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「みんな正社員に」では解決しない

低成長時代の新しい雇用システムの整備を

2011年10月3日(月)

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 政府が毎夏発表する『労働経済白書』と『経済財政白書』。2つとも政府が発行しているにもかかわらず、今年も2つの白書は不一致を見せている。

 2つの白書はいずれも、日本の労働市場の行方や目指すべき方向を論じたもの。ところが、その内容は、さながら閣内不一致のような様相を呈している。それぞれの担当者が思いを持って原案を書いたにせよ、白書は関係部署での調整を経て発表されるものだけに、とても興味深い。

 どちらの白書も、「日本を取り巻く経済環境が変化していて、人的資本(人間の持つ知識や技能などの能力)を一層高度化する必要がある」という現状認識は共通する。しかし、それが一体どのように実現されていくのか、あるいは実現されるべきなのかについての見解が異なる。

 『労働経済白書』は、日本の特長であった長期雇用に基づく人材育成システムの良さを見直すべきと説く。非正社員の正社員転換を進めるなど、より多くの人々が、いわゆる日本型雇用システムの中に入れるような変化が望まれるとしている。

 一方で『経済財政白書』は、新卒一括採用を見直したり、高度専門職の労働市場での流動性を高めるといった施策が必要だと指摘している。もう昔ながらの日本型雇用システムには戻れないし、戻るべきではないというわけだ。

なぜ非正社員が増加したのか?

 実を言うと、労働経済学者の中でも、近年の日本の労働市場の変化への捉え方に温度差がある。

 1つの考え方は、日本型雇用システムは強固なもので、20年間に及ぶ低成長期を経てもなおも機能し続けているというもの。もう1つは、日本型雇用システムは既に相当な変化を遂げており、それには相応の理由があったという見方だ。

 私自身は、共著者とともに後者の立場で、最近2本の論文を発表した。

 『非正規雇用改革  日本の働き方をいかに変えるか』(亜細亜大学の浅野博勝氏、広島大学の伊藤高弘氏とともに執筆、鶴光太郎・樋口美雄・水町勇一郎編著)では、非正規労働者が増加している背景を論じた。

 非正社員比率は、1986年から2008年にかけて、17%から34%に増えた。これを、労働者に占める女性比率の増加、製造業から非製造業への産業構造のシフト、企業の直面する不確実性と雇用調整の容易な労働者への需要の増加、職場への情報通信技術の浸透といった様々な変化で説明しようとした。

 しかし、これらの要因で説明できる非正社員の増加は、全体の4分の1ほどに留まることが明らかになった。残りの4分の3は、長期雇用を前提とする日本型雇用システムの魅力が、企業にとって徐々に薄れたことによる。

 つまり、非正社員の増加は、既に労働市場にいる者が非正社員化したためではない。むしろ、新しく労働市場に参加した若い男性労働者や女性労働者が非正社員化したことで増えているのだ。

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「「みんな正社員に」では解決しない」の著者

川口 大司

川口 大司(かわぐち・だいじ)

一橋大学経済学研究科教授

1994年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。96年、一橋大学経済学研究科修士課程修了、2002年、米ミシガン州立大学経済学博士(Ph.D.)。2013年から現職。専門は労働経済学、応用計量経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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