• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「ソーロンさん」に会議はご法度

[5]上司と部下「いい加減レベル」均衡の“心地よさ”

2011年9月16日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

「さて、今期の方針であるX商品の拡販についてなんだけど、サンプル品の配布についてはどうなってる」
「そう…ですね。ま、何とかやってます」

「この1カ月で何社に回って、何社に配布した?」
「え? 何社に回って、ですか」
「そうだよ」
「うーん、まぁ、私なりにいろいろと試してますね。先日もA商事さんから問い合わせがありまして、その対応に今、追われているところです」

「へぇ。A商事さんからね…。でもそれは別件での話だろ。それはいいとして、サンプル品の配布についてどうなってるのか、と俺は聞いてるんだよ」
「え…。サンプル品?」
「さっき聞いたじゃないか。何社に回って、何社にサンプル品を配布したんだ」
「あの、ですね…。私はなかなか難しいと思うんです。品質のチェックだとか、そういう課題が山積みですから」

「話題をすり替えるな!」

「…お前は何の話をしてるんだ」
「ですから、X商品の話です。もしもX商品の大量注文が入った場合、出荷前の品質チェックが大変なことになるんじゃないかと私は心配してるんです」
「おいおい、ちょっと何を言いだしたんだ。注文を取ってから言えよ」
「私は前々からそのことを気にかけているんです」

「この方針が決まったのは4月のことだぞ。今から5カ月前だ。今期の方針発表会で社長がゲキを飛ばしてたじゃないか」
「そりゃ、そうかもしれませんが…」

「しかも、2カ月前からずっとこの話はしてる。お前がいつも『何とかやってます』とか『徐々に動いてます』とかしか言わないから、今日は何社に配布したんだと聞いたんだ」
「やってますって」

「だから何社に回って、何社に配布してるんだ」
「そんなこと、数えたことありません。それにですね、まるで私がサボってるかのような言い方やめてもらえませんか。私なりに一生懸命やってるんです。じゃあ何ですか。X商品をばらまけば、私の目標予算は達成するんですか。それならやりますけど、どうなんですか」

「話題をすり替えるな!」
「すり替えていませんよ。私だって苦労してるんですから」
「もういい! とにかく結果さえ出してくれれば俺は何でもいいんだ。勝手にしろ」

◇   ◇   ◇

 なんと不毛なやり取りだろうか。
 同じ会議室にいるほかの面々の、重苦しい表情までもが眼に浮かびそうだ。

 ザッツ総論賛成・各論反対! まさに「総論賛成・各論反対」のお手本のような会話だ。

無垢であることの罪深さを知ってほしい

 この部下は4月の方針発表時には反論せず、「分かりました。今年こそはやりましょう」と言っていたかもしれない。実際に「社長の言う通りだ。今年はこのX商品に賭けよう!」と、感じていたかもしれないのだ。

 しかし実際には通常業務の忙しさから、なかなか手をつけることができず、おざなりにしたまま数カ月を送ってしまう。どこにでもある話である。

 「総論賛成・各論反対」の場合、たいていは、指示した方も、指示された方もいい加減だ。

 指示した方は「言うだけ言った。やらなかったらやらなかったで、やつらの責任だ。俺は知らねーからな」という態度なのである。本気で「部下は正しく実行してくれるに違いない。私は彼らを心底信頼している」などとは、つゆほども思っていない。もし本気でそう思い込んでいるとしたら、無垢であることの罪深さを知ってほしい。

コメント17件コメント/レビュー

大変参考になり、面白い記事でした。今後も期待しています。冒頭のやりとりは、会議ではなく、上司と部下の一対一の会話でもよくあることですね。心の中で「あるある」とつぶやいてしまいました。ここでは、上司が各論を指示してないのに、いきなりぬるま湯から熱湯に変えたのが悪いことになっていますが、各論で目標を設定しても、同じように話題をすりかえて、言い訳する部下の多いこと。また、あまりに各論の目標と進捗確認をギリギリやって、自由裁量を無くさせると、鬱になってしまったり・・・その辺の話を次回以降掘り下げていただきたいと思います。目標設定と管理は、何も会議に限らない(会議でやる会社が多いが)上司と部下のコミュニケーションの問題だと思います。(2011/09/20)

「脱会議」のバックナンバー

一覧

「「ソーロンさん」に会議はご法度」の著者

横山 信弘

横山 信弘(よこやま・のぶひろ)

経営コンサルタント

CSK、日立製作所を経て、現在アタックスの主席コンサルタント。営業目標予算の2倍の材料を仕込む、組織マネジメント「予材管理」が注目され、コンサルティングのみならず、セミナー講師としても人気を博す。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

大変参考になり、面白い記事でした。今後も期待しています。冒頭のやりとりは、会議ではなく、上司と部下の一対一の会話でもよくあることですね。心の中で「あるある」とつぶやいてしまいました。ここでは、上司が各論を指示してないのに、いきなりぬるま湯から熱湯に変えたのが悪いことになっていますが、各論で目標を設定しても、同じように話題をすりかえて、言い訳する部下の多いこと。また、あまりに各論の目標と進捗確認をギリギリやって、自由裁量を無くさせると、鬱になってしまったり・・・その辺の話を次回以降掘り下げていただきたいと思います。目標設定と管理は、何も会議に限らない(会議でやる会社が多いが)上司と部下のコミュニケーションの問題だと思います。(2011/09/20)

会議は、総論で終わっているケースは多々あると思います。会議では総論ではなく、各論まで決めるルールを設定するだけでも何の進捗もない無駄な会議をなくすことができますよね。(2011/09/17)

*本記事内容がわからないとのコメントがありましたがもっともです。各事象とその裏にある原因との関係性を話を飛ばさず繋げて平易に論述すべきです。言わんとしている気分は感じますが足場ある土台をある処方箋になるよう次回を期待します。*PDCAは特別な発明品ではなく本気に取り組むとき自ずとやってます。具体化しなければ動けないし狙いなき放浪しない。本気度の問題と思います。*会議開催承認の会議の審査…限り無き循環もあるし必要なだけとは誰がどの観点で必要範囲と決めるか不明でこれでは筆者の本旨は伝わりません。上の管理職、経営者発言文書ほど例に挙げたアバウト総論表現で埋め尽くされている。政府行政機関、政治、それを伝えるメディア報道も同様であると思うが筆者は気付きませんか?目標以外にこなせないほどの雑用を与えておいて目標推進遅延を責めることも己がマネジメント具体化できない目標を業務命令とし与えることも上権限により可能で不従順部下を言い訳にしているのがよく目にする実情です。そこの対処についても宜しく考察されたい。(2011/09/16)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授