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業務を標準化すると顧客が逃げます

あなたの会社に「受発注」は何通りありますか

  • 津川 雅良

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2011年9月28日(水)

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 中小問屋の弊社が新しい情報システムを導入することになり、システム開発をお願いするIT(情報技術)企業を選定し、IT企業のSE(システムズエンジニア)と当社の社員に打ち合わせをしてもらっていた頃、次のような文面の電子メールがSEから送られてきました。

 「いつも大変お世話になっております。キャンセルボタンの件で昨日、営業の方とお打ち合わせをしたところ、メーカーにキャンセルを伝達できるこの機能があれば業務を効率化できるというお話でした。ただし、キャンセルをしたにもかかわらずメーカーが製品を納入してくるケースがあるのでそれに対処してほしいと言われました。以下のような対策でいかがでしょう。営業の方がキャンセルボタンを押すと同時に、キャンセルと明記した入荷管理記録用紙を配送部門にあるプリンターから印刷いたします。こうすればキャンセル品が入庫した際、配送担当者は営業にいちいち確認せず返品の判断ができると思います」

 このメールの意味がお分かりいただけたでしょうか。

業務を標準化しにくいという課題

 「キャンセルをしたにもかかわらずメーカーが製品を納入してくる」。これはほんの一例で、こうした悩ましい取引はいくらでもあり、なかなか業務を標準化できません。

 中小企業団体の報告書などを見ると、IT利用やEDI(電子データ交換)に対する課題が次のようにまとめられています。これまでに書いたことと重なりますが紹介しておきます。

  1. 電子情報交換とパソコンによる清書(電子化)を混同し、情報交換の必要性が認識できていない。
  2. 企業、特に中小零細にとって、経費で比較して高い比率の投資が必要になる。
  3. 運用方法や管理手順など対応の全体像が見えてこない。
  4. 業界に従事する社員は新たな技術に対応することへの不安を感じている。
  5. 慣行との違いを理由に取り組もうとしない企業が存在する。
  6. 小さなエラーやミスが情報の流通過程で拡大する可能性が高い。
  7. セキュリティの確保が必須だが、個々の企業で対応せざるを得ない。
  8. 標準化が計画されていない、有力企業独自の手順が存在する。

 最後の8は、大手メーカーが独自の電子データ交換手順を決めていてそれを使うように要請してくるものの中小企業としてはなかなか対応できない、という課題です。

 これはその通りですし、そもそも業務を標準化しにくいという大きな課題があります。

 国内の中小企業は総企業数の8割、中小企業で働く従業員数は総従業員数の7割を占めるとも言われております。従いまして中小企業にも優秀な人材は当然います。ただし、この人の仕事ぶりを「標準」にはできない事情があります。

 ある仕入先で受注窓口を務めていた女性社員が退社されました。翌日から、その仕入先から買っている商品について得意先から問い合わせがあった時、当社からの回答が以前より遅くなってしまいました。

 退社した女性社員は、当社が注文した商品が在庫切れで生産待ちだった場合、生産予定と受注残を見比べ、商品の出荷日と当社への到着日を伝えてくれました。「その到着日では間に合わない」というと、その場で代替品を提案してきました。

 後任の受注窓口担当者はそこまでやってくれません。といっても後任が手抜きをしているわけではなく、むしろ彼女の仕事ぶりが仕入先の決まり通りではなかったのです。

 従業員の力量の差が大きい企業で優れた人を標準にすると、そうではない人はついて来られません。それではと逆にすると、今後は優秀な人に不満が生じます。

 子供の遊びに例えると「手つなぎ鬼」でしょうか。足の遅い人に合わせると捕まえられませんし、早い人に合わせると足が遅い人の手を離さなければなりません。

効率改善で顧客離れ

 中小企業は日常業務において、お客様の都合に合わせて業務処理の順序を変えていきます。お急ぎのお客様にはそれに合わせた対応をして、お客様に満足していただこうとします。言い方を変えると「急ぐ客は行列に並ばない」ということです。

 欧米の業務は一本道のごとくで特別扱いの場合は別に料金をとります。我が国ではなるべく分け隔てなく相手の都合に合わせます。特に急ぐ場合、ある社員がお客様に接しながら別の社員が倉庫で商品を集めたり、配送の途中で仕入先に寄って商品を引き取ってお客様に届けたりします。

 こうして我々の仕事は「並行稼動」になりますが特別料金はいただきません。並行稼動をすると情報の関連性を損ないます。そこでいわゆる締め作業を一定時期に集中して実施し、受発注の情報、在庫や配送の情報を確認して相互の関連性を補います。これを「結果の管理」と呼ぶことにします。

 「結果の管理」は業務と管理を分けておくので、繁忙期と閑散期の変化に対応しやすくなります。繁忙期には業務をどんどんこなし、閑散期に締め作業をやって数字がおかしくないかどうかを確認するわけです。

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