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震災後に再加速するグローバル化

でもグローバル人材が足りない

  • 石原 昇

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2011年7月14日(木)

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 震災からの復興を急ぐ日本企業にとって、グローバル経営が一段と重要になっている。日本企業は近年、中国をはじめとするアジアや新興国において、海外現地生産に加え、市場開拓の布石を打ってきた。人口減少による国内市場の縮小が背景にある。震災後は、災害リスクの分散や電力不足への対応のため、さらなる海外シフトを模索している。注目されている環境ビジネスやエネルギー関連において、海外企業の大型M&Aが相次いでいる。こうした日本企業のグローバル化の喫緊の課題は、グローバル人材の育成だ。

2011年上半期の海外M&Aは過去最高

 トムソン・ロイターの調査によると、2011年上半期(1~6月)の日本関連のM&A公表案件は、前年同期から45.3%増の6.3兆円を記録した。けん引したのはIN-OUT(日本企業による海外企業のM&A)であり、3.2倍の2.9兆円に達した。これは上半期ベースで過去最高である。IN-IN(日本企業同士のM&A)は1.8倍、OUT-IN(海外企業による日本企業のM&A)は55.6%減だった。

 震災以降(3月12日~6月30日)を昨年同期と比較してみると、IN-OUT、IN―IN、OUT-IN、を合わせた全体で1.7兆円から2.2倍の3.8兆円となった。震災直後は、進行中の案件が、最終合意や入札手続きの中断により延期された。そのため公表金額が半減していたが、5月から急回復した。

 上期最大の案件は、武田薬品工業が5月19日に発表したスイスのナイコメッドの買収である。136億ドル(約1兆1100億円)と1兆円を超える。これにより、東欧、ロシア、中南米などの新興国で収益の4割を稼ぐチャネルを傘下に入れる。同社は2008年にも、がん新薬の開発で定評のある米ミレニアム・ファーマーシューティカルズを89億ドル(7200億円)で買収している。パイプライン(薬剤の開発から販売までの一連のライン)を強化し、規模を拡大して、世界のメガファーマに挑戦する。

 同じ5月19日、東芝が、スイスのスマートメーター大手、ランディス・ギアを23億ドル(約1860億円)で買収すると発表した。次世代電力網であるスマートグリッドを強化する戦略の一環である。6月8日には、マレーシアの電力流通機器メーカーであるトップランク社の買収も発表した。同社を送配電機器の輸出拠点とし、東南アジアで送変電設備の建設を一括で請け負う事業を拡大する。

 6月16日には、伊藤忠商事が、米ドラモンド・カンパニーから、コロンビアの炭鉱の権益を15億ドル強(約1265億円)で買収すると発表した。資源権益ポートフォリオを充実させるためとしているが、福島原発事故で火力発電の需要が高まるなか、発電燃料の調達先の分散を図る動きと捉えることができる。

 下半期以降も、日本企業による海外M&Aは引き続き活発に行われよう。震災後、国内市場の不透明感が増すなかで、日本企業の買収意欲がさらに増しているからだ。巨額のM&A投資枠を公表している企業も多い。アサヒビール8000億円、東芝7000億円、三菱ケミカル5000億円、旭化成4500億円、味の素3000億円、富士フィルム3000億円、NKSJホールディングス2000億円、王子製紙1000億円など、幅広い業種に及んでいる。

 日本企業がM&Aを実行する投資環境は整っている。5年ほど前から増加した欧米のプライベート・エクイティ・ファンドによるM&Aが、エグジット(投資回収)期を迎え、売却案件が多くなっている。日本企業はキャッシュポジション(総資産に対する現預金比率)が25%とバブル期を上回っており、資金は豊富だ。この割合は、欧米企業の10%前後よりもはるかに高い。円高も追い風となっている。

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