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部下はなぜ上司の言うことが「わからない」のか

第7回 組織的コミュニケーション(その1)~目的と具体性の重要性

2011年6月28日(火)

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 「人は大局の判断を迫られた場合は誤りを犯しやすいが、個々のこととなると、意外に正確な判断を下すものである。
 だから民衆も、巨視的な視野を要求される事柄の判断力では頼りにできないが、ミクロな事柄ならば、多くの場合正確な判断を下せるのだ。
 それで、いかにすればこういう民衆に目を開かせることができるか、の問題になってくるが、次に述べることを踏襲すれば簡単である。
 つまり、大局的な事柄の判断を民衆に求める場合、総論を展開するのではなく、個々の身近な事柄に分解して説得すればよい」

(マキャベリ『政略論』)

 第4回から第6回は、組織のどちらかといえばフォーマルな側面、役割やルール、そしてそうした組織に生まれる慣性について議論をしてきました。今回および次回は、そうした組織のフォーマルな面を生かし、ヒトと組織をつなげて「組織力」を実現する架け橋になる組織のコミュニケーションについて考えてみたいと思います。

 前回「Shared vision」という話が出てきましたが、第1回第2回でふれたトップの役割とは、組織のビジョンをはっきり示すことではないのかという疑問をお持ちになっていらした方もいらっしゃると思います。お待たせしました。今回、その疑問についてもお答えしていきます。

なぜ情報を求めるか?

 震災後何日か、すべてのテレビが24時間、震災および原発のニュースを報道し続けました。そして、日本中の人々がそのニュースを見ていました。テレビではなく、ウェブを使って様々な新聞のサイトを追いかけていた私のような人もいるでしょうし、またこの日経ビジネスオンラインへのアクセスも急激に上がったそうです。日本中、いや、世界中の人が情報を求めていたのです。

 その大きな理由は、震災、原子力発電所の暴走といった状況で、どうなったのか事実を知りたいというほかに、もう2つがあったのではないでしょうか。1つは、いろいろな情報を取ることができるけれど、そうした情報が意味するところが今ひとつわからない、だから情報を理解するためにもっと情報を得たいという欲求です。そして、もう一つ、それに輪をかけたのが、原子力安全・保安院や東京電力の会見だったのだと思います。彼らは、最新の情報を持っており、かつそれが何を意味するかも知っていたはずですが、それが伝わらなかったのです。

 つまり、政府・東電と私たちとの間ではコミュニケーションが成立しなかったために、それを何とか補おうとさらに情報を集めるというあまり健全とはいえない循環があったのだと思います。彼らの念頭にあったのは「間違いをしない」ことであって、聞く人が知りたい情報を共有することではなかったのではないかと思われてなりません。「ただちに人体 に影響を与えるものではない」などという言葉をよく聞きましたが、「ただちに」とはどういうことなのか、今もってわかりません。

コミュニケーションと情報

 実は情報を伝えることとコミュニケーションすること同じではありません。私たちが「この情報が大切だ」と思うとき、その情報に何らかの「意味」「価値」を見つけます。その「意味」を伝えるために、コミュニケーションするのです。同じ情報であっても、人、あるいは組織によってその意味や価値は異なります。自分は価値があると思っている情報を伝えても、その価値が相手に伝わらなければコミュニケーションは成立しないのです。

 組織のコミュニケーションを考えるとき、コミュニケーションとは「送り手が受け手と意味を共有する(度合いを上げる)ための、対話、会議、メールなどを含めた様々な行動」と定義できると思います。「意味を共有する」とは、一言で言えば「相手の言いたいこと、気持ちがわかる、理解する」ことです。「話す」「言葉を交わす」から、コミュニケーションが成立したとは限りません。「この情報が大切だ」という意味が伝わるためには、「なぜ私は大切だと思うのか」「なぜこの情報に意味があると考えるのか」という、考え方、目的、価値観が伝わらなくてはならないからです。言い換えれば、コミュニケーションの本当の目的は「共有する」ことです。単に情報量が増えるというだけでなく、お互いの立場をよく理解することです。

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「部下はなぜ上司の言うことが「わからない」のか」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長