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人気シェフ、炊き出しで腕を振るう

震災に負けない人々(12)奥田政行アル・ケッチャーノ・オーナーシェフ

2011年8月9日(火)

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 山形県鶴岡市は巨大市場の首都圏から遠く離れている。この鶴岡市の郊外にあるレストランが、地場イタリアン「アル・ケッチャーノ」。地元の野菜を使い、生産者である農家と消費者をつなぎ、食で地域を元気にすることを目指している。もともとは近隣の住民が主要な客だったが、その料理が評判を呼び、今では近隣住民に加え、全国各地からアル・ケッチャーノに客が訪れる。

 奥田政行オーナーシェフは、7年間の修行を東京で終え、1994年に生まれ故郷の鶴岡に戻り、2000年にこのレストランを始めた。しかし、開業当時、父親は大きな借金を抱え、また本人も現金をわずかしか持っていなかった。そのこともあって、喫茶店だった居抜き物件で開業した。また、2002年に無登録農薬問題が起こり、山形県の農業は大きな打撃を受けた。このように、経営が軌道に乗るまでは多くの苦難があった。だが、普段着で気取らずに食事ができる空間を作り、しかも食材が活きる調理方法を編みだし、料理の品質を高める店舗運営を確立、多くの客が押し寄せるようになった。

 そこに東日本大地震が襲った。そして、アル・ケッチャーノも他店と同じように予約のキャンセルに襲われ、地震直後から客足が遠のいた。しかし、そこから奥田シェフの行動は早かった。これまで経験してきた困難をもとに、料理人としてできることを次々と始めた。つまり、今回の東日本大地震を1000年に1度という想定外の災害と考えず、山形の無登録農薬問題での経験もフル活用し、食で東北を復興することに取り組み始めたのである。

 奥田シェフは地震の直後からどのように動いたのか。また、東北復興に向けたシナリオをどう描いているのか聞いた。

内藤:まず、地震が起きた直後のことを教えてください?

地元のお客様が来てくれました

奥田:3月11日は鶴岡にいました。出張で留守にすることも多いのですが、その日はたまたま予定が何もありませんでした。その前日と前々日は、実は青森県八戸へ出張に行く予定がありました。しかし、その出張を止めて東京・代々木と群馬・高崎に予定を作って、3月11日にはここに戻っていました。本当はいつも忙しく、予定表も必ず埋まるのに、なぜか奇跡的にこの地震があった日だけはスケジュール表は真っ白でした。

 そして午後2時46分、地震が起きた時間には、この店にいました。

 「長い。これはまずい」。瞬間的にそう思いました。すぐに表に出るように、全員に言いました。この日は通常営業していました。ちょうどランチタイムが終わった時で、お客様が1組だけ残っていたのですが、すぐにお客様とスタッフ全員に外に出てもらいました。

 地震直後から、予約のキャンセルが多く出始めました。日によっては全部キャンセルになった時もありました。しばらく暇になってしまいました。ここに来るお客様は仙台圏の方が一番多く、そこが被災しているのでお客様が大きく落ち込みました。それでも、結果的には、例年の3分の1のお客様は来てくれました。いつもはほとんど満席で、なかなか地元の人が思い立ってすぐに気楽に食べに来ることができなかったのが、地震直後は今までなかなか入れなかった地元のお客様が動いてくれたのです。

 ところが、ゴールデンウィークに入って状況が少し落ち着いたようです。集客のために何か特別なことをやったわけではありませんが、被害がそれほど大きくなかった秋田や山形の人達が、鶴岡まで来てくれました。結果的に、ゴールデンウィーク期間中は史上最高の人数のお客様が来てくれて、回転を速めて何とか乗り切りました。そして、このゴールデンウィークが終わってから今まで、ほぼ元通りの状態に戻りました。

内藤:地震によって、何かやるべきことが頭に浮かびましたか?

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「人気シェフ、炊き出しで腕を振るう」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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