• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

多重の不確定性に迷わされるな!

正しく怖がる放射能【11】

2011年6月28日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 前回から、量子力学的な不確定性を排除せず、放射能の健康被害を考える上でもっとも本質的な問題に踏み込んでお話しています。コメントも多く寄せていただき、ありがとうございます。中には大学で講義する際に学生が見せる典型的な誤解も見ました。シンプルな問いには私のツイッター上でお答えもできると思います。より踏み込んだ内容は140文字の断片で誤解のもとになってもいけませんから、記事できちんとお話しするように、と思います。

 で、元来の予定では、今回から量子論の話に入るつもりでしたが、コメントを拝見しいささか時期尚早という気もしました。 そこでまず、古典的な統計や確率の問題から、整理し直しておきたいと思います。このあたり、私の本業である音楽はいったん横において、物理学出身者として、また大学で情報科学教育に携わってきた一人として、当たり前の内容を記すつもりです。

 以下やや余談ですが、ある会社で「原子力工学科」の学部だけ出て、その後まったく関係ない仕事をしている人を「原子力のプロ」、理学部物理の大学院を出、原子力工学科で物理の講義を担当した別の専門の人は「原子力のプロではない」と「世間は見る」という話があり、二つの意味で呆れました。ひとつは、本当にそういう世間であれば情けないことだと思うし、もうひとつは、これは書籍を作る話で、売れなければ裁断その他リスクを負っていることもあるのですが、そんな程度の腰の据え方でどんな本ができるのか?という疑問です。北杜夫でも加賀乙彦でも鴎外でも、医者の作家が医学の話をしてもそうはいいますまいに・・・もう少しどうにかならんもんかな?と思うのですが・・・苦笑した次第です。

被曝のマイクロプロセスから考える

 さて、いきなりですが、いまある人が放射能で被曝する、その瞬間を考えてみましょう。

 幾度も記すように放射線被曝には「外部被曝」と「内部被曝」の別があります。外部から到来した放射線を浴びるのが「外部被曝」、体の中に取り込んでしまった放射性物質の発する放射線による被曝が「内部被曝」です。

 例えば高エネルギーの光である「ガンマ線」が、体内あるいは対外のどこかから飛んできて、人間の体、その細胞に当たったとします。

 運動会で転がす「大玉ころがし」の球を、公園のジャングルジムに投げれば、ぶつかって跳ね返ってきます。同様に、一定以上「目の詰まった」ターゲットにビームを当てれば、ビームとターゲットはぶつかり(「散乱」といいます)、相互作用が起きます。

 もとのビームが持っていたエネルギーはターゲットでなんらかの仕事をする。いまガンマ線が生きた人間の細胞に当たれば、「一定の割合で」細胞組織やその中に含まれるDNAにぶつかり、それらを損傷します。

 いまここで「一定の割合で」と書いた、ここに統計的な要素が顔を出すことに注意していただきたいのです。ちょうど「ふるい」で砂場の砂を漉すように、一部は素通りしてゆくし、一部は残るだろう。基本的には「目」の大小で決まることですが、場合によっては目より小さくてもふるいの上に残るものがある「かもしれない」などなど、ここに「確率的なことがら」が顔を出します。

場合の数で考える「確率」

 放射線が人体に与える影響を考える上では、こうした「確率的」な事柄がいくつかの段階で顔を出します。以下非常に大まかですが、幾つかを整理してみると

1 同じ場所にいても被曝したり、しなかったりする
2 同じ放射線を浴びても、ダメージを受けたり受けなかったりする
3 同様の放射線によるダメージを受けても、発ガンの有無など、人によって症状の出方に違いがある
4 仮に被曝でガン細胞が発生しても、体質、体調、年齢その他によってガンの病状進展に違いがある
5 仮に、実際には被曝によって発生したガンである人が亡くなったとしても、病理解剖によっては、その原因を特定できたりできなかったりする

などなどなど、です。

コメント29件コメント/レビュー

何年か前のチェルノブイリの被爆被害のNHKの放送を見て、発生する主たる病気は、甲状腺ガンと白血病であると記憶しています。今回の福島原子力発電の事故の場合、圧力隔壁が保たれており、γ線によるDNAの損傷(体外被害)は想定不要と考えています。甲状腺に蓄積されるヨウ素と脊椎に蓄積されるストロンチウムが上記の原因と放送されていたと記憶しております。これは福島の場合、体内被爆で発病するはずですが、蓄積は各個体差によると記憶しています。菅野泰弘(2011/07/02)

「伊東 乾の「常識の源流探訪」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

何年か前のチェルノブイリの被爆被害のNHKの放送を見て、発生する主たる病気は、甲状腺ガンと白血病であると記憶しています。今回の福島原子力発電の事故の場合、圧力隔壁が保たれており、γ線によるDNAの損傷(体外被害)は想定不要と考えています。甲状腺に蓄積されるヨウ素と脊椎に蓄積されるストロンチウムが上記の原因と放送されていたと記憶しております。これは福島の場合、体内被爆で発病するはずですが、蓄積は各個体差によると記憶しています。菅野泰弘(2011/07/02)

コメントのコメントになってしまいました。「本当に原発は人類を幸せにするのか。長期的な視点で冷静に考えてもらいたいものです。」を基準にすれば、今議論されている再生可能エネルギーは使うべきではありません。風力、太陽光は発電に際して自然環境へ負荷をかける(風速低下と低周波振動、人工的な日陰の設置など)一方、現在の性能では火力・原子力にとうてい及ばない能力でしか発電できないのですから。人類の幸せだけを考えるのか、他の生物を考えるのかで視点は変わります。校舎の立場を取る人は、電気は一切使わない生活をすべきと考えます。(2011/07/01)

 量子力学や原子力の物理原理から見て、被爆とはどのような現象か?を考慮した時に、確率を考慮する必要があるので全体論と個々の人に当てはめようとすることには無理がある。と解釈して良いでしょうか?被爆という物理現象を人文学的や音楽的に人間を考えた時には、先生にとって興味のある作業でしょうか?お聞きしてみたいです。 アメリカでのレイプが冤罪だった。との事例について具体的に教えて頂けないでしょうか?(2011/06/30)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

店長や売り場主任などの管理職は、パートを含む社員の声を吸い上げて戦略を立てることが重要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長