• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「信頼」を軸に企業と働く人の関係は変貌していく

守島基博・一橋大学教授が予見する方向性

2011年7月25日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 東日本大震災でサプライチェーンや物流網が寸断され、日本企業の多くは事業活動の停止を余儀なくされた。その反省から、新たに創造していくべき経営のモデルとは──。企業で経営再創造の最前線に立つ実務家の取り組みや識者の論考を通して模索していく。

 今回のテーマは、組織のあり方や社員の働き方がどう変わっていくか。震災は、人と人とのつながり、人間同士のきずな、働く人々と企業との信頼関係といったものの大切さを人々に思い出させた。そうした中、企業にとっては、緊急時に強い組織のあり方はどのようなものか、従業員をどう活かすべきかといった課題が浮上している。

 一方で、働く側の価値観にも変化が見え始めている。「何のために働くのか」を自問し、これまでの働き方を見直そうとするビジネスパーソンが増えているのだ。こうした状況を受けて、「企業と働く人の関係」はどう変わっていくのか。一橋大学で人材マネジメントを研究する守島基博教授に見解を聞いた。

(取材構成は、秋山基=ライター)

 「ボンディング(bonding)」という英単語をご存じだろうか。この言葉は、組織における人々のつながりやきずな、組織のメンバーが組織やリーダーに対して抱く信頼感を指す。

 これらは、組織を機能させるために欠かせない重要な資源なのだが、日本企業では長年、あたかも空気のように「あって当然」のものだと思われてきた。そして近年では、ボンディングをあまり重視しない企業も増えていた。

「契約の束」にシフトした日本企業

 背景には、米国流の経営の影響がある。米国流のファイナンスを重視した企業論では、企業を「契約の束」と見なす。株主とトップ、トップと幹部、幹部と社員という具合に、契約関係の束がたくさん集まってできているのが企業だというとらえ方だ。

 これに対して、企業は「信頼の束」だとする見方もある。株主はトップを信頼してお金を預け、トップは幹部を信頼して仕事を任せ、幹部と社員、さらには社員同士というように、信頼関係の束がたくさん集まって形作られているというとらえ方だ。

 平常時であれば、「契約の束」である企業の方が、効率性において勝る。上司が部下に指示を出す時、「この仕事を成功させてくれれば、ボーナスを出す」と言うだけで済むのであれば、人を動かすコストは明確だからである。

 一方、「信頼の束」を目指す企業は、ともすれば非効率に陥りやすい。信頼を構築するためのコストはいくらかかるのかが見えづらく、場合によっては、コストをかけすぎてしまうこともある。

 バブル崩壊後の90年代以降、日本企業の多くは、「信頼の束」としての性格を薄め、「契約の束」の方向にシフトしていった。例えば人材管理の非効率を退治するために成果主義が導入され、社員は自立を求められた。

 それは、集団主義に埋没していた個を解き放ち、創造性を呼び起こすためでもあったが、社員に自由を与える代わりに、自己責任で働いてもらう、自分のキャリアは自分で築いてもらうといった考え方が、企業側に広がっていった。結果として、あたかも個々の社員が企業と契約を結ぶような働き方が、あちこちで見られるようになった。

コメント3

「復興の経営学  ここから始まる企業再創造」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

環境の変化にきちんと対応して、本来提供すべき信頼されるサービスを持続できる環境を作り出さなければならない。

ヤマトホールディングス社長 山内 雅喜氏