• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「働きたいけど働けない!」と命を絶つ人が絶えない悲劇

仕事には、人を元気にする“訳の分からない”力がある

2011年7月14日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「原発で手足ちぎられ酪農家」

 牛舎の黒板にこう書き残し、福島・南相馬市で酪農を営む50代の男性が自殺したのは1カ月前のこと。同じころ、福島県内に住む瓦職人の方々に瓦屋根の修理依頼が一気に押し寄せ、2人が過労や心労から自殺した可能性があると報じられた。

 仕事ができなくて命を絶つ人、仕事がありすぎて命を絶つ人──。

 仕事って、いったい何なのだろうか? そんなことを改めて考えさせられた。

 そして先日。今年6月の自殺者数が前年同月比7.8%増の2996人に達し、6月単月としては月別統計を取り始めた2008年以降、最多に上ったことが分かった(警視庁調べ)。

 このご時世、いかなる人にとっても保証された将来などなく、「自分は永遠に仕事ができる」と確信している人はそうはいない。どんな会社に勤めていても、いつどうなるか分からないし、私のようにフリーで仕事をしていれば、なおさらである。

 それでも、「明日は仕事があるのだろうか?」と不安を抱えながら、毎晩、寝床に就くことはほとんどない。

 当たり前のように朝起き、朝食を食べ、着替えて満員電車に乗る。会社に着くと、働いて、働いて、疲れ切る。「あ~、こんな仕事やってられるか~」と思いながらも、また、満員電車に乗り、家に着いてお風呂に入って、再び、寝る。

 時には、「うちの会社、大丈夫かな」とか、「何となく窓際に追いやられているかも」などと、心配になることもあるが、その翌日に、会社がなくなったり、仕事がなくなる確率は極めて低く、仕事が“ある”生活が繰り返されていく。

 おそらく、前出の酪農家の方も、瓦職人の方も、3・11以前は、“今”の私たちと同じだったのではないだろうか。

 もし、突然、明日、仕事がなくなったら……。

 今、私たちの働き方が問われている。少しばかり大げさかもしれないけれど、「しっかり考えろ。そうしないと、取り返しのつかないことになるぞ!」と、冒頭の方々の残念な出来事は訴えているような気がしてならないのだ。

 これまでにも仕事の意味について考えてきた“つもり”だった。でも、それは「仕事がそこにあるものだ」という立ち位置からで、ひょっとすると、至極真面目に、腹の底から真剣に、仕事について考えてなんていなかったんじゃないか、と思ったりもする。

 そこで、今回は、仕事がある、ない、の境界線上に立って、仕事のことを考えてみようと思う。

 とはいえ、私自身、仕事という枠内に完全にいる人間なので、どこまで本質をとらえられるか自信がない。それでも、考えを必死に巡らせる時に脳内に登場するサルやら、ウサギやらの力を借りて、とことん考えてみようと思います。

日常の一部だから真剣に考えることのない仕事の意義

 「『働くのはお金のため』なんてことを言うのは、自分が納得できるような仕事ができていないことの言い訳。そんなこと言えるのは、ぜいたくもんだけだ」

 生活保護を受けている人たちの取材を重ねていた知人が、ある時、1人の年配の男性にこう言われたと打ち明けたことがあった。

 もともと知人は、生活保護を受けている人たちがどういう生活をしているのかを把握しようと、取材を始めた。そこで、ほとんどの人が、「働きたい。人のために働きたい。金じゃないんだ」と必死に仕事を探していることを知った。取材をするまでは、そんなに多くの人が「働きたい」と願っているとは考えていなかった。

コメント64件コメント/レビュー

私にとって新しい視点でした。うちの妻は「仕事」と称して家の家計から持ち出しばかりの仕事を取ってきます。私がそれは家計にプラスではないから「趣味」じゃないのと指摘すると異常に怒ります。理解できないと思っていましたが、今回の記事でなるほどと腑に落ちるものがありました。(2011/08/05)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

一覧

「「働きたいけど働けない!」と命を絶つ人が絶えない悲劇」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私にとって新しい視点でした。うちの妻は「仕事」と称して家の家計から持ち出しばかりの仕事を取ってきます。私がそれは家計にプラスではないから「趣味」じゃないのと指摘すると異常に怒ります。理解できないと思っていましたが、今回の記事でなるほどと腑に落ちるものがありました。(2011/08/05)

生活保護の人たちと話をした経験はありませんが、不法占用者あるいは浮浪者(他人の土地に勝手に物を置いて住み着くのは犯罪です。私はホームレスという単語は嫌いです。)がどういう労働意識を持っているのかは聞き取り調査をしたことがあります。私が聞いた範囲では、あまり働きたくない、かつ通常生活での社会にある人間関係が嫌で逃げているという人ばかりでした。さて、私が聞き取りしたことの無い人達が、本当に、ほとんどの人が働きたいのでしょうか?カネじゃなく人のために?信用できません。圧倒的な範囲で介護関係の求人は雇用倍率が6倍というところもあるほど求人超過です。(2011/07/28)

それは仕事である必要は無いのでは?私も仕事をしなくて良いならしないで趣味に興じていたいものです。 また、最初の文章から、以前TVでやっていた相馬の男を思い出しました。 職員の男性が仕事を紹介しても「がれき撤去は安全靴とかしても怪我をしますよね」「外に出ると虫とかに刺されて嫌じゃないですか」等とのたまっていた彼は毎日義捐金でパチンコ三昧、晩酌は欠かせないそうですね。 と言うことで仕事は選ばなければあるはずです。プライドか何かが死んでも嫌なほどに邪魔するようです。(2011/07/27)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

組織を正しい方向に導き、 作り変えていける人が、優れたリーダーです。

ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長