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情報システムの成果は人で決まる

  • 津川 雅良

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2011年10月14日(金)

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 「支配人の依頼を断ってくれないか」

 私がSE(システムズエンジニア)をしていたときのことです。顧客の1つであったゴルフ場を訪問した際、キャディマスターからこう頼まれました。事情を聞いてから支配人室に出向くと「キャディがいくらキャディフィ(料金)を稼いでいるか一目で分かる表を作ってほしい」という依頼です。

 支配人の狙いは稼ぎが少ないキャディを見つけ出し入れ替えようというものでした。このゴルフ場はラウンドが一定時間を超えたプレーヤーから超過料金を取っていました。キャディの腕によってラウンドの時間に差が出るためキャディフィにばらつきが生じます。超過料金の額をキャディの給与に反映させているので最後の組になるとわざと時間を超過させるキャディもいたようです。

 逆にどれほど下手なプレーヤーであってもきちんと定刻でラウンドを回らせるキャディがいました。彼女は小さな子供を1人で育てており、施設に子供を迎えに行くため、最後の組を受け持ったときには定刻で終了するように努力を怠りませんでした。彼女が辞めさせられるようなことがあっては困るとキャディマスターは気を揉んでいたのです。

 情報は偏ってはいけません。キャディマスターの話を裏付けるため、売店責任者、レストランのチーフ、風呂のボイラー係にそれぞれ会い、クローズ時刻の推移を確認しました。

 こちらからキャディの名前は一切出しませんでしたが、早仕舞いできるキャディとして3人が挙げた名前はキャディマスターから聞いた名前と同じでした。彼女が最後の組を受け持つとほかのキャディより1時間も早く後始末ができると3人は口を揃えました。

 その翌日、支配人に面会を求め、「キャディフィが多い時はそれ以上にゴルフ場の運営費がかさんでおり結局は損です」と説明し、依頼を断りました。怒った支配人から「今後の出入りを遠慮してほしい」と要求されたので素直に従いました。

 実は定例の担当交代が予定されており私はそのゴルフ場の担当を外れることになっていたのです。後任のSEに事情を説明しておいたところ、彼は支配人の再度の依頼に対して温和な口調で諄々と説明しました。支配人は納得し、要求を撤回したそうです。

顧客企業の人事に口先介入?

 「少しお時間をいただけますか」

 ある顧客に納品した情報システムが順調に動き出しました。月次処理の立ち会いに出向いたところ、経理事務を担当していた女性から声をかけられました。

 彼女はその拠点の数字をまとめる仕事をしてきました。ところが新システムにより日報や月報が一括して自動処理されるようになると彼女の仕事は無くなってしまいます。

 彼女の口から愚痴めいた話は出ません。ただ自分の今後の役割が見えないことの不安が解消されない様子でした。

 応対したのは30分程度でしたが、ほぼ5分おきに受付係が彼女の元にやってきました。やり取りを聞いていると人の名前が必ず出てきます。

 別れ際に「受付係と何を話していたのですか」と聞くと、会員に関する応答だと言います。何でも彼女は会員台帳をすべて把握しており、拠点にやってくる全会員の顔と名前、好みまで理解しているとのことでした。

 接客は苦手か否かを彼女に確認したところ、「人と話すのは好きです」との返事でした。それを聞いてから、その部署の次席責任者に面談をお願いしました。

 情報システムの現状を報告しつつ、事務担当の彼女の名前を出し、「お客様のことはすべて頭に入っているそうですね」と付け加えました。

 次席の立場も考慮し、間接的な提案に抑えたわけです。年次更新の立ち会いに出向いたとき、受付に立つ彼女の姿がありました。

「夢はお前が考えろ」

 連載第1回に書いた通り、私は卒業後、電機メーカーと電材問屋を経てから、コンピューター販売会社でプログラマーとSEをやり、再び問屋に移って社長業を営むようになりました。今回はSE時代に学んだことを書いています。

 コンピューターの仕事をしたのは1984年から1991年の7年間です。コンピューターの世界に横から入り、エンジニアの自覚がないまま、それまでの営業経験を生かして何とか仕事をこなした毎日でした。

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