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被災地の復興では新たなまちの「創造」を

なし崩しに「原状回復」を目指せば、ゴーストタウンと化す

  • 越山 健治

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2011年10月3日(月)

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 3月11日に発生した東日本大震災──。地震、津波という自然災害に原発事故という社会災害が重なり合う未曽有の事態は、これまで社会や企業が前提としてきた安全の常識を次々と覆した。3月11日を境にどのような常識が新たに形成されていくのか。それに応じて社会や企業活動の安全マネジメントをどう変えていかなければならないのか。

 自然災害と事故などの社会災害の両方に精通した防災や危機管理のプロを育成する。そうした専門教育の場として日本で初めて誕生した関西大学社会安全学部の教授陣が、社会や企業の安全マネジメントについての新たな考え方や具体策を講義していく。

 今回は、都市復興を専門とする越山健治准教授が、被災地の復興のあり方を提言する。震災前の姿に戻す「原状回復」ではなく、新しいまちの「創造」を目指すべきだと主張。そのためには、地元の自治体が自らアイデアを考え出し、国が資金と制度で柔軟に援助するという新たな仕組みが必要だ。「今こそ政治による意思決定を」と訴える。

(構成は、峯村創一=フリーライター)

 東日本大震災による大津波は家屋という家屋を押し流し、東北地方の沿岸部を中心に壊滅的な被害をもたらした。その面的な広がりは、太平洋戦争時の空襲で日本全国の都市部が焼け野原になった時の規模にも匹敵しよう。

 太平洋戦争が終結した後には「特別都市計画法」が制定され、全国115都市がその指定を受けて、国の主導の下に復興が行われた。国が復興の手順を示して制度を設計し、財政を支援するスキーム(枠組み)を創設し、復興を後押ししたのである。

 一方、1995年に起きた阪神・淡路大震災の際は、国は結果として自らが主体的に動くよりもむしろ被災地の支援に徹するという立場を貫くことになった。

 この時はそれで良かったのかもしれない。都市直下型だった阪神・淡路大震災の被災地は、神戸市とその周辺に限られており、まち一帯がほぼ全滅という状態に至ったわけでもなかったからだ。いわば局所的で限定的な災害であり、被災地自体に立ち直る力、周辺地域にもそれをバックアップする力が存在していた。

 今回の震災の規模は、それとは比較にならないほど広域にわたっている。津波で甚大な被害を受け、住宅や施設ごとではなくまち全体の面的な復興を必要とする地域の広がりは、関東大震災が起きた時の都市計画事業の対象面積をも大幅に上回る。

 当然、国が新法の制定などを通じて全く新しい復興のスキームを提示すべきである。だが、残念ながら今のところ、それは実現していない。

誤解されている復興の真のあり方

 そもそも復興というものを誤って受け止めている人も少なくない。それは単に建築物などの施設の安全性を強化して、元の姿に戻せばいいという話では決してない。

 20年後や30年後の未来を見据えて、産業構造や国土のあり方を構想するというマクロな視点と、地域住民の暮らしのあるべき姿を考えるというミクロな視点の双方に立ち、新たなまちをゼロベースで一から創る。つまり、「原状回復」ではなく「創造」に取り組むことが求められる。

 被災地が広域に及んでいるだけに、「原状回復」には莫大な費用と時間がかかる。すべてを元通りにするのは不可能ではないが、現実的ではない。

 それにまちの姿はもともと移り変わっていくものだ。仮に今から5年後に震災前と同じ状態に戻せたとしても、5年後の地域や被災住民を取り巻く環境にはそぐわないだろう。だからこそ、まず将来の地域社会のあり方を議論する。

 そのうえで、例えば徒歩圏内に住民を集め、商業施設や公共施設なども集約して、公共交通網などのインフラやエネルギーの使用効率を高める「コンパクトシティー」を安全性の高い場所に整備するなど、まちを新たに「創造」する。その方が建設的だし、復興の費用が「原状回復」より少なく済む可能性もある。

コメント5件コメント/レビュー

津波被害の復興の街ずくりは広く世界中からアイデア募集が良いと思う。今後百年から千年の間に必ず今回の様な地震津波は発生する。今生きている人達の子孫の為この機会に斬新奇抜すぎるほどのアイデアがいると思う。地震によりリスボンの街はすっかり変わった例やパリの街並みの美しさはあちこちの街に取り入れられている。若くて才能のある創造力のある建築家は世界的広がりの中からだと見つかる。世界が日本に注目してくれているのだから急いで慎重にとりかかるのだ。世界中の人々に被災地に一層の関心を持ってもらえるチャンスにもなる。(2011/10/03)

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いただいたコメント

津波被害の復興の街ずくりは広く世界中からアイデア募集が良いと思う。今後百年から千年の間に必ず今回の様な地震津波は発生する。今生きている人達の子孫の為この機会に斬新奇抜すぎるほどのアイデアがいると思う。地震によりリスボンの街はすっかり変わった例やパリの街並みの美しさはあちこちの街に取り入れられている。若くて才能のある創造力のある建築家は世界的広がりの中からだと見つかる。世界が日本に注目してくれているのだから急いで慎重にとりかかるのだ。世界中の人々に被災地に一層の関心を持ってもらえるチャンスにもなる。(2011/10/03)

内容が長いのでポイントを見失いそうになるが、多くは共感の持てる提案でした。私が日々思うのは、震災で疲弊し、復興を急ぐ余り、画一的な思考に落ち入りかねない自治体と住民に、多額の血税が使われる『復興案作成』を丸投げしてはいけない。国は復興における最低条件を明確にし、国内の大学・研究者などに計画案作成の協力を要請し、広範囲の各被災地それぞれに合った案を自治体と住民が選び二人三脚で、より良い地域創造を進めて欲しい。『自由度が高い予算』については、少々疑問を持っている。国がリーダーシップを示せないから、取り敢えず予算だけ出す…いいのだろうか?時間経過につれ“平常”を急ぎ取り戻したい住民の要望に押され、予算の使い道・順番を間違えると、既成事実が積み上がり“なし崩し的回復”が進んでしまはないか心配だ。(2011/10/03)

全く同感で、私も同じ趣旨の意見を投稿した。この記事で指摘されている様に、日本は民主主義の国であるが故に大規模の再開発には土地の収用も含めてとてつもない金が必要になり、肝心な町の作り直しに回る金が足りなくなってしまうのは近年の公共の大規模開発を見れば明らかである。 今回の被災地を全て国庫で再開発する事も規模の大きさからみて不可能である。強力なリーダーシップは必要ではあっても、残念ながら存在しない。そこで提案したいのは、町ぐるみで例えば土地、建物等の全ての不動産の所有権を放棄して復興に臨める様な自治体を対象に重点的な『災害に強い』町造りを実現すべきではないだろうか。(2011/10/03)

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