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“優秀”な新人ほど使えない! 「就活」祭りの後の現実

面接を「過信」する企業が新型うつを助長する

2011年8月4日(木)

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 厳しい就職戦線を戦い抜いてきた新入社員が研修期間を終えて、それぞれの配属先の部署にやってきた。入社したての時は元気だった彼らが、3カ月の研修の後にはなぜか元気を失っている。そんなことが気になったのは昨年のこと(関連記事:“裸”になれない上司は、いらない?)。

 「今年の新人たちはどうしているのか?」と思いきや、どうにもよく分からない表現を、これまた6月に昇進したばかりの“新人部長”から聞いたのだった。

 「新しい働き方が出てきたよ!」
 「え? 新しい働き方って、仕事は二の次で、プライベートを充実させる働き方?」
 「違う、違う。そんなの今じゃ、当たり前」
 「じゃあ、どんな新しい働き方なの? またまた新種が登場したってことなわけ?」
 「そうだよ。信じられない新種だよ。は・た・ら・か・な・い、って働き方!」
 「????」

 このやり取りは先日、大学時代の友人と久しぶりに会った時のもの。今春、部長になった彼の下に配属された3人の新入社員のうち、1人が4日で会社を辞めた。他の部署でも、1人の新入社員が1週間で会社に来なくなった。

 他にも、遅刻はするわ、提出書類は出さないわ、やるべき仕事を平気で放棄するわで、既に“問題児”呼ばわりされている新入社員もいて、上司たちは頭を抱えているのだという。

 そんな(上司たちから見れば)“期待はずれ”の新人たちは、いずれも実家から通っていて、連絡を取ろうとすると母親が出る。

 「彼らは辞めても生活もできるし、母親が代弁者になるし、ちっとも困らない」。そんな状況を、友人は「働かない働き方」と表現したのだった。

従来のうつ病とは異なる症状を示す今どきの若手社員

 そう言えば以前、「自分のやりたいことができないから」と3カ月で会社を辞め、「とりあえず大学院でも受けようかなぁ」と話す若者と出会ったことがあった。友人の言葉を借りれば、彼も「働かない働き方」を選択したことになるのかもしれない。

 かつては入社3年未満で辞める新入社員は全体の3割とされていたが、2009年度の厚生労働省の調査結果では36.5%と、4割近くまで上昇傾向にある。

 また、「厳しい就職戦線を戦い抜いて採用に至った、優秀な(と思われていた)人材ほど、育たない、モチベーションが低い、会社に来なくなる」とぼやく人事担当者も少なくない。

 精神科医によると、ヤル気を失って「会社に行きたくない」と言って診察を受けに来る若い世代には、今までのうつには当てはまらない症状を呈する人が多いという。そこで便宜的に「新型うつ」、「現代型うつ」と名づけて、従来のうつと分けている精神科医もいるそうだ。

 これまで報告されているうつ傾向の人は、自責感や罪悪感が強く、何に対しても気力がわかず、興味や関心が低下するといった症状が見られた。「新型うつ」は、思い通りにならないことを会社や上司のせいにする傾向が強く、仕事の時だけうつになったり、休職中なのに趣味の活動には活発に参加したり、時には、ツイッターやブログで毎日の出来事やサッカー観戦記を楽しげにアップするそうだ。

 厳しい就職戦線を勝ち抜いたにもかかわらず、あっという間に辞めてしまったり、ヤル気を失う新入社員が多いのはなぜか?

 やっと研修が終わり、「これから……」というところで、会社をボイコットしてしまうのはなぜか?

 「優秀な新人」と会社や上司から期待を受けながら、遅刻を繰り返したり、仕事を覚えようとしないのは?

 「ひょっとして、就職の採用方法に問題があるのかも?」。こう思ったりもする。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「“優秀”な新人ほど使えない! 「就活」祭りの後の現実」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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