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【最終回】改革に失敗する日本企業がはまり続ける罠

グローバル企業のトップが驚嘆したTOC流の解決法

  • 岸良 裕司

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2011年8月31日(水)

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 この時の説得の言葉はウソではなかった。ただし、合宿にはもう1つの狙いがあった。それは、経営幹部たちにある点に気づいてもらうこと。改革が成功しない原因は、現場ではなく、経営幹部たち自身のマネジメントにあるという点に、だ。

 なぜE社の改革が実を結んでこなかったのか。もうお分かりの方も多いだろう。最大の原因は、あまりにも多くの改革に同時に取り組んでいたことにある。改革の号令をかけるのはたやすいが、それを止めるのは難しい。結果そして改革活動は増え続け、そのどれもが中途半端になり貫徹できていなかった。

 一方で、優秀な社員に仕事は集中しやすい。1人で複数の改革に携わっている社員も多く、現場は疲弊しきっていた。いわば、会社全体が「改革疲れ」の様相を呈していたのである。

 ここまで書けば、次に打つべき手は明らかだろう。多岐にわたる改革を整理して、本当に必要な改革だけに集中すればいい。ところが、E社の経営幹部は、改革活動に熱心なあまり、この点にほとんど目が向いていなかった。

本当に必要なことに気づいていなかった幹部たち

 改革活動の進捗状況は、毎月の経営会議で報告されるが、わずか数分の時間で活動をすべて報告するのは無理だ。いかに優れた経営幹部といえども、活動の内容を正確に理解することはできない。会議における経営幹部からの指摘や指示は、現場の実態と乖離していることも少なくなく、経営と現場との間に断絶が生じるようになっていたのである。

 このように経営と現場との間に断絶が生じている企業は、E社だけでない。読者の中にも、お心当たりのある方は少なくないだろう。

 断絶している経営と現場とのつながりを取り戻す──。経営幹部たちを対象とした合宿には、戦略と戦術の練り直しに加えて、こんな狙いが込められていたのである。

 この隠れた狙いを実現するためのツールとしても利用したのが、「ストラテジー・アンド・タクティクス・ツリー(Strategy and Tactics Tree:戦略と戦術のツリー)」と呼ばれるものだ(以下、S&T Tree)。

 これは、エリヤフ・ゴールドラット博士がビジネス小説『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)で提唱した全体最適のマネジメント理論「TOC(Theory of Constraints:制約理論)」の集大成と言うべきものである。

 具体的には、企業などの組織がある目標を達成するために、トップから現場までの各階層や機能別の各部門でそれぞれどのような戦略を打ち出し、どのような戦術を取ればいいかを関連づけながら、網羅的に記述する。階層や部門ごとの戦略や戦術が相互に連関しながら1つの図を形成する姿が、あたかも1本の樹木(ツリー)の形をなしている。

出所:ゴールドラットコンサルティング
画像のクリックで拡大表示

 一見してお分かりだと思うが、このS&T Treeを一から作り上げるには相当な時間がかかる。計6日間の合宿では無理だ。しかし、ありがたいことに多くの場合は、一から作らなくても済む。ゴールドラット博士が、代表的な業種ごとに、S&T Treeの基本モデルを用意してくれているからだ。このモデルをベースにして、自社の実情に合ったものにしていけばいい。

コメント15件コメント/レビュー

1回から5回までの各回も各々感銘を受けましたが、この最終回がもっとも感銘を受けました。E社の状況は、私の勤務先にそもまま当てはまり、改めて「そうだったのか!!」と納得すると共に強く感銘を受けました。しかしながら、E社の成功要因は何よりもまず、経営トップが著者である岸良さんのグループに支援を訴えたことだと思います。私の勤務先も、まったく同様な状況ですが、・改革を進める横串組織を強化したり、更に・改革を強化する目的で「なぜ結果がでないのか」の分析をコンサルタントの目的で某F社に依頼し、その結果、横串組織や依頼先コンサルタント某F社の担当が原因調査の目的で現場の中に入って、現場に更なる負荷を掛ける、といったことが繰り返されて来ました。更に今回のE社の事例では、「要は、我々がマルチタスクの発生源なんだろ!、、、、不要な改革は凍結しよう!」と言い放って、まずは自分達がどうすべきか気がついた経営トップも、さすがだと思いました。この経営トップは著者である岸良さんのグループに支援を訴えただけのことはあると感じまし た。本当にTOCは素晴らしいですね。 改めて、本当にありがとうございました。(2011/09/04)

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1回から5回までの各回も各々感銘を受けましたが、この最終回がもっとも感銘を受けました。E社の状況は、私の勤務先にそもまま当てはまり、改めて「そうだったのか!!」と納得すると共に強く感銘を受けました。しかしながら、E社の成功要因は何よりもまず、経営トップが著者である岸良さんのグループに支援を訴えたことだと思います。私の勤務先も、まったく同様な状況ですが、・改革を進める横串組織を強化したり、更に・改革を強化する目的で「なぜ結果がでないのか」の分析をコンサルタントの目的で某F社に依頼し、その結果、横串組織や依頼先コンサルタント某F社の担当が原因調査の目的で現場の中に入って、現場に更なる負荷を掛ける、といったことが繰り返されて来ました。更に今回のE社の事例では、「要は、我々がマルチタスクの発生源なんだろ!、、、、不要な改革は凍結しよう!」と言い放って、まずは自分達がどうすべきか気がついた経営トップも、さすがだと思いました。この経営トップは著者である岸良さんのグループに支援を訴えただけのことはあると感じまし た。本当にTOCは素晴らしいですね。 改めて、本当にありがとうございました。(2011/09/04)

それは改革そのものが経営者候補の点数稼ぎの手段にすぎないと従業員が見抜いているからです。真の必要な改革は従業員は痛みを分けても従いますが、従業員だけ収入が下がる現状では多くの従業員は上辺だけの指示に上辺だけの対応です。もちろん一部の方はそれがチャンスと、上辺だけの成果に乗っかり昇進し、ますます経営陣が弱体します。(2011/09/04)

社員が疲弊するほど改革プロジェクトや日々の現場改善活動が錯綜しているのに、会社全体の活動の調整を図る役割の経営陣(役員)がそれに気づかなかったり、そのくらい忙しく働いて当たり前と思っていることを振り返ってそれが間違いだと自省できるようにするのは、部下である社員(管理者含む)だけで実現するには(限りなく)不可能に近いのではないでしょうか。今何に集中すべきかに合意して進める…という点でも、お互いの部門利害が相反する役員同士のせめぎ合いを解消させるプロセスも現実の会社では苦慮しているのではないでしょうか。だからこそそうした状況にある企業はなかなか浮上できずに苦しんでいるのではないのでしょうか。こうした局面において対話を通じて経営陣の内面に働きかけ、経営陣自らの内側からこうした真の原因に気づいて号令を発することができるようになるまでが思考プロセスの絶大な効果だと感じています。自社の中で出来ないときは、外部の力を借りてそうした状況を創り出すことも一つの選択肢で、自社で出来るところは自社で展開すればそれはそれでよいのでは。TOCはパブリックドメインということですから。(2011/09/01)

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