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「滅公滅私」の破局への道を歩むな!

正しく怖がる放射能【17】

2011年8月9日(火)

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 7月25日付の英国紙「タイムス」はノルウェーの連続テロで逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者(32)が、犯行直前にネット上で公開した「マニフェスト」を通じてイギリスの極右組織のイングリッシュ・ディフェンス・リーグ(EDL)に、英国の原発を狙った攻撃を強く奨励した、と報じました。

 ブレイビク容疑者は福島原発の事例をもとに「経済活動をまひさせ、革命への政治的機運を創出するため」イギリス国内の原発を通常兵器で攻撃することを勧めたとのことですが、EDL側はブレイビクとの接触を否定しているようです。

 またイギリスのBBC放送によれば、ブレイビクは「マニフェスト」で「ロンドンをイスラム過激派によるテロの国際拠点にした」ブラウン前首相やブレア元首相らを強く非難、テロの標的候補として挙げたとのことでした。キャメロン政権は極右監視の強化を検討する見通しであると共同電が伝えています。

 「イギリスで革命を起こすために福島第一原発事故の再現襲撃を奨励」。何ということでしょう。前々回からの表現を転用するなら公共を破壊し個人にも危害を加える「滅公滅私」の原子力発電所破壊シナリオを、ブレイビク容疑者はグローバルに呼びかけていた。

 仮に放射能被害の実情を知らないとしても、許し難い浅慮に戦慄せざるを得ません。

滅私奉公と活私開公

 前回もお名前を挙げた哲学者の山脇直司さんは、日本でも「サンデル教授ブーム」や「新しい公共」ブームでポピュラーになりつつある公共哲学を、10年以上前から展開する国際的な第一人者として、「滅私奉公」に基づく公共性の思考を批判しておられます。

 むろん、国や自治体の長、あるいは企業トップなどとして「オノレを殺して」判断すべき局面は存在します。そういった状況を山脇教授は「滅私奉公」ではなく「滅私開公」というとらえ方で考えます。

 「奉公」つまり、公に奉仕するのではなく、「公共に開く」方向で個別の政策を立案し、的確に実施すること。ここでは単に四字熟語を並べるのでなく、個別具体の政策を包括的に考えることが大切です。「開公」つまり、公に開く。例えば事故情報の開示であり、汚染情報の公開であり、判断能力つまり放射線リテラシーの共有拡大であり…。具体的な適用局面は、私たちが考えるべき事柄です。

 「滅私奉公」が美談とされるのに対して、正反対の状況も考えられます。山脇さんはこれを「滅公奉私」と表現されます。公を犠牲にしてワタクシに利する、例えば公的補助が一部私企業の利益確保や損失補てんに用いられる、何らかの指定や公的な補償に不公平な偏りがある、などなど。言うまでもなく、原則としてあってはならないことです。

 時に「滅私開公」は必要としても「滅私奉公」の施策は原則として回避すべきであり、「滅公奉私」の公共政策はあってはなりません。

 このように大きく区分けした上で、山脇教授が「滅私奉公」に対立するものとして提案しておられるのが「活私開公」という考え方です。

 「公の大義が優先し個人が犠牲になる『滅私奉公』を、国や自治体、あるいは企業であっても、『組織』として個人に強要してはならない」

 これはまた、

「民主主義社会で『公共』を考える上では、少数者の犠牲を前提とするシステムを組むべきではない」

などと言い換えることができます。原発災害、その事後処理、さらには次世代エネルギーへのシフトなど、具体局面での施策展開はいくらでも応用が利きますから、各論は別の機会に譲りましょう。

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