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あなたの会社では、部長が課長の、課長がメンバーの仕事をしていませんか?

自身と会社が成長するために欠かせない「1つ上の視点」

  • 武田 斉紀

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2011年9月26日(月)

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実務能力を誇っていた人事課長の勘違い

 「日本には、部長が課長の仕事を、課長がメンバーの仕事をしている会社が多い」──残念ながらこれまでに多くの企業を支援してきた私の実感だ。みなさんの会社ではどうだろうか。

 具体的な事例をお話ししよう。以前、大手上場企業A社で、企業理念の再構築とともに、理念に沿った人材採用(理念採用)の支援をしたことがある。私の仕事は、採用面接に関わるメンバー(担当者)、人事課長、人事部長、担当役員、社長に、理念採用を理解してもらい、そのノウハウを伝えることだった。

 そのため私は面接にも同席した。最初にメンバーレベルでの面接(応募者と2対1)があり、クリアすると課長面接、部長面接と進んでいく。対象が新卒か中途か、若手か役職者かで、最終面接官は役員だったり、社長だったりする。中堅中小などでは、新卒でも社長がフォローも兼ねて面接したりと、説明会やフォローにおけるバリエーションは様々だが、面接自体はどの会社も同じような流れだろう。

 問題は、それぞれの面接官がどんな役割を担っているかだ。

 私がA社を支援して最初に驚いたのは、メンバー面接ではメンバーが可否を判断せずに、ほぼ全員を課長に“上げて”いたことだ。メンバーに「なぜ自ら判断しないのか」と聞いてみた。すると「判断するのは課長の仕事だし、自分には判断する力も自信もない。うちの会社はずっとそれでやってきた」と答える。ならばこの会社にとって、メンバー面接は何のためにあるのか。

 A社のメンバーは簡単な面接記録を残していた。私は次の課長面接に同席する際に注意して見ていたが、人事課長はメンバーの記録を見るわけでもなく、1次面接の様子を聞くわけでもない。面接に入って隣で聞いていると、特段意図もなくメンバーと同じ質問をする。私が応募者ならうんざりするに違いない。限られた時間の中で、もっと他のことを聞いてほしいと思うだろう。

 その課長は、メンバーが採用説明会など他の仕事で忙しい時は、応募者の電話受け付けやメール対応、書類の整理なども行っていた。彼はメンバーの仕事を理解していること、困った時に自らフォローできる実務能力を私に誇っていた。

 実務能力があること自体が悪いわけではないのだが、会社としては課長である彼に払っている給料を時給換算したら、そんなことばかりされては割に合わないと思うだろう。

 私ならあらかじめまとまった事務作業が発生すると分かれば、単発のアルバイトを頼む。メンバーにしても、別に課長が忙しそうに事務作業を手伝っている姿を見たいわけではない。応募者に失礼のないように対応できればそれでいいわけだ。そして恐らく手慣れたアルバイトの人の方が、対応は課長よりも正確かつ丁寧で速い。

 さて、一緒に入った2次面接を終えての人事課長の判断はどうだったか。彼は明らかに自社の基準に合わないとわかる応募者を除いて、ほぼ全員を部長に会わせようとした。部長はかなりの数の応募者に会うことになる。

 これではより多くの候補者の中から、会社に貢献できる人材、他社に負けない人材を確保することは困難だ。別の言い方をすれば、組織として人事の生産性は低いと言わざるを得ない。

 採用における【人事課長】の主な仕事は、「自社にとってより優秀な人材を採用できる仕組みを作ること」だ。そのためにはメンバーがある程度の採用可否を判断できるように育成する必要がある。課長が会える人数は限られるが、メンバーが会える人数はその何倍もあるからだ。彼らがある程度判断できれば、会社としてはより多くの候補者に会え、厳選した採用ができる。

 次に採用における【人事部長】の主な仕事は、「会社にとって今後の事業計画に必要な人材の要件と、採用計画を描くこと」だ。経営を左右する幹部クラスなどは可能な限り採用に関わることも必要だが(現場感覚を忘れては人員計画の精度も下がる)、A社のようにほぼすべての応募者に会っている場合ではない。

 私はA社との契約期間の中で、同社の理念に共感し、「より貢献できる人材、他社に負けない人材を確保する」ために奔走した。理念採用実現のためには、人事採用体制を根本から変える必要があると感じた。

 話を戻そう。部長が課長の、課長がメンバーの仕事をしてしまっている例は、人事採用のセクションだけではもちろんない。

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