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日本の若者が作ったバングラデシュ、「家族のような工場」

現地の良さを引き出したマザーハウス物語

  • 安西 洋之,中林 鉄太郎

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2011年7月6日(水)

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 ローカリゼーションマップは地域ごとのモノへのローカリゼーション期待度をマップ化することで、市場の文化の特徴を大雑把に掴むことを目標としている。製品をローカライズするかどうかの判断は、その先にある。ローカライズすることが必ずしも正解なのではなく、ローカライズすべきか考えること自体が重要である。そのためのツールがローカリゼーションマップだ。

 また、ローカリゼーションマップはローカルの価値にも光を当てる。グローバルというのは無数のローカルの集合体であるとの認識に立脚しているからだ。それぞれのローカル文化が衝突しあい、影響しあって変化していく。そこで共通点を持った新しい文化が、「グローバル文化」になる。戦略的イメージが強い米国のグローバリズムであっても、程度の差こそあれ、そんな文化の衝突というプロセスを経ている。

 ローカルな価値を再発見する――。

 これが「地産地消」的なサイクルを活性化させることもあるが、その地域の外に認知を広めて、グローバルなブランドに飛躍していくことも多い。

 今回は、そんなグローバル・ブランドを目指して歩み始めた日本の若い企業を紹介する。それも日本から発信するのではなく、バングラデシュからである。バングラデシュの素材を見つけ出し、バッグを生産して日本と台湾で販売している。

 話を伺うのはマザーハウス副社長の山崎大祐氏だ。社長の山口絵里子氏の慶応大学の計量経済学ゼミの1年先輩で、卒業後はゴールドマン・サックス証券でアジア経済を担当するエコノミストだった。会社を辞めてアジア大陸をバイクで横断しようと計画していた時、山口氏がバングラデシュの大学院を卒業して日本に戻ってきた。彼女が持ち帰ったバックを見て、新しい道に踏み出すことになる。

「社会的企業」ではなく、正真正銘のビジネス

 再会の1年後、山口氏はマザーハウスを設立する。2006年、まだ彼女が20代半ばのことだった。「途上国経済の自立を、ビジネスによって後押ししたい」。そんな理念でスタートした。バッグなどのアパレル製品をバングラデシュで生産して、先進国で販売する。現在、日本に7店舗、台湾1店舗を展開している。

 「ソーシャル系」と呼ばれる社会貢献に関心の高い若者の間で、その名を知らない人はいない。しかし、マザーハウス自身は「ソーシャルエンタープライズ(社会的企業)」と称していない。通常のビジネス活動だと強調している。いや、本来のビジネスがあるべきモデルを示している。

 顧客の年齢層も興味深い。20代も30代も、それぞれ30%。40代と50代がそれぞれ20%。必ずしも若い「ソーシャル系」ばかりではない。逆にいえば「ソーシャル系」の持つ意義が、日本でも理解されつつある兆しだと捉えることができる。

 マザーハウスが生産しているバックは「ジュート」という天然繊維で作られている。「黄金の糸」として知られ、18世紀にインドからヨーロッパに伝わった。以来、保存のための「麻袋」として使用されてきた。

 ジュートは長くバングラデシュで使われてきたものだ。マザーハウスはこれを素材として使い、完成品に仕上げたバッグを日本に輸出し始めた。モノづくりに長け、しかも最も進んだ消費社会の日本に送り出したわけだ。そしてこの国で認められたことを、バングラデシュの人々は誇りに思っている。

 このプライドゆえに、バングラデシュのスタッフが日本市場にあう品質管理や経営方法を受け入れた。プライドがあるからこそ、外の考え方を受容できる。その逆ではない。

 「最初に認めることで、相手は助言を受け入れやすくなる。グローバリゼーションの最初のエンジンは、限界コスト低減(大量生産型社会における新需要地の創出)という経済原理の中で、均一化を図ることだった。決して、ローカル同士の出会いではないと考えられていたんです。でも、私たちの動きは逆です。最初に注目したのは地域の素材、ジュートです」

 工場が軌道に乗るまでに、何度となく騙されたり、災害に見舞われるなど、窮地に追い込まれた。外注先の工場内で、山口氏のパスポートが盗まれたり、政情不安で街が騒動に巻き込まれて工場が閉鎖されたこともある。やっと沈静化して工場に戻ると、材料が全てなくなっていた。そのたびに、どん底に突き落とされた。それでも諦めない強い信念と、いつも一歩引いて客観的に考える習慣が、マザーハウスの幹部にはあったのだろう。こうした窮地から、何度も立ち直ってきた。そして、二転三転しながらも、ついに自社工場が稼働した。互いを認め合うことで、ローカリゼーションが可能になったのだ。

 そのマザーハウスは、旅行大手のHISと手を組んだプロジェクトがある。日本からバングラデシュに出向いて、マザーハウスの工場で自分のバッグを製作する体験ツアーである。モノとお金だけでなく、人の交流を促進することを目的に、2009年から始まっている。

コメント1件コメント/レビュー

バッグの話なので、せめて1枚でも商品の写真がほしいです。(2011/07/06)

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バッグの話なので、せめて1枚でも商品の写真がほしいです。(2011/07/06)

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