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グーグル「20%ルール」の本質

震災後に大活躍「パーソンファインダー」が生まれた背景

  • 吉田 就彦

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2011年7月1日(金)

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 「あの震災関連の活動も、ほかの会社だと社会貢献やボランティアでやっているということになりますよね。グーグルも技術の会社として社会的責任を果たすためにやっているんでしょう、と思われるかもしれないが、実はそうじゃないんです。あればまさにミッションなんです」

 「震災発生時にみんなが必要としていた消息情報、特に家を流されて、バラバラに避難所にたどり着いた人たちの情報を集めて、皆さんにアクセスしてもらい、分かりやすく提供しようというのが、パーソンファインダーです。あれはグーグルのミッションそのものなのです」

 従って、技術者たちは本業の仕事を全部中断して、その開発をやっていたわけではない。あくまでもミッション遂行のためだったというのだ。グーグルにいるということは、それを当然のようにやることである。

 私は、グーグルがあの20%ルールを使い、社内の人材を集めて社会貢献したと想像していたのだが、実はあれこそがグーグルにおける仕事だった。パーソンファインダーや避難所名簿共有サイトを作ることは、「情報を一元化し、整理してアクセスしやすくする」というミッションをいつにも増して優先したということなのである。

ビジネスとは「活動資金集め」

 グーグルにおいて、いわゆるビジネスとは「活動資金集め」だという。ミッションを継続的に遂行するために必要な資金集めということだ。もちろんビジネスなので投資効率を考えないわけではないが、その主要なビジネスモデルである広告事業でも、広告を「情報」ととらえているという。企業規模を問わず、中小企業でも自由に情報を活用できるというメリットがあるからだ。

 「我々のリスティング広告は、どなたでもインターネットから申し込めるのです。クレジットカードで支払ってくれればいい。基本的には商品やサービスを知ってもらうための広告なんですが、ネットを使ってビジネスを創るお手伝いをする側面もある。広告の金額も我々が一方的決めるのではなくオークションになっています。我々の本来の役割は情報のプラットホームです。プラットホームをご提供することで、インターネットを活用したビジネスの活性化のお手伝いをしているという考え方です」

 これ自体も先ほどの『パーソンファインダー』の考え方と同じように、広告という情報を整理してアクセスしやすくするというミッションに基づいているわけだ。すべての行為はいかに儲かるかではなく、いかにミッションに近づけるかという考えの上に立っているという。

社員食堂が無料のわけ

 20%ルール同様、グーグルで有名なルールの1つに社内食堂がタダというものがある。ほかの会社でも会社から補助が出ている例はあるが、完全に無料というケースはほとんどないだろう。その違いは、グーグルが社員食堂を労働環境の改善策としてではなく、生産性をはじめとした会社運営の根本的な効率化策としてして位置づけているからだ。

 「社員がみんなでお昼時に会社を出て行くと移動に時間がかかるし、お金を払うために並ぶからさらに時間がかかる。仕事の話も外ではできないですよね。社内で食事を済ませることができれば、仕事の時間とランチタイムの切り替えが効率的に行えます。また、みんなが一堂に会することで部署間のコミュニケーションが活発になり、仕事が効率化するメリットもある」

 一般の会社では普通、原価を削らなければならない、販管費を削らなければならないと資本の最適化に走るわけだが、グーグルはその食事移動にかかる時間やコミュニケーションロスを逆にコストと見て効率化を求めた。その結果が社員食堂の無料化となった。

 グーグルでは、開発技術者だけでなく、営業部隊などもイノベーションの発想を求められる。出来上がったものを売るだけでなく、新しいビジネスの芽を探し、その仕組みを構築せよとハッパをかけられる。技術者と営業担当などが緊密にコミュニケーションできる場を提供する意味でも、無料の社員食堂がイノベーションの活性化に一役買っている。

働きがいのある企業でトップに

 グーグルは2011年発表の調査会社GPTWジャパンの「働きがいのある会社ランキング」(参加151社)でトップになった。その働きやすさの理由を尋ねたら、興味深い答えが返ってきた。「(グーグルが開発した)Gmailやカレンダー、Documentなど、グーグルの提供ツールが揃っていること」だというのである。

 ツールに加えて、データセンターの対応能力も巨大で、技術者にとっては最高の仕事環境なのだ。これもミッションを遂行するための効率化経済だけにとらわれない巨大な投資の結果とも言える。

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