「ねぇ、この料理おいしい?」
かみさんが聞く。
「うん。おいしい、おいしい」
僕が言う。
確かにいける。この「野菜の肉巻き」。豚の薄切りロース肉で、アスパラやごぼうや人参やえのき茸を巻いてある。肉のうまみがありながら、野菜たっぷりで低カロリー。僕のお気に入りのメニューだ。甘辛く醤油と砂糖で炒めたものが、ホカホカの湯気と共に食卓に出てきた。
こりゃあ、たまらん。白いご飯が進む、というものだ。食卓にはそれ以外にも野菜たっぷりの健康的なメニューが並んでいる。「ホウレンソウのごま和え」「小松菜の煮浸し」「かぼちゃの煮物」…。どれも僕の好物だ。
5分間で5回「どう? おいしい?」
「ねぇ、おいしい?」
またもやかみさんから尋ねられた。
「あぁ、すごくうまいよ」。僕が答える。
「この小松菜ね、すごく出汁取るのが大変だったの」
「でねぇ、小松菜の根元に泥がすごくて……」
かみさんは一生懸命に料理の大変さを語る。
「そうか、そうか。それは大変だったね」
「へぇ。そうなの」
僕は相づちをうち、なるべくお皿や茶碗から目を離して、彼女の顔を見ながら会話を続けた。
「ねぇ、それで、どう? おいしい?」
またもやかみさんが尋ねて来た。
僕は指を折りながら数えた。うん。5分間で5回目の質問である。僕は少し、切れそうになった。
「うっ、うまいって、さっきから言っているんだろう! 何回言わせるんだ!」
そんな言葉が一瞬頭に浮かんだ。しかし、グッとその言葉をかみ殺し、僕は、こう言った。
「あぁ。おいしいよ。うん、うまい」
そして、心の中で「はぁ…っ」と小さくため息をついた。
オレも言ってみようかな「誉めて、誉めて」
「ねぇ、おいしい?」という言葉は、言い換えれば「頑張ったでしょ。誉めて、感謝して」という承認のおねだりに等しい。それを言うかみさんの気持ちはよく分かるが、そればかりを求められるとこっちの気分が下がるというものだ。
かみさんは、誉めてもらうために料理をしているのか。仕事で頑張って家計を支えている僕を助ける、支援する。そんな気持ちはないのだろうか。こんなふうに考えてしまうのだ。
そんなんだったら、俺だって誉めてほしい。そういえば、毎月給料をもらってくる時、高い家賃を払う時、ローンの支払い時にかみさんから感謝されたことは1度もなかったなぁ。オレも今度言ってみようかな。「ねぇ、家賃払ったんだ。誉めて、感謝して」と。
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経営コンサルタント。大学卒業後、株式会社リクルート入社。組織人事コンサルティング室課長を経て2003年より現職。3万人以上の管理職と接するなど、多くの企業の組織づくり、人材育成を支援する。4万7000人の読者を持つ人気メールマガジン「

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