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「選手じゃなくて学生だから、カネは払いません」~大学スポーツが大リーグより儲かるカラクリ

なぜ米国は「スポーツバカ」を戒めるのか(下)

2011年6月23日(木)

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 前回のコラムでは、米国の大学スポーツが、学業を怠ると厳しい制裁を受けることを紹介しました。最近でも、全米大学体育協会(NCAA)が学業不振を理由に全米チャンピオンとなったバスケットボール部の奨学生(スカラシップ)枠を減らしたり、5年以上前の学生の規律違反により名門フットボール部に“死刑判決”にも等しい罰則を科しています。

 なぜ、こうした厳罰が必要なのでしょうか? 本当に「学生の本分である学業をおろそかにさせない」ことが狙いなのでしょうか?

 今回のコラムでは、巨額のマネーが動く米国大学スポーツの「知られざるビジネスシステム」に迫ってみようと思います。

大リーグより儲かる大学スポーツ

 現在、NCAAには「ディビジョンI」から「ディビジョンIII」までの3つのレベルに1200校以上の大学が加盟しており、23の競技で88の大会が開催されています。その中でも特に有名なものの1つが、前回のコラムでもご紹介したバスケットボール決勝トーナメント「3月の狂気」(March Madness)なのですが、全ての競技を合わせると合計4万人以上の学生選手がNCAAの競技大会に参加していると言われています。

 こうした大会を主催するNCAAの経営規模(2010-2011年予算)は7億5700万ドル(約605億円)です。ただし、これは監督機関であるNCAAに関する予算規模なので、1200以上もある大学の数字は含まれていません。以前、「プロより儲かる大学スポーツ」でも解説したように、スポーツ名門校ともなれば、運動部が稼ぎ出す収入が1億ドルを超えることも珍しくありません。

 米スミス・カレッジ教授(経済学)のアンドリュー・ジンバリスト氏は、所属大学の売り上げも含めた米国大学スポーツ全体の市場規模は約80億ドル(約6400億円)に達すると計算しています。

 NFLの売り上げが約90億ドル(2010-11年)、MLBが約70億ドル(2010年)と言われていますから、米国大学スポーツが作り出す市場規模はNFLやMLBと同等ということになります。また、サッカーの英プレミアリーグの収入(2010-11年)が約22億ポンド(約35億ドル)と試算されていますから、その倍以上の市場規模を誇ることになります。

巨額収入なのに税金免除

 このように、米メジャープロスポーツに比肩する巨額のマネーを動かす大学スポーツには、プロスポーツには見られないいくつかの特権が与えられています。

 第1に、免税特権が挙げられます。教育機関であるNCAAは非営利団体として組織されており、法人税が一切免除されています(利益はNCAA加盟校に分配される)。前回のコラムで、地上波テレビ局のCBSと、ケーブルテレビ局のターナーが、大学バスケットボール男子トーナメントの2011年から14年間の放映権料として108億ドル(約8640億円)を支払う契約を結んだと紹介しました。こうした巨額のメディア収入も、法人税の対象外となるのです。

 また、スポーツ施設の建設費を捻出するために発行する債権の税率も優遇されています。通常は8%程度の税率が、5%程度と低く抑えられています。例えば、1億ドルのフットボールスタジアムの建設資金を債権発行で捻出すると、徴収されるはずの800万ドルの連邦税が、500万ドルで済むのです。これは300万ドルの補助を受けているのと同じことになります。

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「「選手じゃなくて学生だから、カネは払いません」~大学スポーツが大リーグより儲かるカラクリ」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長