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地震が起きた直後、すでに勝負はついていた

第10回 冨山和彦氏と語る「トップ」と「組織」【前編】

2011年7月19日(火)

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 経営共創基盤CEOの冨山和彦さんは、強烈な「トップダウン型」のリーダーと思われているところがあります。
 そうした面があることは間違いないのですが、私が4月に別件でお目にかかった時に伺った、震災直後の不確かな状況の中でどうトップとして決断してきたかというお話の端々に、「組織」「ルール」への気遣いを感じました。
 それを思い出し、今回の連載の最後に、読者の方にもう一度「トップとは」「組織とは」を考えていただくヒントにしていただきたいと思い、対談をお願いしました。

組織構造と直感

清水 冨山さんは、組織は横で3人、縦で3人、3×3で9人もいれば、どんな難しい問題に対してもしかるべき決断にたどり着けるというお話をされています。この3というのは、どこから来たのですか。

冨山 まじめに議論できて、話を効率的に進めるには3人ぐらいがいいという話です。3人ぐらいまでだと、伝聞があっても1回で済みます。あとは直接情報なので、そんなに話が歪みません。こっちとこっちの端でも1人しか間に入ってないから、全体が見えます。それ以上増えると、人間はリアリティーがなくなるんですね。

 そうなると意思決定するときのガッツフィーリングが失われるので、だいたい間違えます。

清水 直感が働くかどうかですね。

冨山 人が増えると直感は働きません。責任感も希薄になるし。

清水 冨山さんも私もMBAを取得し、コンサルタントをやった経験がありますが、経営の分析だけでは答えは出てきません。

冨山 分析結果は結論ではありません。人間の判断には絶対にジャンプがあるんです。そこはある種の感性が確かにすごく大きく作用している。同じデータと同じ分析を見て、ゴーと言う人と、ノットゴーと言う人と絶対に分かれます。

冨山 和彦(とやま・かずひこ)
経営共創基盤代表取締役、CEO。1960年生まれ、東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。BCG、コーポレイトディレクション代表取締役社長を経て、産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。オムロン社外取締役、ぴあ社外取締役、朝日新聞社社外監査役、財務省・財政投融資に関する基本問題検討会、文部科学省・科学技術・学術審議会基本計画特別委員会委員。中日本高速道路社外監査役
(写真:陶山 勉 以下同)

清水 情報に対してリアリティーを感じられるかどうかが重要だということですね。組織が3×3くらいだと、例えば現場の長の顔が浮かんでくる。

冨山 性格も分かっているから、どういうバイアスがかかるかも分かっている。あの人は慎重な性格で、何とか自分で頑張っちゃうタイプだから、半分ぐらいは自分でため込んでいるんじゃないのかな、ということも考えられるわけです。

 データはある種の客観的事実に近いですが、結局、データを参考にしながら、実際にどんなことが起きているんだろうと想像しているわけです。

 我々は伝聞で、ある事実を頭の中で再構成しています。伝言をする本人はテープレコーダーではないので、必ずその人の解釈とか、性格のバイアスがかかるでしょう。そうすると僕の目の前にいる人間、その後ろにいる人間くらいだったら、だいたい分かっているので何とかなる。ところが、5人も10人も間に入ると、知らない人が入ってくる。そうなると、もう顔も分からないでしょう。

清水 その意味から言うと、リーダーそのものの資質や能力はとても大きな問題なんですが、それだけになってしまうとリーダーがダメだからで終わってしまいます。スーパーリーダーでなくても、普通のリーダーでも良い組織にならなければいけないと思うのです。

冨山 リーダーの資質より、むしろ問題は構造やシステムです。

リアリティーのある情報が上がらない理由

清水 リアリティーのある情報が上がらないというのが、すごく大きいと思うんです。問題の1つは先ほどお話にあった、レイヤーがいっぱいあり過ぎることです。また、誰がどの情報を持っているかが全然分かってないこともあるでしょう。

 実際、今回の原発事故の場合も、みんな誰がどの情報を持っているか、お互いにおそらく余り知らないのではないかと思うのです。

冨山 大きい組織の場合はそうなります。リーマンショックの時も完全にそうでした。あの時は、そもそも信用収縮も起きているし、売り上げが急激に減少するという需要側の制約要因が大きくなったので、急速にカネがなくなりました。

 結果として金庫からカネがなくなることは分かっているけれども、それがどこでどうなくなっているのかが全然分からなかった。これが当時の日本の会社でした。誰でも知っている超有名、優良企業を含め、ものすごい勢いでそれが起きていました。

清水 現場でいい人が頑張って、情報を集めると言ったとしても、どこかで情報が滞留していました。その原因は何なのでしょう。

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「地震が起きた直後、すでに勝負はついていた」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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