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グーグル「20%ルール」の本質

震災後に大活躍「パーソンファインダー」が生まれた背景

  • 吉田 就彦

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2011年7月1日(金)

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 ヒット商品やヒットサービスが自社にはなかなか出ないと嘆く経営トップの悩みや、結果がなかなかついてこないことから焦燥感を感じている現場の原因は、実はいつの間にか社内にはびこった、行き過ぎた効率化の後遺症なのではないか。

 ITを駆使する効率的経営を指向するあまり、せっかく生まれようとしているヒットの芽を摘み、ビジネスチャンスにチャレンジする気運が削がれているのではないか。

 現在の日本の閉塞感の本当の原因は、見える化の行き過ぎが生む衆人環視から起こる「最適化の罠」にはまっていることなのではないか。

 この連載コラム「ムダこそが大ヒットへの近道――最適化の罠」では、その罠にはまらなかった好例や、はまってしまった悪例を交えて論じることで、日本が元気になっていく智恵のひとつとして「最適化の罠」からの脱却を提言する。

 第4回目のテーマは、2011年3月11日に発生した東日本大震災で、いち早く安否確認サイトを立ち上げ、そのスピードある実行力が衝撃を与えたグーグルの有名な「20%ルール」に迫る。20%ルールとは、仕事時間の20%は自分の好きなプロジェクトに使っていいという社内の取り決めである。

自問自答「何のために我々はあるのか」

 3月11日に起こった今回の震災は、東北地方を中心として、福島の原発事故の被害も含めればほぼ日本の4分の1の国土に爪痕を残し、日本人口の半分に何らかの影響を与えた。菅直人総理大臣の責任論に発展している政局も絡み、一向に明確な震災後のビジョンが見えない中、3カ月が経った。

 この政府の動きの遅さを尻目に、未曾有の大震災の直後から、連絡が取れない人を探すために有効だった安否確認サイトがあった。グーグルが提供したサービスサイト「パーソンファインダー」である。そのサイト構築劇のスピードは、既にいくつかのメディアでも報じられて話題となった。

 3月11日の震災直後から、六本木ヒルズ26階にあるグーグル日本法人(正式社名:グーグル株式会社)のオフィスの一角が、そのサイトの開発拠点となり、多くの技術者が寝る間を惜しんで開発を続けた。パーソンファインダーは、昨年のハイチ地震の際に、グーグルが公開したシステムである。グーグル日本法人は、その日本語のインターフェースを地震からわずか2時間後に公開し、さらに、その日のうちに携帯電話サイトも立ち上げた。

 そして、「自動車・通行実績情報マップ」や被災地からのメッセージ動画サイトユーチューブの「消息情報チャンネル」も1週間後の3月18日に公開した。凄まじい早さである。

 ベースとなるシステムがあり、海外と連携した開発という企業文化があったにせよ、このスピードは尋常でない。この裏には、グーグルを語る時によく引き合いに出される「20%ルール」があったのではないかと思い、グーグル日本法人を訪ねてヒアリングをしてきた。

 そこで返ってきた言葉は、実に意外な回答だった。

 20%ルールよりも遥かに先をいくグーグルの考え方がそこにはあった。それはこの震災対応こそがグーグルのミッションであるということだった。何のために我々はあるのかという自問自答があのスピードを生んだのだ。

儲けようと思って作られた会社ではない

 グーグルのミッションは、「世界中の情報を整理してみんながアクセスし便利に使えるようにする」である。

 グーグル日本法人の執行役員で、戦略事業開発本部日本代表の小尾一介さんが、新入社員の研修で最初に言うことは、「グーグルという会社は普通の会社ではない」ということだという。

 「お金を儲けようと思って作られた会社じゃないんですよ。まさにミッションの通り、世界中の情報を整理して、みんながアクセスして便利に使えるようにしようと本気で思っている。そして、それをやるためには資金が必要ですよね。もちろんデータセンターも必要だし、技術者もご飯を食べていかなきゃいけない。そのための資金確保としてやっているのが広告ビジネスなんです。でも、この考え方はなかなか理解されにくい」

 例えば、グーグルが開発した「アンドロイド」という新しいOSがある。これを搭載する携帯電話の販売が伸びていることを考えると、グーグルが携帯電話業界を牛耳って大儲けしているように見える。また、書籍検索の「ブックサーチ」をグーグルが組み込めば、電子書籍の分野で米アマゾンや米アップルに競争を仕掛け、年間何億ドルかのビジネスに仕立て上げようとしているように見える。

 しかし、グーグルはそんなことを全然思っていないという。とてもその程度のビジネスでは賄えないぐらい開発費をかけているので、最適化や効率化を志向して儲けるという概念そのものが全く当てはまらないというのだ。

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