これまでアジアの話題を特集して書いた。「日本の若者が作ったバングラデシュ、『家族のような工場』」「『フェイスブック世界2位はインドネシア』の理由を知っていますか?」「各国の『美女』を調査した!」の3回だ。
次はコンテンツ市場を連続で取り上げる。その理由のひとつは、コンテンツほど「毀誉褒貶」の激しい話題はないと思うからだ。ある人は「今や日本のコンテンツは世界で大受けだ」と言い、ある人は「日本のコンテンツなんてマイナーなオタクの話さ」と吐き捨てるように語る。「日本の自動車や家電は、機能と品質で評価されている」と一律に言われるのとは明らかに違う。
何にでも温度差があるものだが、特にコンテンツは話している想定市場に食い違いが大きい。また、どんな数字をもって成功とするかの、判断と解釈に幅がありすぎる。そこに、どれほどのローカリゼーションの問題を含んでいるのだろう。
コンテンツが何を指しているかといえば、映画、テレビ番組、アニメ、マンガ、ゲームが中心になる。実は輸出コンテンツ市場の中で、日本映画の占める規模は非常に小さい。黒澤明や溝口健二の作品が「古典」として評価されてきた歴史があり、宮崎駿のアニメ映画が話題にのぼるにも関わらず、テレビアニメやゲームと比べて「輸出産業」システムは混沌としている。だからこそ、問題のありかを理解するヒントがあると考えた。
今回は日本映画について日活の経営企画チームリーダーの林朋宏氏にお話を伺う。林氏は数年前まで、ロサンゼルスに駐在して、北米映画界へのライセンスビジネスに携わっていた。ここで「北米映画界」と書くのは、アメリカの映画業界は、大きく分けてハリウッド(メジャースタジオ)と、それ以外の独立系(インディペンデント)に大別され、日本映画を扱うのは独立系の場合も多くあるためだ。
リメーク販売にパンフレットまで用意した日活
来年、日活は創立100周年を迎えるが、興味深い資料がある。大ヒットした『丹下左膳』や拳銃を構えた若き宍戸錠が表紙を飾り、「我々は3300のフィルムを制作してきた」と英語で記してあった。ページをめくると、この約50年間に時代を作ってきた作品が紹介されていく。

これまでに歩んで来た道を回顧する資料かと思ったら、そうではなかった。海外向けリメーク販売用パンフレットだ。もちろん本編を字幕付きで用意するのだが、歴史を紹介しながら、リメークをプロデューサーにオファーする。日活の最盛期のシンボルと言えば石原裕次郎、と私などは思ってしまうのだが、ここには「裕ちゃん映画」は1作もない。発想そのものに日本映画の「覚悟」が見える気がする。海外リサーチを重ねた業界人には当たり前なのかもしれないが、素人の目には新鮮に映る。
リメークとは再映画化権を販売することだ。役所広司の『Shall we ダンス?』がリチャード・ギアの『Shall We Dance?』になったのは、リメークビジネスの一例だ。こうした事例をとらえ、「ハリウッドもアイデア不足で、日本の映画やアニメにネタを探しているのだ」と揶揄されることがある。しかし、これは実態をどの程度に捉えているのだろう。
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1958年横浜市出身。上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、イタリアでビジネスプランナーとして独立。現在、ミラノ在住。デザイン、食品、文化論などを活動領域とする。著書に『
1965年東京出身。デザイナー、デザインディレクター。桑沢デザイン研究所卒業後、建築設計と工業デザインを手掛ける黒川雅之建築設計事務所に入社。プロダクトデザインを担当し10年目に退社後、1997年テツタロウデザイン開設。文具、日用雑貨から住宅設備機器などのデザイン、中小企業へのデザインディレクションも行う。社団法人日本インダストリアルデザイナー協会正会員。日本大学芸術学部デザイン学科非常勤講師。Twitterは

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