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ばかばかしい。感謝するの、やーめた!

[7]愛情とは見返りを求めない行為のこと

2011年7月27日(水)

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「ねぇ、この料理おいしい?」
かみさんが聞く。

「うん。おいしい、おいしい」
僕が言う。

 確かにいける。この「野菜の肉巻き」。豚の薄切りロース肉で、アスパラやごぼうや人参やえのき茸を巻いてある。肉のうまみがありながら、野菜たっぷりで低カロリー。僕のお気に入りのメニューだ。甘辛く醤油と砂糖で炒めたものが、ホカホカの湯気と共に食卓に出てきた。

 こりゃあ、たまらん。白いご飯が進む、というものだ。食卓にはそれ以外にも野菜たっぷりの健康的なメニューが並んでいる。「ホウレンソウのごま和え」「小松菜の煮浸し」「かぼちゃの煮物」…。どれも僕の好物だ。

5分間で5回「どう? おいしい?」

「ねぇ、おいしい?」
またもやかみさんから尋ねられた。

「あぁ、すごくうまいよ」。僕が答える。

「この小松菜ね、すごく出汁取るのが大変だったの」
「でねぇ、小松菜の根元に泥がすごくて……」
かみさんは一生懸命に料理の大変さを語る。

「そうか、そうか。それは大変だったね」
「へぇ。そうなの」
僕は相づちをうち、なるべくお皿や茶碗から目を離して、彼女の顔を見ながら会話を続けた。

「ねぇ、それで、どう? おいしい?」
またもやかみさんが尋ねて来た。

 僕は指を折りながら数えた。うん。5分間で5回目の質問である。僕は少し、切れそうになった。

 「うっ、うまいって、さっきから言っているんだろう! 何回言わせるんだ!」

 そんな言葉が一瞬頭に浮かんだ。しかし、グッとその言葉をかみ殺し、僕は、こう言った。
「あぁ。おいしいよ。うん、うまい」
そして、心の中で「はぁ…っ」と小さくため息をついた。

オレも言ってみようかな「誉めて、誉めて」

 「ねぇ、おいしい?」という言葉は、言い換えれば「頑張ったでしょ。誉めて、感謝して」という承認のおねだりに等しい。それを言うかみさんの気持ちはよく分かるが、そればかりを求められるとこっちの気分が下がるというものだ。

 かみさんは、誉めてもらうために料理をしているのか。仕事で頑張って家計を支えている僕を助ける、支援する。そんな気持ちはないのだろうか。こんなふうに考えてしまうのだ。

 そんなんだったら、俺だって誉めてほしい。そういえば、毎月給料をもらってくる時、高い家賃を払う時、ローンの支払い時にかみさんから感謝されたことは1度もなかったなぁ。オレも今度言ってみようかな。「ねぇ、家賃払ったんだ。誉めて、感謝して」と。

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「ばかばかしい。感謝するの、やーめた!」の著者

小倉広

小倉広(おぐら・ひろし)

組織人事コンサルタント

小倉広事務所代表取締役。組織人事コンサルタント、アドラー派の心理カウンセラー。大学卒業後、リクルート入社。ソースネクスト常務などを経て現職。対立を合意に導く「コンセンサスビルディング」の技術を確立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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佐々木 眞一 日本科学技術連盟理事長、トヨタ自動車顧問・技監