コンテンツ特集の3回目だ。1回目は日本映画の実写リメークの可能性、2回目はコンテクスト創造の観点からヤマハ音楽教室を中心にヤマハグループを紹介した。普通、コンテンツの記事であまり主役にならないフィールドだ。これは全体の動向を知る前に突破口の切り口を示唆したほうが、全体像の理解が深まる場合があるのではないかと考えたからだ。
さて、日本のコンテンツとしてよく取り上げられる分野は、アニメやマンガあるいはゲームだ。これらについては、コンテンツ特集の第1回の冒頭に書いたように日本のなかで毀誉褒貶が激しいが、いずれにせよ世界のリーダー的存在に近いとの認識を前提として議論している。
しかし、それらがどの程度に「すごい」のかは、実のところ良くわかっていないのではないか。その一つの理由は、評価するためのデータや判断する根拠を一般の人が携えていないからだろう。「特殊な業界ですよね」と思う人が多い。実際、市場データが圧倒的に未整備だったのがこの分野だ。
今回はマンガとアニメを題材の中心としながら、日本のモノやコトの発信者は何を考えていくのが良いかを探ってみたい。
電子書籍に新しいフォーマットのマンガ
ローカライズしたから商品の販売の成功が保証されるわけではない。このことを何度も書いてきた。必要なのは、自分たちの作法と他地域との差異に意識的になるべきということだ。ここで一例を挙げよう。マンガのマーケットの今後の開拓に注目する時、ローカリゼーションの観点から注意すべき点はないだろうか。
「右開き・縦書きをベースにした発想を改めるべきではないかと思うのですよ。特にセリフの部分は、縦書き用のスペースに横書きを入れるという不具合が発生しています。これから本格的に輸出を考えるのであれば、その点は真っ先に見直すべきデメリットだと考えます」と語るのは杉岡一樹氏だ。エディトリアル系の大手制作会社に勤務する一方、マンガ分野の電子書店などを個人レベルで展開している。
漢字文化圏は、上から下に書き下ろすことを基本姿勢とし、文字の流れも縦書きになったと言われる。一方、西洋では、ご存知のように横書きだ。その理由は諸説ある。いずれにしても、中国から漢字を輸入し、ひらがなという表音文字を作った日本語はローカライズの代表例だ。その後、西洋の技術と一緒に横書きも入ってきた。
今、一般にビジネスで使う書類は横書きであり、日常生活で縦書きを使うことはめったにない。それでも新聞や雑誌はもちろんのこと、技術書やアカデミックな専門書を除く書籍は縦書きだ。特に文芸書は例外が少ない。マンガもそうだ。一方、中国では活字の縦書きが消滅している。
電子書籍という新しいメディアが進化しつつある。そこにコミックがどう食い込むか。当然なことながら、「これまでに作られた作品ではなく、これから作っていく作品に対して考えるべき点がある」(杉岡氏)。
「日本のマンガが海外でうけたのは、そもそも類するものが他国にほとんどなかったのが理由だと思うのです。アシスタントを使って白黒の作品がものすごいペースで生産される市場が国内で成立し、ストーリーや見せ方もその中で独自の発達を果たしました。ですから他国がそれをもとに自国にあった展開を始めれば、日本の独自性は薄れるわけです」
そこで、電子書籍の市場到来は、輸出用マンガのフォーマットを考える非常に良いチャンスであると、杉岡氏は考えている。
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1958年横浜市出身。上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、イタリアでビジネスプランナーとして独立。現在、ミラノ在住。デザイン、食品、文化論などを活動領域とする。著書に『
1965年東京出身。デザイナー、デザインディレクター。桑沢デザイン研究所卒業後、建築設計と工業デザインを手掛ける黒川雅之建築設計事務所に入社。プロダクトデザインを担当し10年目に退社後、1997年テツタロウデザイン開設。文具、日用雑貨から住宅設備機器などのデザイン、中小企業へのデザインディレクションも行う。社団法人日本インダストリアルデザイナー協会正会員。日本大学芸術学部デザイン学科非常勤講師。Twitterは

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