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TPPは日本経済にイノベーションをもたらす

米中の“横暴”をけん制する機能も

  • 山下 一仁

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2011年9月13日(火)

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 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)について、農業界が当初、強く反対した。これに加えて現在は、「TPPによってデフレが進行する」とか、「医療や地方の建設業も影響を受け国の枠組みが壊れる」などと主張する書籍が多数出版されている。今回は、TPPの必要性と反対論に隠された意図について述べる。

TPPは我が国の経済成長を促進し、国民の負担を軽減させる

 戸堂康之・東大教授の分析を紹介しよう。1990年以降の低成長率が今後も続くとすれば、2020年には、1人当たりのGDPで韓国や台湾に抜かれてしまう。日本は途上国となってしまうのだ。経済成長の機関車役は、技術革新、イノベーションだ。企業が貿易・投資により国際化すれば、海外の技術や活力を取り込み、経済成長に必要なイノベーションを起こすことができる。企業の生産性は、輸出によって2%、対外直接投資によって2%、海外で研究開発を行うことで3%、上昇する。

 貿易や投資の自由化を促進する協定であるTPPの交渉には、アメリカなどのアジア太平洋地域の先進国が参加している。我が国が海外先進国の技術を吸収して国内のイノベーションを活性化するために、TPPは効果的である。

 リーマンショックや東日本大震災で職を失ったり、所得が減少したりした人たちがいる。農産物・食料品の高い国内価格は、こうした消費者の家計に負担を強いている。TPPに参加して食料品価格が低下すれば、消費者は利益を得られる。農産物価格が低下しても、アメリカやEUのように直接支払いという補助金を交付すれば、生産者も不利益を受けない。高齢化と人口減少で国内の農産物市場が縮小する中、貿易相手国に日本製農産物に課している輸入関税を撤廃してもらい輸出を振興しなければ、日本農業は衰退するしかない。農業にとっても、貿易自由化交渉は必要なのだ。

TPPは、中国とアメリカの“横暴”を抑制する

 東アジア地域において中国が台頭し、GDPの規模で日本を上回った。また、海洋権益の確保を目指し、軍事的にも周辺国との軋轢を生んでいる。今後も、中国が世界の経済活動を脅かす措置――レアアースなど天然資源の輸出を禁止したり、投資活動を制約したり――を取ることが懸念される。

 これを回避するためには、アメリカ、豪州などと共に我が国がTPP交渉に参加し、アジア太平洋地域における貿易・投資に関する先進的なルールづくりを主導的に行い、中国を含めたその他の国にこれを広げていくことが効果的である。TPP参加国が拡大し、アジア太平洋地域のかなりの国と地域をカバーするようになれば、中国企業もこのルールに従った方が自身の利益にかなうと判断するようになろう。

 つまり、最初は高いレベルのルールに対応できる国々の間でTPPをまとめ、最後は中国も入ったTPPとすることが、アジア太平洋地域の経済的な発展のために望ましい。そして、これは同地域の政治的安定のためにも好ましい。

コメント33件コメント/レビュー

放射能に汚染された農産物をそのまま輸出できるのだろうか。今のまま、TPPを推進すれば日本の農業は壊滅する。日本の農産物は注意深く日本で消費する以外に無い。(2011/09/13)

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いただいたコメント

放射能に汚染された農産物をそのまま輸出できるのだろうか。今のまま、TPPを推進すれば日本の農業は壊滅する。日本の農産物は注意深く日本で消費する以外に無い。(2011/09/13)

TPPではアメリカと日本の占める割合が9割以上というほぼ2国の話であるということに触れていませんね?最も重要でTPPを理解する上で必要不可欠な情報の一つだと思うのですが?日本の医療制度などの利益還元率が、世界の主要国数十ヶ国中ダントツトップであり、その制度が現在かろうじて維持されていること。アメリカのそれがかなり(アメリカの)企業ベースの利益に貢献し、国民側の利益に欠陥を抱えていること。TPPで垣根がなくなると、日本側の制度が破綻し普通の国並みに低下する危険があることなどにも触れられていませんし。もう少し世界的にみたTPPや日本、アメリカ、影響を受ける業種の相対的規模や順位とか、『客観的に真偽を判断出来る』数値で表した説明が欲しかったですね。申し訳ありませんがこの記事は信頼性が低く感じます。(2011/09/13)

きわめて納得のいく解説でした。政府の失敗はひとえに、TPPへの取り組みが遅れて、国民への周知徹底が果たせなかったことによるものです。(2011/09/13)

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