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電子書籍は和製サブカルに第3波を起こすか?

iPadで甦る絵巻物

  • 安西 洋之,中林 鉄太郎

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2011年9月21日(水)

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 コンテンツ特集の3回目だ。1回目は日本映画の実写リメークの可能性、2回目はコンテクスト創造の観点からヤマハ音楽教室を中心にヤマハグループを紹介した。普通、コンテンツの記事であまり主役にならないフィールドだ。これは全体の動向を知る前に突破口の切り口を示唆したほうが、全体像の理解が深まる場合があるのではないかと考えたからだ。

 さて、日本のコンテンツとしてよく取り上げられる分野は、アニメやマンガあるいはゲームだ。これらについては、コンテンツ特集の第1回の冒頭に書いたように日本のなかで毀誉褒貶が激しいが、いずれにせよ世界のリーダー的存在に近いとの認識を前提として議論している。

 しかし、それらがどの程度に「すごい」のかは、実のところ良くわかっていないのではないか。その一つの理由は、評価するためのデータや判断する根拠を一般の人が携えていないからだろう。「特殊な業界ですよね」と思う人が多い。実際、市場データが圧倒的に未整備だったのがこの分野だ。

 今回はマンガとアニメを題材の中心としながら、日本のモノやコトの発信者は何を考えていくのが良いかを探ってみたい。

電子書籍に新しいフォーマットのマンガ

 ローカライズしたから商品の販売の成功が保証されるわけではない。このことを何度も書いてきた。必要なのは、自分たちの作法と他地域との差異に意識的になるべきということだ。ここで一例を挙げよう。マンガのマーケットの今後の開拓に注目する時、ローカリゼーションの観点から注意すべき点はないだろうか。

 「右開き・縦書きをベースにした発想を改めるべきではないかと思うのですよ。特にセリフの部分は、縦書き用のスペースに横書きを入れるという不具合が発生しています。これから本格的に輸出を考えるのであれば、その点は真っ先に見直すべきデメリットだと考えます」と語るのは杉岡一樹氏だ。エディトリアル系の大手制作会社に勤務する一方、マンガ分野の電子書店などを個人レベルで展開している。

 漢字文化圏は、上から下に書き下ろすことを基本姿勢とし、文字の流れも縦書きになったと言われる。一方、西洋では、ご存知のように横書きだ。その理由は諸説ある。いずれにしても、中国から漢字を輸入し、ひらがなという表音文字を作った日本語はローカライズの代表例だ。その後、西洋の技術と一緒に横書きも入ってきた。

 今、一般にビジネスで使う書類は横書きであり、日常生活で縦書きを使うことはめったにない。それでも新聞や雑誌はもちろんのこと、技術書やアカデミックな専門書を除く書籍は縦書きだ。特に文芸書は例外が少ない。マンガもそうだ。一方、中国では活字の縦書きが消滅している。

 電子書籍という新しいメディアが進化しつつある。そこにコミックがどう食い込むか。当然なことながら、「これまでに作られた作品ではなく、これから作っていく作品に対して考えるべき点がある」(杉岡氏)。

 「日本のマンガが海外でうけたのは、そもそも類するものが他国にほとんどなかったのが理由だと思うのです。アシスタントを使って白黒の作品がものすごいペースで生産される市場が国内で成立し、ストーリーや見せ方もその中で独自の発達を果たしました。ですから他国がそれをもとに自国にあった展開を始めれば、日本の独自性は薄れるわけです」

 そこで、電子書籍の市場到来は、輸出用マンガのフォーマットを考える非常に良いチャンスであると、杉岡氏は考えている。

コメント3件コメント/レビュー

まず、「サブカル」とメインカルチャーを分けなければいけない。そして、前者は放っておくべきだ。また、「文化とビジネスを別物に見ない」という方針は、後者に限るべき。「サブカル」をぐろ~ばるすたんだ~どに合わせようとするなど、狂気の沙汰である。勿論、当事者がそれに挑戦するのはかまわない。しかしそれは、彼らがやろうと思ったときに容認するという形にしなければならない。なお、文化を「分ける」というのは、「公の」ビジネスとするかどうかに過ぎないのであって、それを作品の評価の基準にするようなことがあってはならない。(2011/09/21)

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いただいたコメント

まず、「サブカル」とメインカルチャーを分けなければいけない。そして、前者は放っておくべきだ。また、「文化とビジネスを別物に見ない」という方針は、後者に限るべき。「サブカル」をぐろ~ばるすたんだ~どに合わせようとするなど、狂気の沙汰である。勿論、当事者がそれに挑戦するのはかまわない。しかしそれは、彼らがやろうと思ったときに容認するという形にしなければならない。なお、文化を「分ける」というのは、「公の」ビジネスとするかどうかに過ぎないのであって、それを作品の評価の基準にするようなことがあってはならない。(2011/09/21)

日本のマンガもアニメももともと海外向けに作ってなどいない。それが偶々外国でもウケた人がいただけだ。日本人でさえ「コンテンツ」などと持ち上げて、内容を理解もできないで、ただ「金に成りそう」と擦り寄ってきただけの話だ、この記事の著者のように。ハリウッドだってコメディ=笑いの映画は、日本ではなかなかヒットしない。媒体に限らず、ヒットしにくい要素はあるものだ。ベタな例だが浮世絵は国内ではあくまで「商品」であったものであり、芸術的価値を認めたのは欧米だ。民具に「民芸」という価値概念を見出したのは柳宗悦だ。この記事の著者にそれだけの仕事を成し得る自信と才が本当にあるのだろうか。(2011/09/21)

同人誌のネットデータ販売動向を眺めていると、やはり同人誌データをそのままデータとして落としこむものは、簡単ですがPCでの閲覧には向いていないと感じることがあります。マンガのオンライン閲覧も、画面の中で見るには縦長過ぎて見難く感じます。一番見やすいのが縦にずらーっと4コマを1本並べて、長い話にしているサイトでした。電子書籍として描かれたマンガは、横か縦の一方向に視線を動かすだけのものが一番読みやすいので、そういうフォーマットのマンガは今後出てくるでしょうね。横スクロールで左から右へ、という流れを作る人の体に染み込ませるには、相当の時間がかかるとは思いますが。マンガはセリフが横書きになっても(ネットで描いている人や、デジタルで描き始めた人はそういうのが多いです)、やはり右から左に読んでしまいますので…。(2011/09/21)

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三品 和広 神戸大学教授