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震災で問い直す「高信頼性組織」の条件

災害避難の“常識”も再検証せよ

  • 元吉 忠寛

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2011年9月22日(木)

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 3月11日に発生した東日本大震災──。地震、津波という自然災害に原発事故という社会災害が重なり合う未曽有の事態は、これまで社会や企業が前提としてきた安全の常識を次々と覆した。3月11日を境にどのような常識が新たに形成されていくのか。それに応じて社会や企業活動の安全マネジメントをどう変えていかなければならないのか。

 このコラムでは、自然災害と事故などの社会災害の両方に精通した防災や危機管理のプロを育成する場として日本で初めて誕生した関西大学社会安全学部の教授陣が、社会や企業の安全マネジメントについての新たな考え方や具体策を講義していく。

 今回は、災害や学校における危機などのリスクに対する人々の認識や意思決定、行動について研究している元吉忠寛准教授が、心理学の視点から、被災者の避難方法や組織の危機対応、心のケアのあり方などについて提言する。

(構成は、峯村創一=フリーライター)

 震災の発生から半年が過ぎ、家を失うなどして避難所で暮らしていた被災者の大半が、仮設住宅で新たな生活を始めている。9月上旬、私は岩手県盛岡市に足を運び、被災者支援のNPO(非営利組織)「SAVE IWATE」の協力を得て、壊滅的な被害を受けた同県沿岸部から避難してこられた被災者の方々のお話をうかがう機会を得た。

 彼らが口々に話されたのは、地震被害の少なかった盛岡市に移って日常生活を営むことによって、心の安定を得られたということだ。

 もともとは沿岸部の宮古市や大槌町に住んでいた方々だ。被災して約2週間後に、内陸部にある安比高原のホテルへ避難。そこで3カ月半ほど過ごした後、7月下旬からは被災者を対象とした民間賃貸住宅の借り上げ制度を利用して、盛岡市内のアパートに滞在している。

 宮古市や大槌町から、避難先の安比高原や盛岡市までは、直線距離にして約70~80キロ離れている。多くの被災者が、自宅近くの避難所に移動し、現在もなお近郊の仮設住宅で暮らしているのと比べると、彼らが経験した避難経路は特別なものだった。

 やはり長年にわたって住み慣れた土地であっても、避難所や仮設住宅は特殊な環境であり、日常からかけ離れている。被災者が長くこの状態に置かれたままでは、「惨事ストレス」を解消することは難しい。

「被災者は避難所に入る」という常識を改めよ

 「惨事ストレス」とは、大規模な災害で悲惨な光景を直接目撃した人や、間接的に見聞きした人が、その恐怖を思い出したり、助けられなかったという自責の念にさいなまれたりすることに起因するストレス反応だ。

 具体的には、不眠や気分の不調、放心状態などの反応が表れる。これを放置すると、「急性ストレス障害(ASD)」、さらに進行すると「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」に発展する恐れがある。

 特に、子供たちにとっては、日常からかけ離れた生活が長期にわたって続くことで、惨事ストレスがさまざまな心身の反応となって出てきてしまう。こうした状況は、1日も早く解消されなければならない。

 日本の災害対応は、被災者はまず地域の避難所へ避難することが前提になっている。しかし今回のように地域が丸ごと壊滅的な被害を受けた場合は、早い段階で、たとえ距離が遠くても安心して日常生活を送れる場所に移動するべきである。

 例えば、盛岡市のような都市部に移れば、日々の食事や買い物、家事、育児などの家庭生活は不自由なく営むことができる。単に何をするにも便利だというだけでなく、精神的にも平安がもたらされる。

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