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“数字”で考える欧州危機の処方箋

実行に欠かせない政治のリーダーシップ

2011年9月30日(金)

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 さて、この原稿、米シカゴから日本へ向かう機内で書いている。ギリシャをはじめとする欧州の経済・金融危機。米国の景気回復遅れ。そして、新興国を悩ませるインフレや資産バブル──。

 今回の出張の間も、「リーマンショックに続いて、また危機が来そうだ」「今回はどう対応しよう」というムードが、米国をはじめとする先進国の企業を包み、何となく浮足立った雰囲気が感じられた。

 本当は浮足立っている場合ではない。このコラムの中で繰り返し述べてきたように、大きな変化が頻繁に起こり、変化が常態化する時代に入った。そう考えて行動すべきだと思う。

 「何か大きなことが起こりそうだ、どうしよう」と恐れるのではなく、「好むと好まざるとにかかわらず、大きな変化は何度もやって来るもの」と思いを決して、あらかじめ「変化に対応する力」を磨いておくべきなのだ。

 と、基本思想を述べてはみたものの、多くの方が、特に欧州の状況について、「結局、どういうシナリオがあるのか」という疑問を持っておられる。

 欧州共通債券の発行、欧州金融安定基金(EFSF=European Financial Stability Facility)の大幅拡充など、個別のアイデアをいろいろ聞かされるのだが、「単一通貨を有するEUを維持するためには、一体どれくらいのお金が必要で、それを捻出するためには、どんなレベル感の政策が必要なのか」という最終形に向けた議論には、なかなかお目にかかれない。

 もちろん、さまざまな不確定要因が存在し、各国政府の動き次第で、事態の様相が刻々と変わるからにほかならないのだが、どうも隔靴掻痒の感を拭いきれない。

「GDP比180%」という債務削減の目安

 そこで、私の仲間たちが、「あえて、極端に議論を単純化し、そこから今後を考えるためのたたき台にする」という意図で、研究レポートをまとめた。

 まず、彼らは、一応持続可能な債務レベルとして、「政府、企業、家計がそれぞれ各国の国内総生産(GDP)の60%、三者合計でGDP比180%」という線を前提として置く。これまた前提として利率5%、名目成長率3%という中期想定をもとに、その中で、何とかやりきれるレベルである。

(注)最近発表された、国際決済銀行(BIS)所属のエコノミストの調査でも、下記のうち、どれか1つでも当てまはると、少なくとも過去30年間の経済協力開発機構(OECD)諸国では、経済成長がひどく鈍化する、とされている。上記の債務レベル前提は、この分析とも大枠において整合している。

(1)政府債務が、GDP比80ー100%を超える
(2)非金融セクターの企業債務がGDP比90%を超える
(3)家計の債務がGDP比85%を超える

 この180%ルールに基づくとした場合、どれくらいの債務削減が必要になるかを示したのが、図1だ。

 ユーロゾーン全体で、6兆1200億ユーロ(約630兆3600億円)の削減が必要であり、ドイツを含むすべての主要ユーロ圏諸国が、債務削減に取り組まなければならないということになる。しかし、これを実行するとなると、国ごとに異なった処方箋が求められる。

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「“数字”で考える欧州危機の処方箋」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師