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「大衆の名門ゴルフ場」を目指す

震災に負けない人々(10)福島範治・鹿沼グループ社長

2011年7月12日(火)

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 ゴルフは不要不急の代表と言っていい。したがって、多くの観光地のように、ゴルフ場も客激減に苦しんでいる。

 今回はこのゴルフ場を栃木県と静岡県で4カ所運営する鹿沼グループの取り組みを紹介する。栃木県にある1コースは決定的な打撃ではないが、地震の直接的な被害を受けた。他のコースも、地震直後から始まった交通機関の混乱、高速道路の通行止め、ガソリン不足、そして消費の自粛によって客足が遠のいた。

 何も手を打たなければ7月には資金ショートする。そんな危機意識から、鹿沼グループが打つ手は早かった。施設の修繕をすぐに行い、営業を地震後1日も休まずに継続することを決めた。雇用を守るために、単に業務効率を高めるだけでなく、仕事のやり方を変え、合わせて顧客満足を一緒に高めるようにしていった。

 さらに、地震後の消費者行動を冷静に分析して、短期的な利益追求ではなく、長期的経営のための「顧客像」を明確にした。この結果、今後の経営戦略を再構築できただけでなく、より効率的な方法で、より高い品質のサービスを提供できる基礎体力を地震後に身に付けることができた。

 今回はこの鹿沼グループの福島範治社長に話を聞いた。

内藤 地震当時を振り返ると、何を思い出しますか?

社員たちの力を見た

福島 3月11日に東日本大地震が起きた時、窓の外に見えた標識の揺れ方は半端じゃありませんでした。都内で打ち合わせをしていましたが、周りはすぐにパニックになりました。

 そこで打ち合わせを終わらせて、神田にある事務所に行こうとしました。しかし、外に出てもタクシーはつかまらないし、電車も動いていない状況でした。携帯電話も通じない。だから、どこにも連絡をとることができませんでした。しかたなく、神田まで歩きました。

 事務所に着いたら、それぞれのゴルフ場がどうなっているのか確認するために電話を入れました。なかなかつながりません。そして、夕方遅くに何とか連絡がつきました。

 栃木県鹿沼にある本部で、社員がパッと動いてくれ、情報収集をきちんとやってくれていました。お客様が無事だったことをまず確認できました。社員の安否確認も取れていました。コースにも大きな被害はなかったんです。ただ鹿沼カントリー倶楽部(CC)の施設の一部に破損があったという報告が入ってきましたが。情報がきちんと入ってきたのは大変に助かりましたね。社員たちの力を見ることができました。

 その日は、結局、夜まで神田の事務所にいて、各現場と連絡を取り合いました。そして、この確認作業の結果、幸い営業を続けられる状況だと判断できたので、社員に向かってそう指示しました。「お客様が1人でも来てくれる限り、これまで通りに営業を続けよう」と。

 地震の翌日、電車は止まり、高速道路も通行できませんでした。だから私は栃木に行くことができなかった。ただ静岡方面の高速道路は動いていたので、まずグループの富士御殿場ゴルフ倶楽部(GC)に行きました。地震の翌々日の3月13日は計画停電が始まる前でしたので、東武特急スペーシアが動いていて、栃木に行って残りの3コースを見て周ることができました。

 「何でもいいから情報を出せ」

 そう言うと、破損が全部で60カ所以上あることが分かりました。そして、細かい破損の修繕や応急処置、特に危険なところはバリケードを貼ってお客様が近づかないようにする指示などを現場で出していきました。会社のコースメンテナンスなどの部署で、自らできる工事は全てやってしまいました。工事の発注の許可も、その場で出しました。このように全コースを周って、結果的にその2日間で、自分たちでできる作業は全部終わらせることができました。

 鹿沼CCには比較的大きな破損がありました。クラブハウスの風呂と階段が破損し、レストランの窓ガラスにヒビが入っていました。駐車場の階段も崩落しました。地下水を汲み出すポンプの電気系統にも不具合が出て、コースに水がまけなくなりました。

 クラブハウスは、50年ほど前の建物で、それを20年以上前に改築して、そこに風呂を付け加えていました。その継ぎ足したところに段差ができて、タイルも崩れました。危険ですので、タイルはカバーして、段差は厚手のゴムマットで覆って足元をケアして、シャワーだけは使えるようにしました。今、この風呂の改修工事に着手していますが、どうせやるからには夏までに直してしまおうと思っています。

 また、しばらく食材が入ってこないと思ったので、応急処置としてレストランは限定メニューにしました。ガソリン不足が深刻でしたので、コースメンテナンスも最低限にしました。社員の出勤体制も各コースの支配人達とその場で決めました。

 今にしてみれば、この早めの対応が効きました。計画停電になってからでは、会社が混乱して機能停止に陥ったかもしれません。しかし、宇都宮から北にあるゴルフ場は、グリーンにひびが入ったり、崩落したりしたところもあったようです。そのようなゴルフ場は、整地したり、芝を貼りなおしたり、どこも苦労しています。営業を再開できないところすらあるようです。

内藤 客の動きはどうでしたか?

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「「大衆の名門ゴルフ場」を目指す」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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佐々木 眞一 日本科学技術連盟理事長、トヨタ自動車顧問・技監