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日本の農業には産業としてのポテンシャルがある

「単価×数量-コスト=利益」の方程式はプラスにできる

  • 山下 一仁

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2011年8月2日(火)

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 農業は儲からない。
 日本の国土は狭く、農業には適さない。
 だから日本の農業に競争力はない。
 農業貿易が自由化されれば、日本の農産物はひとたまりものない。

 などなど。日本の農業には“弱い者”のイメージがつきまとう。

 これらは本当だろうか?
 強くなるための手段を講じてこなかっただけではないのか?

 本コラムでは、日本の農業に関するこんな疑問に答えていく。
 そして、日本の農業が成長、拡大するための方策を考える。

 第1回は、日本の農業が持つポテンシャルを考える。

 日本の農業全体が衰退する中で、2010年に農産物販売額が1億円を超えている経営体は5577もある。これ以下の階層の経営体の数が軒並み減少する中で、この階層だけは5年前より9.5%も増加している。これらは、ビジネスとして農業を捉えている企業的農家である。

 どの産業でも、事業体の収益は価格に販売量を乗じた売上高からコストを引いたものだ。従って、収益を上げようとすれば、価格を上げるか、販売量を増やすか、コストを下げるか、すればよい。成功している農家は、これらのいずれか、または複数の方法を実践している。

 価格を上げるためには、有機農産物に取り組む、農産物の加工・直接販売に展開するなどの方法で商品の品質を向上させる、付加価値をつけるといった方法がある。販売量について。自動車などと異なり、市場全体の供給量に対し個々の農家の生産・販売量は小さい。個々の農家が販売を増やしたからといって、市場価格が下がることはない。これは農業のメリットだ。

 コストを下げるためには、規模を拡大するなどして農地面積当たりのコストを下げるか、品種改良などで農地面積当たりの収量(単収という)を上げればよい。農産物1トン当たりのコストは、農地面積当たりの肥料、農薬、農機具などのコストを単収で割ったものだからだ。

工夫次第で農業の収益は上げられる

 こうした収益拡大の例を挙げよう。

 農家は農地をなかなか貸したがらない。このため、農産物の集荷作業に参入して地域の農地情報――空きがあるかどうか――を集め、規模拡大に成功している農家がある。

 さらに、外国から中古の機械を輸入して生産コストを抑えている農家。特殊な栽培方法によって、通常の6倍以上の単収を上げている自然薯農家。栽培に要する期間の短い野菜品種を導入して、1年で何作も行い、年間単収を上げている農家。

 スーパーのレジ袋からゴボウが飛び出るため、ゴボウを半分に切ってスーパーに販売することで、売り上げを大きく伸ばした農家。野菜の苗作りに特化し、わずか数ヘクタールの農地で数億円を稼ぐ農家。生鮮野菜の価格が下がった時には加工して販売することで単価を上げる農家などがある。

食の外部化やグローバル化をビジネスチャンスに

 最近の食生活の特徴は、食の外部化(外食、惣菜産業の伸長)が進展していることだ。若年層、高齢者層で単独世帯が増加している。彼らは、キュウリ、ニンジン、キャベツなどを丸ごと買って調理するより、外で調理したものを選ぶ。この方が無駄がなく、安上がりだ。

 スーパーでは売れない曲がったキュウリも、切ってしまえば普通のキュウリと同じだ。これに目を付け、外食、惣菜産業を主たるターゲットにする経営方法もある。逆に、単独世帯の内食コストを下げるために、小玉の野菜を販売して成功している農家もある。

 農業界が嫌うグローバル化を利用して成功した農家もある。国によって異なる嗜好に目をつけたのは、長いも農家だ。日本では長すぎて評価されない長いもを台湾に輸出し、高値で取り引きしている。台湾では、長いほど滋養強壮剤としてよいと考えられている。

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