このように検索データを活用することで、従来のさまざまな経済指標が持つ「調査時点から発表時点までに時間を要し、指標を待っている間に、経済政策実行が遅れかねない」という課題の克服が、一定程度可能になる。

 もちろん、データの正確性の問題などがあり、あくまで当面は補完的な使われ方にとどまるだろう。さらに、実際に金融・財政政策に影響を与えるデータだ、ということになれば、恣意的に大量の検索を行い、自らの市場取引を有利に導く、といった不正行為の防止策も考える必要もあろう。

企業は製品やサービスの動向をリアルタイム把握へ

 こういった限界を理解しつつも、「通常の経済活動の一環として、ネット上で、検索、あるいはそれ以外の行動をする人々」が増えれば増えるほど、ネット上の活動から得られるデータを活用して、これまでにない価値を生む、ということを考え続ける必要性を認識せざるを得ない。

 もう随分前に、このコラムでも、ネット麻雀参加者の実際の行動データを利用して、経験則的に作られてきた麻雀の定石を見直す、という面白い本について、触れたことがある。(関連記事: 「マージャンもビジネスも、ネット上のデータ分析が武器に」)

 ネットにかかわる本質的なイノベーションの1つに、「人間の(無意識なものも含めた)行動を、ごくごく低コストでデータとして、大量に収集できる」ということがある。IT(情報技術)の進化とともに、「そのデータを、(これまた、過去にはあり得なかったような)低コストで分析、利用することで、これまでになかったような価値創造を行う」ことが可能になった。

 「検索」という行動から、実際の経済活動の変化を読み取るというのは、このイノベーションの現実化の一例だろう。中央銀行ができるのであれば、いわんや企業においてをや、だ。ということで、さまざまな企業が、自社の製品・サービスの市場について直近の動向を把握する目的で、関連した単語について、どういう地域で、どういう頻度で検索されているかを、ルーティンとして見ていくことになるのかもしれない。

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「英中央銀行も注目するネットデータ活用の将来性」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長