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国会議員は歳費に見合う仕事をしているか?

議員のパフォーマンスを評価するシステムを

  • 吉田 耕作

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2011年7月14日(木)

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 管政権は復興財源捻出のために、今後3年間の国家公務員給与の削減方針を提出した。6月7日の朝日新聞の「WEBRONZAから」という欄で、経済学者の榊原英資教授がそれに関して疑義をはさみ、公務員の給与削減より、むしろ国会議員の歳費が飛びぬけて多いという事が問題ではないかと指摘されている。この点に関して、私なりに少々掘り下げて考えてみたいと思い、この文を書くことになった。

 まず、国家公務員の給料について調べてみよう。OECDが発表した2007年のデータに基づいて、国公労連が公務員人件費の対GDP比をグラフにしたところ、日本の比率がOECD23か国中最低であったという事が、インターネットで報じられている。

日本の国家公務員の人件費は5カ国中最低

表1 OECDの主要5か国の
公務員人件費の対GDP比の比較

各国データ 公務員人件費の対GDP比
(単位:パーセント)
日本 0.0639
米国 0.1101
英国 0.1208
フランス 0.1346
ドイツ 0.0741

 私も国公労連に模し、OECD Stat Extractsの2009年のデータから同様なデータを取り出し、主要5か国を選び計算した。その数字が表1の第2列に出ている数字である。数字の多少の違いがあるものの、基本的なランキングは変わらなく、一応この比較では確かに日本の公務員人件費のGDPに占める割合は一番低いようである。ただし、正確性の点から付け加えるならば、国によって国家公務員の範疇が少々違うようである。郵便局の職員や病院の職員が国家公務員である事もあるし、全く民営である国もあるであろう。そこまでのデータが手に入らないので、一応、表1を全体図とみなして頂きたい。

 次に、上記5か国の、公務員数及び人口千人当たりの公務員数を比較したものが表2である。各国の中央政府の国全体の公務員数は、米国がダントツで多いのを除いて、そのほかの国では顕著な違いは見られない。米国は人口も日本の倍以上だし、国土に関しては日本の25倍であることを考えると、一概に非常に多いとも言えないだろう。しかし、この数字を人口千人当たりの公務員数に換算してみると、この5か国間では日本が一番少ないという事は明らかである。

 表1と表2から、例えば、日本と英国を対比してみると、人口比率では日本では英国の半分の人数で、総人件費のGDP比も半分であることがわかる。この点に関しては、日本の公務員は諸国に比べ、効率的な機能を果たしているといえる。世間一般には、公務員は何もしないくせに高い給料をもらって、けしからんという風潮があるようであるが、天下りができるような高級官僚は別にして、一般の公務員は職務を果たしていると評価して良いと思う。むしろ、評判の悪い公務員の給料を下げることによって、国民の人気取りをしようという政権の意図もあるのではないかと勘繰るのである。

表2 労働時間週40時間換算の場合の公務員数の各国比較

各国データ 公務員数
(週40時間換算)
人口千人当たり公務員数
(週40時間換算)
日本 5383千人 42.2人
米国 21659千人 73.9人
英国(職員数) 5261千人 87.9人
英国(フルタイム換算職員数) 4217千人 70.5人
フランス 4971千人 83.8人
ドイツ 5528千人 67.0人

出典:野村総合研究所の「公務員数の国際比較に関する調査報告書」(平成17年11月)

 以上の分析から分かる事は、日本の公務員の人件費を削減し、復興財源に充てるという政策は説得力を著しく欠き、国家公務員の勤労意欲を下げ、国全体としては目に見えない損失を与える可能性が多分にある。

 それでは政府はどうやって復興財源を確保することができるであろうか。本欄の2009年12月17日付の「公務員への“改善訓練”で16兆円のコスト削減に成功した国」と題する一文で、米国政府が連邦政府の従業員に“改善訓練”を与えて、巨額のコスト削減に成功したお話しをした。米国にできて、なぜそれが日本にできないのだろうか。これは国家公務員の問題ではなく、指導者であるべき政治家の問題なのではなかろうか。

コメント17件コメント/レビュー

せっかく統計学を駆使するなら、もうちょっと丁寧な議論をしませんか?そもそも日本は隠れ公務員が異常に多いという現実を忘れてはいけません。例えば歳入に占める公務員(隠れ公務員含む)の人件費を計算してみるとか、一人当たりの年収を全勤労者平均と比較してみるとか、そんなちょっとした手間を惜しまないだけでも、かなり違った議論ができるはずです。国会議員についていえば、まずは定数削減(半減程度)と参議院改革から始めるべきではないでしょうか。それだけでもこの国の政治風景は相当変わってくるものと思います。もちろん、一人一票の実現とか、未成年者の投票権を親世代に付与するとかといった改革も望ましいですね。そんなこんなでずい分改革は進むと思います。(2011/07/14)

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いただいたコメント

せっかく統計学を駆使するなら、もうちょっと丁寧な議論をしませんか?そもそも日本は隠れ公務員が異常に多いという現実を忘れてはいけません。例えば歳入に占める公務員(隠れ公務員含む)の人件費を計算してみるとか、一人当たりの年収を全勤労者平均と比較してみるとか、そんなちょっとした手間を惜しまないだけでも、かなり違った議論ができるはずです。国会議員についていえば、まずは定数削減(半減程度)と参議院改革から始めるべきではないでしょうか。それだけでもこの国の政治風景は相当変わってくるものと思います。もちろん、一人一票の実現とか、未成年者の投票権を親世代に付与するとかといった改革も望ましいですね。そんなこんなでずい分改革は進むと思います。(2011/07/14)

 まずは数値を用いた論議が出たことをうれしく思います。 ただ、数値の考察はもう一工夫欲しいです。 公務員の費用はドイツに関しては人件費は日本の1.2倍、千人当たりの数で1.6倍で公務員一人当たりの給与は日本の0.75倍、よって日本の公務員給与が高いともいえます。 また千人当たりの公務員数が低いのは公務員が効率的なのではなく短にサービスが悪い可能性もあります。 国会議員の報酬に関してもGDPで比較すればフランスは日本の半分であることを考えるとほぼ同じ報酬、もしくはそれ以上と言えます。 次回はより深い統計学的志向を期待します。(2011/07/14)

既に指摘されているが、一部の数字だけを取りあえげてミスリードを行なっているように感じられた。比較するのであれば同じ条件、同じ内容で比較すべきである。気になったのが「国の債務がGDPの2倍」の件だが、国の債務ではなく、政府・地方自治体の債務だろう。ちなみに債権者は95%以上が国民だ。また、これは20年前から指摘されており、その為に政府支出を抑えた結果失われた20年となってGDP比率での債務が増加している現実は無視してはならないと思う。それは置いておいて、日本をどうするべきかと言う議論が国会議員の中で醸成されていないのは、選挙を含めたシステムが機能していないからだと私は思っている。正しい認識と正しい情報で、より幸せな未来へのグランドデザインを描く事が必要ではないかと戸考える。(2011/07/14)

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