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「みんなで渡れば…」 組織が陥る“意図しない不正”という罠

“犯人捜し”では解消しない「認知バイアス」の伝播力

2011年8月18日(木)

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 個人的な立場で考えれば、「ちょっとおかしくないかい?」と疑いに持つことでも、いったん組織の人間の立場になると、「え? 何が悪いわけ?」と思うことが少なくない。ところが、そのことに対して世間から「それは不正だ」という烙印を押されたり、何らかのトラブルが起きたりすると、一転して「誰がやったのか?」と“犯人捜し”が始まる。

 「こんなことをやったのは誰だ?」
 「一人でやるわけないんだから、組織ぐるみの犯行だろう?」
 「そんなの上の指示がない限り、やらないだろう?」

 検証はすべて「誰の責任か?」という文脈で行われ、たどり着いた先にいた“人”だけが、責任を取らされて、ジ・エンド。

 「なぜ、そんなことが起こってしまったのか?」という極めて大切な議論がなされないままに、だ。

問題が明らかになる一方で、置き去りにされる「なぜ」

 九州電力の「やらせ問題メール」も、そうやって片づけられていってしまうのであろうか。

 佐賀県の古川康知事の発言、関係資料の廃棄を指示したとされる九電・原子力発電本部の幹部……。問題発言やら、問題行動が次々と明らかになればなるほど、それとは裏腹に「なぜ」が置き去りにされていく。

 関係資料の破棄については、少々問題の性質が異なるような気がしなくもないが、「組織のために」、あるいは「自分の役割を全うするために」、さほど悪意を感じることなくやっていたことなんじゃないだろうか、などと思ったりもする。

 いずれにしても、なぜ、組織の外からは「おかしい」と思うことが、組織の中にいると「平然」と行われてしまうのか?

 問題が起こると、何でもかんでも責任、責任と、誰かをスケープゴートにするだけでいいのだろうか?

 問題が起こった時ほど、なぜ、それが起こったのか?を徹底的に洗いざらいに解明する絶好のチャンスなんじゃないだろうか?

 そこで、今回は「意図しない不正」について、考えてみようと思う。

自らの判断でリスク商品を販売しなかった証券マン

 大手証券会社に勤める方から、興味深い話をうかがったことがある。

 「バブル崩壊の後って、証券業界は生き残りに必死でした。当時、うちの会社でも生き残るために、少しばかり問題のある商品を顧客に率先して売っていた時代があったんです。それを売ること自体は、法律的に問題はありませんし、うちの会社が生き残るために、その商品にプライオリティーを置く経営陣の気持ちも分からないではありませんでした」

 「でもね、その商品はリスクも高かったんです。どんな商品にもリスクがありますが、リスクの度合いが、個人で背負うには重すぎる。ところが、組織の先行きが不安定な時って、まるでみんな魔法にでもかかったように、それが社会の倫理に反するなんて微塵も思うことなく危ない橋を渡るんですよ。確かに、会社の利益を上げるためにはいい商品かもしれないけれど、個人のお客様には危なすぎる。だから、私は一切、その商品を売らなかったんです」

 自らの判断で断固とした行動を取った証券マン。だが、その身に起きたことは……。

コメント51件コメント/レビュー

無意識な不正は無いと考えます。私は入社した時に散々言われたものです「上司の言うことは絶対に聞け。一般的に黒でも上司が白と言うなら黒も白なんだよ」と。常々、東電OBに言われたものです。あの人はこの状況をどう思っているのだろう?(2011/08/29)

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「「みんなで渡れば…」 組織が陥る“意図しない不正”という罠」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

無意識な不正は無いと考えます。私は入社した時に散々言われたものです「上司の言うことは絶対に聞け。一般的に黒でも上司が白と言うなら黒も白なんだよ」と。常々、東電OBに言われたものです。あの人はこの状況をどう思っているのだろう?(2011/08/29)

結局、原発の存在に対してYESかNOか、そのポジションが原発にまつわるすべての事象の評価に対するバイアスになって、自分のポジションが正当化できる角度からしか見ないし、都合に合う材料ばかり拾おうとする(九電の事案を「正当な組織活動」とするか、「やらせ」とするか等)。更に極論すれば(状況を極端に表現すれば)政治的ポジションが右の人は「(原発)賛成!」、左の人は「反対!」と突き詰めた検討なしに(目をつぶって)手を挙げる・・・となりがちなバイアスがかかっているように思う(と思う私にもバイアスがかかっている!)。記事に関しても記事の論旨がどこにあるかという本質よりも、筆者に対する好き嫌いでその記事自体の価値を論じようとする(とりあえず「よかった」と言っておく/批判するネタを探しながら読む)。これもバイアスかかってるってことですよね。「人間というのはそういう生き物でそれからは逃れられないんだよ」と開き直るか、常に自分自身の思考を問いただす自己批判のチェックがかけられるか。その人間という存在に常に付きまとう「当たり前過ぎて、ついつい自分のことは省みない」ことを改めて問う記事だと思います。自分も気をつけたいと思います。(2011/08/25)

みんな不正と分かっていてやっているはず。分からないほどの馬鹿の集団ではないはず。しかし、天秤にかけて保身を選んだということ。集団意識。いい会社=いい家に嫁いだ社員は忠誠を尽くし、会社を守り、幹部の道を歩むのです。労働の流動性がないため、社員機関説が成り立たず、社員家族説が延々と続く日本です。(2011/08/23)

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