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今の経済システムは「エネルギー中毒者」だ

『人類が消えた世界』アラン・ワイズマン氏に聞く

2011年9月13日(火)

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 9月12日号の日経ビジネスでは、「未来都市フクシマ」という特集を掲載した。

 福島県は原発事故による放射能汚染や風評被害に苦しめられているが、同時に再生可能エネルギーや新たな産業作りなど、未来につながる萌芽も出始めている。こういった数々の萌芽やフクシマ再興への逓減、さらには歴史の中の「3・11」を独自の視点でまとめた。

 日経ビジネスオンラインのこの連載では、「未来都市フクシマ」の過程で取材した研究者や経営者、識者のインタビューをまとめる。新聞や雑誌に出るインタビューとは一味違う、語り手の思いが全面に出たインタビューになっている。「未来都市フクシマ」と合わせてお読みいただきたい。

 第1回は、米著名ジャーナリスト、アラン・ワイズマン氏。同氏は2007年に発表した『人類が消えた世界』(早川書房、原題『The World without us』)で、人類がいなくなった地球上で文明の痕跡が消えて、自然が力を取り戻していく様子を克明に予測してみせた。

 エネルギーや環境問題にも詳しい米国人作家の目に福島はどう映っているのか。

(聞き手は上木貴博=日経ビジネス記者)

―― 本で描いた状況は、現在の福島の原子力発電所周辺を想起させる。

アラン・ワイズマン氏(写真:新関雅士、以下同)

ワイズマン:以前、チェルノブイリの立ち入り禁止区域に足を運んだところ、ウクライナの中でも特に生物の多様性に富んだ地域になっていた。人がいなくなり、動植物が戻ってきているからだ。ただし、放射能による遺伝子への影響は数世代経つまで分からない部分はある。そういう意味でチェルノブイリとフクシマでは現在、壮大な実験が行われていると言える。

 この本でも触れたが、米国で最も安全な橋はコンピューターが普及する以前に作られたものだ。当時の建築家は耐久性に関するち密な計算ができなかったので、十分すぎるほど頑丈な橋を作っていた。この本の出版当時、生まれ故郷のミネアポリスでは耐久性を計算したはずの橋が崩落して、たくさんの車や人がミシシッピー川に落ちた。コストを優先するあまり、資材を必要最小限にしたからだ。フクシマでも同じことが起きた。

「どれだけの電力が必要なのか」再考すべき

 原発事故は、人類の未来に対する無防備と、地球環境の変化が重なった結果だ。不十分な津波対策や海岸沿いという危険な立地について関係者を責める気はない。米国でも(地震が多い)カリフォルニア州サンタバーバラに原発を建てた。

 気になるのは後者の「地球環境の変化」だ。近年各地で起きる大型地震がすべて地球温暖化と関連するとは言い切れない。しかし、今後100年という時間軸で見ると、北極の氷が解けて地盤に対する重みが減った分、地殻変動につながっていく。こうした可能性は多くの地質学者が指摘している。

―― 原子力は温暖化につながる二酸化炭素排出量の抑制に必要とされてきた。

ワイズマン:必要性を議論する際、「誰にとって」と「どの程度の量」という視点を明確にしなければならない。原発の建築コストは非常に高く、着工してから実際の稼働まで15年間かかる。その間、儲かるのは作る人間だけだ。本当に消費者が求めているのか。米アリゾナ州のパロヴェルデ原発で働く作業員2000人は、みんなガソリン車で通勤していた。原発はカーボンフリーなソリューションとは言えない。 

 現在の経済システムは、消費や生産の増大を好む「エネルギー中毒者」だ。1つ例を挙げよう。先日、日本人建築家から伝統的な家屋について聞いた。かつての日本では建物の中に風の通り道を作ったりするなど様々な工夫を凝らしてきた。しかし、電力が生まれてエアコンを手にした時から、こうした努力が失われてしまった。

 原発の必要性を判断する前に「どれだけの電力が必要なのか」を再考すべきだ。現状は相当な無駄がある。原発推進論は、自動車や建物などの設計の悪さの逃げ道になっている。もっと効率を上げれば、原発がなくてもエネルギー不足には陥らない。

―― 原発は福島に雇用をもたらしてきた。このままでは人口流出が止まらない。

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「今の経済システムは「エネルギー中毒者」だ」の著者

上木 貴博

上木 貴博(うえき・たかひろ)

日経ビジネス記者

2002年に筑波大学を卒業し、日経BP入社。「日経ビジネス」「日経情報ストラテジー」「日経マネー」編集部などを経て、2016年4月から現職。製造業を中心に取材中。趣味は献血(通算185回)。相撲二段。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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