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国民の誰もが医・食・住を保障される国づくり

生きる不安を取り除くことが新しい社会インフラ

2011年10月14日(金)

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 前回までの本コラムで、日本は人口的にも経済的にも成熟社会に入ったことと、だからこそ従来型の景気対策や様々な経済政策がたいした効果をもたらし得なかったことを説明してきた。そして、ダムや道路を造ったり強引に金融緩和をしたりするよりは、医療や介護サービスを充実させる政策をとった方が経済活性化に有効であると提案した。

新しい国家ビジョンの必要性

 しかし、我が国がこれから本格的な成熟社会に入っていくに当たって、「医療・介護産業を充実させましょう」という政策だけでは不十分だと考えている。これから迎える成熟社会は高齢化比率の高さにおいても、人口減少のスピードにおいても、歴史上これまでどの国も経験したことのない未曾有の事態なのである。毎年人口がどんどん減っていき、老人だけが今後30年以上も増え続ける事態がもたらすインパクトは、かつてのバブルの崩壊やリーマンショック以上であり、人々のライフスタイルや経済の仕組みを根本的に変えてしまうであろう。

 そうした事態を迎えるに際して、そもそもどういう社会を作り上げるべきなのか、その社会の中で人々はどういう生活を営んでいけばよいのかという、国家ビジョン/社会ビジョンを描き出さなければならない。

 80年代までは通用した “一億総中流社会”を築き上げる方法論――公共事業で産業インフラを整備して経済のパイを拡大し、経済成長がもたらす配当を国民全員に分配する――は完全に過去のものである。

 成熟期に入ったら、成長期だったからこそ成立した政策もライフスタイルも通用しなくなると覚悟しなければならない。

 では、どういう国家ビジョンを描き、どういう政策を実施し、どういう社会でどういう生活を営んでいけばよいのか? これらについて「成熟日本のアジェンダ」として提起していこう。

「国民全員に医・食・住を保障する」という社会インフラ

 そもそも国家の使命とは、国民に安心・安全で豊かな生活を提供することである。それは成長期も成熟期も変わらない。そのために国は税金を集め、そのカネで社会インフラを整え、公共サービスを行い、法律や制度を制定して世の中を回しているのである。

 では人口も経済も成熟した社会において、国民に安心・安全な生活を提供するために国家は何をすればよいのか。

 その答えを端的に言うと「国民全員に、医・食・住を保障すること」である。

 人が生活の中で最も深刻な不安を感じるのは、食べることの不安、住むことの不安、病気になった場合の不安、そして老いて介護が必要になった場合の不安である。逆に言えば、もし失業しても、病気になっても、食べること、住むこと、そして病院にかかることが、国民全員に保障されていたならば、どれほど安心して人生を送ることができるだろうか。

 医・食・住が国家によって保障されていれば、人はこの国で安心して生まれ、育ち、働き、老後を送ることができる。国民がこの国で安心して人生を送っていくための「医・食・住の保障」というサービスを提供することこそが、これからの時代に求められる公共財であり、新しいタイプの社会インフラだということができる。

 「医・食・住の保障」という社会インフラは国民の生活を豊かにするという目的に対して、経済の面でも国民の満足度の面でも、これまで行ってきた産業インフラへの投資よりも明らかに効果が大きい。経済成長を通して国民の生活を豊かにするという方法論が効力を失った成熟社会においては、手元にある経済資源を産業インフラの整備に投入するのではなく、国民の医・食・住を保障するために使う方が合理的である。

 成熟日本が目指すべき国家ビジョンとして「国民の誰もが医・食・住を保障される国家」を掲げて、その実現のためにお金の集め方と使い方を変え、新しい社会インフラ/公共財として整備していくべきなのである。

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