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日本の教育の崩壊はなぜ起きたのか

「成績」は時と場合によって異なるものである

  • 吉田 耕作

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2011年10月20日(木)

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 日本の教育が危機に面していると言われて久しい。最近では、経済協力開発機構(OECD)が発表した2008年の加盟国の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合は、2005年、2007年に続いて日本は31カ国中で最低である。しかも、公的教育機関の不足を補うべく、教育支出に占める私費負担の割合は33.6%で、チリ、韓国、英国に続いて4番目に高い水準だという。

 国の教育費の支出があまりにも低いという問題は、現場で危機的な症状として表れている。文部科学省の調査で分かった事は、2009年度中にうつ病などの精神疾患で休職した全国の教員は5458人と過去最高を更新し、04年度の1.5倍であった。新聞報道によると、都道府県別の教職員の休職者の率は、1位が沖縄県で1.14%、2位が大阪府の0.94%、3位が東京の0.90%となっている。

教師が置かれた現状

 東京都では、2007年度に精神疾患で416人の教員が休職し、その数が急増するのを受けて、公立学校の全教員に早期発見を目的としてストレステストを行った。「よく眠れるか」とか「1日3食とっているか」とか「日常の仕事に苦痛を感じるか」とかの問診票にこたえる形を取っている。

 「子供と親の両方とうまく行かない」教員もおり、電話で30分以上、保護者から苦情を受けたり、わずかな事で教員をなじったりするいわゆるモンスターペアレントが急激に増えたという事情がある。

 育児から教育までを学校に丸投げし、親としての責任を回避する親が増えているようだ。その上、教育委員会や関係官庁に提出する書類がやたらに増えたという。しかも給与は減る方向にあるという。

表1 教職員の授業時間、勤務時間の国際比較

授業時間 勤務時間
小学校 中学校 高等学校 小学校 中学校 高等学校
イギリス 654 722 722 1265 1265 1265
フィンランド 677 592 550
フランス 926 644 630
ドイツ 805 756 715 1775 1775 1775
日本 709 603 500 1899 1899 1899
韓国 840 616 604 1680 1680 1680
スウェーデン 1767 1767 1767
アメリカ 1097 1068 1051 1913 1977 1998

資料:OECD The Teaching and Learning International Survey(TALIS)2007-8

 表1でも明らかなように、主要な先進国の間では日本と米国が突出して勤務時間が長い。

   しかも日本は全就業時間に占める授業時間が非常に少なく、全体の就業時間の4の分1から3分の1ぐらいになっている。これはいかに、授業時間以外の仕事に多大の時間を費やしているかを示すものである。

 校長や副校長や教頭のような管理職に選ばれた人たちは、管理職でいることに疲れ、自ら教諭への降格を選ぶ「希望降任」が増えているという。文部科学省の2009年度の調査では、全国の公立小中高、特別支援学校で223人という過去最多の希望降任者がいたという。降任希望の理由は健康上の問題が48%、職務上の問題が26%、家庭の事情が25%となっているが、これらは明らかに表面上の理由であり、教育の現場は末端の管理者がどうする事もできない状態なのであろう。

 文科省やその他の行政の最高経営責任者達は、現場の管理者が管理できない状態を無視し、末端に責任を転嫁している現状が浮かび上がってくる。これらの末端の管理職は、担いきれない書類作りや来客への応対、地域の行事への参加などを求められ、毎日残業をし、持ち帰りの仕事も多量に抱えている状況である。

コメント30件コメント/レビュー

知人の「教師」は皆一様に子供っぽい。子供心がない人間に子供の教育など不可能だから仕方ないが、子供心と組織管理はハッキリ言って両立不能だ。 だから学校に必要なのは【指示を出す管理職】ではなく【管理を自ら実行する担当者】だ。競争原理は教師ではなく彼ら【管理担当者】にこそ適用されるべきだろう。教師は極言すれば「ツール」でしかないのだから。(2011/10/21)

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いただいたコメント

知人の「教師」は皆一様に子供っぽい。子供心がない人間に子供の教育など不可能だから仕方ないが、子供心と組織管理はハッキリ言って両立不能だ。 だから学校に必要なのは【指示を出す管理職】ではなく【管理を自ら実行する担当者】だ。競争原理は教師ではなく彼ら【管理担当者】にこそ適用されるべきだろう。教師は極言すれば「ツール」でしかないのだから。(2011/10/21)

 統計学者でしたらば「年代人口比による大学定員の総量規制」といった提案があっても良いのではないでしょうか? 20:80の法則により、集団の中でリーダー的役割を果たす個体の比率は15~25%の間になると決まっています。つまり、「リーダー養成所」たる大学の定員は同世代人口の25%を超えると自らの存在意義を低下させるだけとなるのではないでしょうか?(2011/10/21)

「競争と協調の絶妙なバランス」これこそが基本として一番重要な点でしょう。特に現競争というのは誰もが「同じルール」に従っているという前提が最低限守られなければならないのですが、競争のメッカであるはずの米国でも投資銀行の類がリーマンショックのときに負けそうになったときに「大きいものはつぶせない」「自分たちが負けるのは嫌だからみんなでたすけろ」といきなり「資本主義」のルールを逸脱して「共産主義」のルールを持ち出して自分たちの負けを認めずルールを破壊してしまったがゆえにもはや「資本主義における競争」ではないのです。これは行過ぎた競争の弊害です。行過ぎた競争のために勝者が「競争のルールを自分の都合のいいように自由に変更できるようになってしまった」これが現代の病気です。(2011/10/21)

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