• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

【追悼】『国富論』など新訳した翻訳家、山岡洋一さん

平明な文章で古典に新風、若手育成にも尽力

  • 黒沢 正俊

バックナンバー

2011年8月22日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「2002年8月24日、ノンフィクション翻訳家の仁平和夫が死去した。享年52歳。翻訳家のつねとして知名度は高くないが、主に経営関係のノンフィクション出版翻訳の分野で、おそらく並ぶもののないといえるほどすぐれた実績を残している」

国富論

 これは8月20日急逝された翻訳家の山岡洋一さんが、盟友・仁平和夫さんの死を悼み、主宰していた「翻訳通信」別冊「仁平和夫小論集 翻訳のコツ」の冒頭に記した文章である。

 名前を置き換え、享年62歳と改めれば、そのまま山岡さんへの追悼文となるものだ。付け加えるなら、明治以来の直訳翻訳の伝統の刷新を試みたアダム・スミス『国富論』、ケインズ『説得論集』、ジョン・スチュアート・ミル『自由論』の古典3作品の成果を特記しなければならないだろう。

「生産力」を「生産性」と訳して一石投じる

 山岡さんの古典新訳は、その平明な文章で多くの読書人に歓迎された。2007年に刊行された『国富論』では従来、「生産力」と訳されてきた「PRODUCTIBITY」を「生産性」と訳し、一石を投じた。経済学界では伝統的に「期待」と訳されている「EXPECTATION」を「予想」ではないのか、と問題を提起してもいた。そうした仕事や発言の裏付けとして、単語1つ1つを徹底的に考え抜くプロフェッショナリズムがあった。

 山岡さんは古典新訳を個人的な仕事とだけ考えていたわけではない。『国富論』の解説を根岸隆東大名誉教授が引き受けられたことを心から喜んでいたが、これはアカデミズムとの共同作業による古典の普及こそ読書界への寄与になると山岡さんが考えていたからだった。

 『自由論』の後は、スミス『道徳感情論』に取り組む予定とみられていた。編集者からはケインズ『一般理論』やヒュームなどのリクエストがあったようだ。それらが日の目を見ずに終わったことは、読書界にとって惜しまれる。

 私が編集者として山岡さんと付き合うようになったのは、2001年のジェームズ・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』からで、その後もチャンセラー『バブルの歴史』、コリンズ『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』、そして9月に刊行するミル『自由論』で仕事をともにしてきた。

 編集者にとって山岡さんはタフな相手だったが、その視野の広い考え方にはいつも敬服させられたし、教えられることも多かった。

コメント0

「今日のトピックス」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員