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財務戦略偏重がもたらす重大な副作用

事業戦略とのバランスの再考を

2011年10月14日(金)

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 『経営戦略の巨人たち』(ウォルター・キーチェル三世著、日本経済新聞出版社)という本がある。米マネジメント誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」などの編集者であったキーチェルが、経営戦略という分野の創生から現在に至るまでの歴史を、それに関わった人物像にも触れながら、書き下ろした書籍だ。

 たまたま私が属するボストン コンサルティング グループの創業者ブルース・ヘンダーソンが、軍事用語であった「戦略」という概念を経営の分野に持ち込んだ最初の1人として紹介されてもおり、興味深く読ませてもらった。

 1980年代初頭までは米国のビジネススクールでも「戦略論」は学問分野として扱われておらず、その中で、業界の先達たちが悪戦苦闘した逸話は、何度も聞かされてきた。そんな私でさえも目を開かされるような話もいろいろ出てくる。少し引いた立場のジャーナリストが、企業や学者も含めたステークホルダー全体を眺めて書いているからだろう。

 正直なところ、我々経営コンサルタントにとっては、耳の痛い話もたくさん出てくる。経営戦略の理論的発展だけでなく、草創期のコンサルティング業界の人間模様が書かれており、これは、どの世界にもあることだが、人間の夢とエゴがない交ぜになったような側面が明らかにされる。あるいは、理論と実際のギャップ、特に戦略が絵に描いた餅になりがちなところを、どう埋めていくのか。この古くて新しい問題が、何度も突きつけられる。

 こういった部分があるにもかかわらず、企業と戦略ということを考えるうえでは、非常に価値のある本であり、ご興味のある方には、お薦めしたいと思う。

「株主価値重視」とともに広がった戦略論の新たな流れ

 企業と戦略というテーマを乱暴に概括すれば、以下のようになる。

 競争優位を、コストや差異化といったポジショニングから考える、という流れから始まった戦略論の分野。その中で見落とされがちな「人」「組織」「知識」といったリソースに着目する「反ポジショニング」的な流れが次に台頭する。そして、徐々にその2つがコインの裏表のように進化を遂げることになる。

 しかし、ある段階から、株主価値を重視する立場(エージェンシー・セオリー)に強く影響され、戦略の目的が「株主リターンの最大化」というふうに単純化、矮小化されることが見受けられるようになった。さらに、(特に米国では)株主に対してリターンを提供しさえすれば、経営者が高額の報酬を得られるようになり、これは最近の米国での反ウォールストリートのデモにもつながる「企業とその経営者の強欲批判」の対象となった。

 このあたりまでが、『経営戦略の巨人たち』がカバーしている部分だ。この流れに沿ったうえで、さらに、事業戦略と財務戦略の一体化、およびその功罪について、少し考えてみたい。

 事業戦略の目的が、あくまで株主リターンの最大化である、というエージェンシー・セオリーの考え方は、相当短絡的な見方であることは言うまでもない。所有権を持つ株主を重視したうえで、企業の持つ社会性、あるいは共同体への貢献、といった視点が必要である、というのは、日本のみならず、海外でも多くの経営者が認めるところだ。

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「財務戦略偏重がもたらす重大な副作用」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官