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「セキュリティー偏重」が招いた情報発信体制の不備

非常時に対応したリスクコミュニケーションの専門家を育成せよ

  • 土田 昭司

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2011年8月23日(火)

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 3月11日に発生した東日本大震災──。地震、津波という自然災害に原発事故という社会災害が重なり合う未曽有の事態は、これまで社会や企業が前提としてきた安全の常識を次々と覆した。3月11日を境にどのような常識が新たに形成されていくのか。それに応じて社会や企業活動の安全マネジメントをどう変えていかなければならないのか。

 このコラムでは、自然災害と事故などの社会災害の両方に精通した防災や危機管理のプロを育成する場として日本で初めて誕生した関西大学社会安全学部の教授陣が、社会や企業の安全マネジメントについての新たな考え方や具体策を講義していく。

 今回は、リスク心理学・社会心理学を専門とする土田昭司教授が、東京電力・福島第1原子力発電所の事故について政府や原子力安全・保安院、東電が行ってきた情報発信の問題点を指摘。さらに、企業が製品事故などの非常事態に陥った際に取るべきリスクコミュニケーションのあり方について考察する。

(構成は、峯村創一=フリーライター)

 福島第1原子力発電所での事故発生から5カ月余りがたったが、いまだに事態は収束していない。この未曾有の大事故が発生した直後から、原子力安全・保安院や東電の情報発信のあり方は、「少なすぎる」「遅すぎる」と厳しい批判を浴び続けてきた。

 一方、政府の広報はどうだったか。当初は連日、精力的に記者会見に臨んだ枝野幸男官房長官の姿勢を評価する声もあった。しかし次第に、「ただちに健康に影響を及ぼす数値ではない」といった官僚的な表現が目立つようになり、国民は「本当のことを知らされていないのではないか」という不信感を募らせている。

 結局は、非常事態を想定して、どのような体制で、誰が、何を、国民に知らせるのかという準備を政府も東電もほとんどしていなかったということだ。どちらも、非常時のリスクコミュニケーションに多くの問題があったと言わざるを得ない。

情報不足の中、国民は“心理的基準”での判断を強いられた

 事件直後に保安院や東電が開いた記者会見をテレビで見ていた私は、まるで、どこかの学会の会場で学術発表を聞いているような錯覚を覚えた。彼らは、現在知り得ている事実を淡々と述べるだけで、その判断は全くテレビカメラの向こう側にいる国民に全面的に委ねていたのである。

 もし国民が皆、原子力分野の専門家であれば、そのようなスタイルでも問題はなかっただろう。発言内容のどの部分が重要で、どの部分が取るに足りないかを、自ら判断することができるからだ。しかし、国民のほとんどは、原子力について自ら判断できるほどの予備知識を持っていない。

 このような時、人々はいま起きている事態が危険かどうかを、何を基準にして判断するだろうか。リスク心理学の創始者と言われる米オレゴン大学のポール・スロヴィック教授が1987年に発表した有名な論文がある。「スロヴィックの2要因」と呼ばれているものだ。

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