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「名ばかり合議制」が会社を潰す

[9]異論、反論が怖い上司ほど「1対1」を避ける

2011年10月17日(月)

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  1. 社 長 
  2. 「…このような理由で、基幹システムの一部リニューアルを行うことにした。リニューアルにかかる期間は7カ月。費用は7600万。システム本部長を中心に検討をしてきたが…。何か意見があるか」
  3. 全取締役
  4. 「…」
  5. 社 長 
  6. 「じゃあ、全員から承認を得たということで、いいね」
  7. 取締役A
  8. 「ええ」
  9.  

  10. 社 長 
  11. 「次に来期の組織編成に関してなんだが、配布した資料の通りにしたい。それぞれの部門長とは話し合ってるんだが、誰か反対の人は、いるかな」
  12. 全取締役
  13. 「…」
  14. 社 長 
  15. 「じゃあ、全員から承認を得たということで、いいね」
  16. 取締役A
  17. 「はぁ」
  18.  

  19. 社 長 
  20. 「それじゃあ、次に…」
  21. 専務取締役
  22. 「社長、シンガポールの件は」
  1. 社 長 
  2. 「ああ、そうだった。去年から専務とアジア進出についていろいろ議論を重ねてきて、来年の春ごろからシンガポールに支店を出そうと考えてるんだが、それで…。(中略)反対の人、いるかな」
  3. 全取締役
  4. 「…」
  5. 社 長 
  6. 「じゃあ、全員から承認を得たということで、いいね」
  7. 取締役A
  8. 「異議ありません」

「集団思考」が正しい合意形成を阻む

 最近、東証1部上場企業で、創業者の孫である会長が、グループ企業から84億円を個人名義で借り入れ、約50億円が未返済で使途不明という報道があった。そのうち約23億円分についての決定過程は、取締役会の議事録にも残っているという。

 上場企業で取締役会を経ずにカネが流れているのは社会的に大きな問題だが、取締役会を経た上でそんなカネが融資されているのも、社内的に大きな問題である。取締役会が全く役割を果たしていないではないか。

 けれどもそれが「建前の正論」でしかないことは、誰もが何となく分かっている。会議で取締役が会長の個人融資に対して意見を言うことなど、できるわけがないだろう、と。

 そもそも会議が多い会社は「合議制」が根づいている。責任ある立場の者たちが集まり、合議によって意思決定することを「合議制」という。

 聞こえはいいが、実際には「集団思考」と呼ばれる問題が発生して、正しい合意形成が行われないことが多々ある。均等に発言する機会が乏しく、リーダーの発言力が強い場合に、集団同調性バイアスが働きやすくなるのだ。

 「誰か意見はあるかな…。誰もないのか…。じゃぁ、次の議題にいっていいかな」

 主催者は、初めから意見が出るとは思っておらず、示し合わせたように議事を進行させる。会議が始まる前に、主催者は議事に関連するキーマンと既に話し合っているから、異を唱える者など出てくることはないと信じている。

 まさに会議が「通過儀礼」になっているのだ。これではコーポレート・ガバナンスが機能するはずがない。

意見を出させない卑劣なテクニックも

 確かに会議がスタートする前に、関係者によってある程度の調査、分析、吟味が終了していてしかるべきだ。とはいえ「合議制」によって正しい意思決定をし、ガバナンスを支えるためには、会議参加者が意思決定に必要な材料に目を通し、理解し、正確な判断をするべき「時間」が必要だ。

 そして、すべての参加者が手元にある材料のみで物事を見極めることは困難であるため、当然のことながら、質問や意見を述べる機会が公平に与えられなければならない。

 意見を出せるような環境づくりも不可欠だ。

 ところが「名ばかり合議制」の会社は、資料の作り方が「雑」だ。前回書いた通り、会議資料を見れば、その企業のマネジメントレベルが透けて見える。

 どうせ誰もまともに資料を見て、正しい意思決定をしようとしないと分かっていると、平気で中途半端な資料を作る者が増える。分かりづらい資料を作って意見を出しにくくさせたり、主催者の退出時間をあらかじめ指し示しておき、議事進行をスピーディーに実施しなければならないという雰囲気を作って、意見を出させないという卑劣なテクニックを使う者もいる。いずれにしても全般的に会議運営が粗い。

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「「名ばかり合議制」が会社を潰す」の著者

横山 信弘

横山 信弘(よこやま・のぶひろ)

経営コンサルタント

CSK、日立製作所を経て、現在アタックスの主席コンサルタント。営業目標予算の2倍の材料を仕込む、組織マネジメント「予材管理」が注目され、コンサルティングのみならず、セミナー講師としても人気を博す。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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