• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

大震災に揺らいだ再建計画

第1回 被災者の「一時帰宅バス」にトップが添乗

2011年7月14日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 福島県会津若松市に本拠を持つ会津乗合自動車(通称・会津バス)は、地域の足として地元経済を支えてきた。だが、地方都市でよく見られるようにバス離れによる乗降客数の減少で、経営は苦境に追い込まれた。2010年に企業再生支援機構への支援を要請、今年3月12日に新体制が発足し、復活を目指すはずだった。だが、折しもその前日、福島県は東日本大震災に襲われた。そこから再建を目指す会津バスの動きを、企業再生支援機構から派遣された中里基取締役が自ら語る。

 1年で最も昼間が長い「夏至」の6月22日。日本列島は太平洋高気圧に覆われ全国的に真夏日となった。この暑さの中、東京電力・福島第1原子力発電所から半径20km圏内の「警戒区域」にあり、集団避難をしている福島県双葉町の住民は一時帰宅を実施した。

 私は現在、福島県会津若松市のバス・タクシー会社、会津乗合自動車(通称・会津バス)の取締役を務めている。福島県は東西に長い形状で、3つの地域に分かれている。太平洋沿岸から阿武隈山系までの地域が浜通り、奥羽山脈までの地域が中通り、その先が会津地域だ。原発事故に揺れる福島県内だが、会津地域は原発から約100km離れており、警戒区域からは多くの住民が避難してきている。

警戒区域まで約600メートル、「中継地点」へ

 一時帰宅の際、避難住民は避難している地域から集合場所まで、自家用車のほか、福島県内のバス会社が手配した貸切バスに乗って行くことができる。会津バスも、一時帰宅向けのバスを運行している。22日の一時帰宅では私もバスに添乗させてもらった。

 実は、私は今年3月に会津バスの取締役に就任したばかりだ。近年、経営難に陥っていた会津バスが、2010年12月に国の認可法人である企業再生支援機構の支援を得て再出発することが決まり、企業再生支援機構で会津バスを担当していた私も取締役に就任し、企画・営業・グループ戦略を統括することとなったのだ。今回、バスに添乗したのは、外部から送り込まれた取締役として、現場の社員と体験を共有し、距離を縮めたいという気持ちがあったからだ。当社の福田正・新社長が、一時帰宅の第一便に添乗したことに触発されたのも気持ちのどこかにあったかもしれない。

 朝6時前、バスの運転手とともに会津若松市内の営業所を出発。約800人の双葉町住民が集団避難をしている猪苗代町のホテル、リステル猪苗代で一時帰宅に参加する住民を乗せ、7時に出発した。

 一時帰宅バスは、平均すると週に1~2回運行しているだろうか。現在、福島県バス協会会長の松本順氏が社長を務める福島交通が幹事会社となって、一時帰宅する住民数、バス会社のバスの空き状況などを考慮した上で、各社に手配を行っている。この日、会津バスは猪苗代町から向かうバスの「2号車」を担当し、15人ほどの住民の方々や役場の関係者を乗せた。

 集合場所の田村市都路町の古道体育館には9時前に着いた。この場所は警戒区域から約600メートル離れている。集まった住民らはここで説明を聞き、防護服に着替え、その後、警戒区域内に入る専用バスに乗って自宅に向かう。古道体育館はいわば「中継地点」だ。

バス車中からの見た田村市の体育館

 住民が自宅にいられるのは2時間ほど。再び専用バスに乗って体育館に戻り、ビニール袋に入れた荷物とともにスクリーニング検査を受ける。万一、放射線量が高ければ除染が必要になるが、この日は問題が生じた住民はおらず、午後3時には予定通り古道体育館を出発して帰路についた。

 行き、帰りとも住民の方々と一緒に時間を過ごしたが、どちらかというと緊張感や悲壮感はなく和やかな雰囲気だった。長丁場が予想される避難生活の一部分として、一時帰宅も当然のこととして組み込まれているという印象を受けた。

「会津バス 再生への物語」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

店長や売り場主任などの管理職は、パートを含む社員の声を吸い上げて戦略を立てることが重要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長