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企業が社会課題解決の主役となる必然と広がる可能性

東日本大震災を自社がCSVに取り組む契機に

  • 水上 武彦

バックナンバー

2011年7月28日(木)

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 これまで、米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が「CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)」に代わって新たに提唱している「CSV(Creating Shared Value=共有価値の創出)」というコンセプトについて、どちらかといえばその内容(What)を説明してきた。最終回の今回は、改めてなぜCSVという考え方がいま求められているのか(Why)をまず考察しよう。

 CSVとCSRが求められている構造要因は同じであり、以下の式で表すことができる。

社会課題↑×政府の課題解決力↓×企業の課題解決力↑
=企業に対する社会課題解決の期待↑

 社会の抱える課題が増加の一途をたどる中、政府がその課題を解決する力を低下させる一方で、企業の解決力は高まっている。その結果、企業に対して社会課題の解決を期待する傾向が強まっている。だから、CSRやCSVに対する関心も高まっているというわけだ。

 さらに、CSRやCSVに対する関心につながる「企業に対する社会課題解決の期待」を促進している要因(促進要因)として、以下の2つがある。

(1)「情報普及の容易化」
(2)「若者を中心とした倫理・社会意識の向上」

政府と反比例して強まる企業の課題解決力と構造要因

 まず、企業に対する社会課題解決の期待が大きくなり、CSRやCSVへの関心の高まりを導いている構造要因について詳しく見ていこう。

 近年の世界的経済成長は目覚ましい。産業革命以降、人口と経済規模は急速に拡大。最近200年で人口は6倍、経済規模は50倍に拡大したと言われる。

 こうした急速な経済発展は、エネルギーや資源を大量に採掘・消費し、CO2(二酸化炭素)などの排出物や廃棄物を大量に放出することで環境問題を生み出した。その一方で、経済成長の恩恵にあずかれる人々とそうでない人々との間に格差を生じさせ、貧困などの社会問題を生み出している。このように、近年の経済成長の弊害として、社会課題は増加傾向にある。

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 従来、こうした社会課題を解決すべき主体と考えられてきた政府は、近年の小さな政府を志向する流れの中で、課題解決力を徐々に低下させてきた。民意が多様化する中で、民主主義的な意思決定には時間がかかる。成熟経済における財政的な制約などもあって、政府の課題解決力が低下するのは構造的なものと見ていいだろう。

 それとは対照的に、企業の課題解決力は、強まる傾向にある。図2に、世界の経済主体上位100位を示したが、グローバル企業は、現在では国家並みの経済的影響力を持つ。さらには、意思決定のスピードや特定領域に特化した組織やリソース(経営資源)を保有している。

 こうしたグローバル企業の特徴を考えると、自社の強みを生かせる領域における課題解決力は、国家を大きくしのぐと考えられる。グローバル競争の中で、企業はますますその強みを研ぎ澄まし、今後も企業の課題解決力は強まっていくだろう。

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 こう見てくれば、社会課題が増加・深刻化する傾向にあり、政府の課題解決力が低下しているのに対して、企業の課題解決力が強まっているという構造の中、企業に対する社会課題解決への期待が高まるのは自然のことだと言える。

 政府、企業以外のプレーヤーとして、最近NGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)、さらには社会起業家なども登場してきているが、まだその課題解決力は限定的である。

 また、一部のNGOやNPOは、企業にプレッシャーをかけたり、企業と協働したりすることを通じて、企業による社会課題解決の促進につながる活動を実施している。今後しばらくは、企業に対して、社会課題解決の大きな期待がかかる構造は変わらないだろう。

 そして、これを促進している要因が、「情報普及の容易化」と「若者を中心とした倫理・社会意識の向上」である。

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