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第7話「社長次第で会社は天と地の違いがある。不思議だが本当だ」

2011年7月11日(月)

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 「社長、おはようございます」
 「おはよう」

 いつもの朝のやりとりだ。あの男が会社にやってくると、いつも、いの一番に古堂(こどう)が熱いコーヒーをささげもって社長室に入る。小鳥が、「朝が来ました、朝が来ました」とさえずりながら楽しげに唄うように、一日の始まったことをあの男に告げるためだ。

 海外ブランドものの淡いブルーのスーツ姿と短くひっつめた髪型が、最古参の独身秘書らしさをかもしだしている。もちろん、内外海行があつかっているブランドの一つだ。どうやら、腰まわりのサイズが少し窮屈になってきていた。

 「おや、古堂さん、なにかあったの? 今朝はなんだか声の調子が違うなあ」
 あの男がロッカーに上着をしまいながら、背中を向けたまま古堂に話しかけた。
 怪訝そうな声だ。

 「変だよ。なにがあったのか、教えて。
 厭な話かな?
 それなら、一番聞きたくない話だから、一番最初に教えてちょうだい」

 「おそれいります、社長。
 実は、『経済ワールド』の大宮が、昨日訪ねてきました」

 「経済ワールド? 大宮?
 どうして?
 あの男の取材申し込みは来週か再来週っていうことになっていたんじゃなかったっけ」

 「ええ、そうなんです。そうなんですけど、でも、昨日、突然来たんです。
 それだけではありません」

 「古堂さん、話は結論から。
 いつもいっていることでしょう。あなたには、もう何百回そう頼んだかわからないよ」

 「済みません。
 私にインタビューしたいというので、お断りしました」

 「君に?
 どうして?
 なにを?」

 「はい、社長秘書に、社長の素顔について聞きたい、と。
 それで、受付のものが、『社長の素顔について秘書に聞くのなら、古堂がよい』と申しました。
 受付のものが私に事情を報告しましたので、私は受付のカウンター越しに、大宮と話しました」

 「なんて?」
 「はい、社長がいらっしゃらないことと、取材は広報をとおす規則になっていることとを申しました。約束の日が先になっていることも申しました」

 「なるほど、どれもそのとおりだ。
 それにしても、そんなことはとっくに承知の大宮が、どうして?」

 「あとで広報に聞きましたら、『社長の素顔』という雑誌のシリーズ企画で、うちにも取材依頼が入っていることは間違いないそうです。ですが、日づけは再来週の水曜日、午後3時から1時間ということになっているそうです」

 「うん、そんな話だったよな。
 それを、大宮は、どうして?」

 「わかりません。
 でも、カウンター越しに私がお話しましたら、『じゃ、また来ます』とだけいって、すっと出てゆきました。」

 「へえ、変な話だ」
 「ええ、変なんです。」

 「なにか思いあたることがあります?」
 「ございません。
 あ、そういえば、私の名前を受付の女性に聞いて、私が何歳かたずねたそうです。もちろん、受付のものは答えていません。知らない、といったそうです」

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