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東大はイノベーターのメッカになるか?

独創的な人材を創り始めた最高学府

  • 安西 洋之,中林 鉄太郎

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2011年8月19日(金)

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 『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか』の出版記念対談の3回目。

 1人目は安宅和人さん。マッキンゼー・アンド・カンパニーを退職してからイェール大学で脳神経学の博士号をとり、現在はヤフージャパンCOO室長を勤め、著書『イシューからはじめよ』においてイシューの見極め方を説いた。2人目は管啓次郎さん。明治大学大学院で教鞭をとる一方、旅の経験のありかをシャープに見せてくれた『斜線の旅』で2011年の読売文学賞(随筆・紀行)を受賞し、5月に刊行された『野生哲学』では人間にとっての土地の意味を問うた。

 それぞれの分野でユニークな活動をされているだけでなく、生き方そのものにも魅力のある方々に対談をお願いしてきた。経歴が面白いというのではなく、さまざまな視点に事欠かない。そういう方たちだ。ただ、活躍されている分野だけが異なる。

 3人目の田村大さんも例外ではない。前のお2人と同じで、カジュアルファッションで「闘う」。学生時代はヨット部のメンバーとして海の上で時を過ごした。

 東京大学にi.schoolという教育プロジェクトがある。創造性をもって世の中を変えるリーダーの育成のために、東京大学 知の構造化センターが主宰している。価値や意味の変革を興すイノベーターの輩出である。このプログラムのディレクターを務めるのが、認知科学と社会科学をメーンフィールドとする田村さんだ。

 「この原稿で書かれていることは、我々i.schoolが考えていることと同じだと思います」と、拙著のゲラを指差しながら田村さんは語ってくれた。「クロスカルチャーによってこそ新しい発想が生まれる、という点がまさしくそうです」。

i.schoolとはどんなところか?

 ローカリゼーションマップが考えているところと同じという、i.schoolについて概略を知っておこう。

 東京大学はその成り立ちから、官僚の養成と科学技術革新の先導役の役割が期待されてきた。しかし、もはや日本は官僚が先頭を切って国を取り仕切る社会ではなくなっている。科学技術の発展はオープンストラクチャーが主流になり、一大学の閉じた空間で生み出されるものではなくなった。それでは次世代に向けて東大は何をするべきなのか?。そういう問いが始まる。

 2009年に誕生した知の構造化センターは、複数の知のパースペクティブを重視し、そこから新しい価値を作ることに存在理由を求める。一方、東大には人間・社会側からアプローチするイノベーション教育の足場がなかった。また、ビジネススクールとデザインスクールがなかった。そこに、2つの領域をカバーするi.schoolが生まれた意義がある。

 1年目は工学系研究科修士課程の学生が主に参加する、1回完結のワークショップがプログラムだった。しかし2010年からは通年制となり、あらゆる学部・研究科の学生に対象を広げた。単位にはならない。だが、自分の内にある問題意識を基に、自身が目指す道を見つけていきたいという学生たちが集まってくる。ぼくも何度か彼らのワークショップやプレゼンテーションを見学したことがあるが、学生たちが目の前のテーマを自分のものにしていくプロセスは刺激的だった。

 昨年のワークショップのタイトルを見ても、「国内観光のこれから」「新聞の未来をつくる」「隣国の食文化を理解する、つなげる」「現代っ子の学び環境のイノベーション」「マニュファクチュアリングの未来」「サステナビリティのデザイン」と、現代が抱えるテーマに迫っている。

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